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薬院法律事務所

「薬物依存の危険性~大麻を中心に~京都府立洛南病院副院長(精神科医)川畑俊貴」警察学論集71巻6号

2018年07月20日読書メモ

警察学論集71巻6号読書メモ。大麻依存の患者が増えているということで、大変参考になる特集でした。

「薬物依存の危険性~大麻を中心に~京都府立洛南病院副院長(精神科医)川畑俊貴」

「依存を理解するためにはストレスを理解しなければならない。義務があれば必ずストレスが発生する。義務を達成して初めてストレスが解消される。この義務解消からストレス解消までの間に脳内ではドーパミンという物質が分泌されている。ドーパミンとは動物が物事を達成したときにご褒美として分泌される神経伝達物質。ドーパミンの分泌によりスカッとしたいがために、人であれば仕事や勉強のノルマ達成に励む。
依存性物質とは、ストレスが発生した時に使うと一気にドーパミンを分泌させることが出来る物質。これがあれば義務を果たさなくてもストレスが解消できる。代わりに生産活動が滞ることになる。
依存性物質が脳にどのような影響をもたらすか。例えば薬を使わずに物事を達成すると、5つのドーパミンが分泌されるとする。そうすると、確率的に2つの受容体に受容されてすかっとする。ところが、覚せい剤を使うと、多くのドーパミンが分泌され、確率的に5つの受容体のうち4つの受容体に吸着して、「よっしゃあ、何でもやれるぞ、俺。俺より強いやつなんかいるか。」という気分になる。
このような状態で薬を使い続けると、脳が刺激に適応してしまう、受容体の数を5つから3つに減らし、確率的に2つの受容体に吸着するような状態になり、気分高揚が落ち着く。
しかし、薬をやめると受容体の数が減っているため、本来は2つの受容体に吸着する場合でも、1つしか吸着しない。これは本人にとって非常に辛い状態である。そのような状態が辛いためまた覚せい剤を使うが、覚せい剤を使ってようやく人並みの活動が出来るという状況になる。これが依存という病気の始まりである。
薬物以外の行為依存症についても、行為によりドーパミンが出るのであれば、人はそれに依存する。ギャンブル依存症やネット依存症、買物依存症など。全ての依存症はドーパミン依存症である。
但し、薬物依存症の場合、脳の細胞を死滅させるという作用がある。脳細胞は1年や1年半といったサイクルで変わるが、薬物依存症はこの細胞の死滅の速度を速めている。そのために脳が萎縮する。
ここ3年、病院に来る大麻依存症の患者が激増している。大半は若年層で、治療終了後は就職することになるが、かなりの確率で上手くいかない。仕事を覚えるのが遅いという理由でクビになっている方が多かった。3人に2人が6ヶ月以内で辞めていた。大麻は海馬(記憶の格納庫)を特に萎縮させることが分かっている。これは就労が途絶える原因と実に良く一致している。
通常の依存症もドーパミン受容体の数を変化させるが、薬物依存症は脳細胞を死滅させるという点でより深刻な問題がある。そのことがその人の後の人生に負の影響を与える。」

「大麻の4つの嘘
①精神病にならない
→嘘。大麻による入院患者数は急増している。
②依存性がない
→嘘。覚せい剤のような激しい渇望症状が出ないから気がつかないだけ。
③大麻は体に良い
→嘘。医療大麻と吸引大麻は同列ではない。ビール1杯をゆっくり飲むのと、ウオッカの一気飲みを比べるようなもの。
④海外で大麻は合法だから日本がおかしい
→嘘。大麻が蔓延している場合には、刑務所費用などを考えて合法化した方が経済的に合理的だからなされているだけ。概ね50%近く蔓延しているかどうかが議論の分かれ目。」

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