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薬院法律事務所

【重要論文】東京地方裁判所判事・阿部潤「「離婚原因」について-裁判実務における離婚請求権を巡る攻防-」東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会『平成17年度専門弁護士養成連続講座 家族法』

2018年07月20日読書メモ

東京地方裁判所判事・阿部潤「「離婚原因」について-裁判実務における離婚請求権を巡る攻防-」東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会『平成17年度専門弁護士養成連続講座 家族法』1頁~

多分有名な講演なのでしょうが、私が離婚原因について、きちんと実務の取り扱いを学んでいなかったので勉強になりました。

「裁判離婚事由である770条1項1号~4号は,770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由(婚姻破綻)」の例示。婚姻破綻の認定にあたっては別居期間が一番重要で、相当期間の別居がない場合には相手方の有責行為を主張・立証しないといけない。」ここまではリーガルプログレッシブシリーズの離婚調停・離婚訴訟にも載っている話です 。恥ずかしながら余り意識していませんでしたが(^_^;。

この論点をかなり掘り下げているのですが,なるほど、と思ったのが次の点です。

「破綻の原因がいずれにあるかという有責性の問題は、損害賠償請求の請求原因事実となりますが、弁論主義が適用される領域となります。
資力のない相手方に対する離婚請求において、民法770条1項5号に基づき離婚のみを求める場合と、同号に基づき離婚及び離婚に伴う慰謝料の支払いを求める場合がありますが、争点整理及び審理のスピードはまったく異なるわけです。相当期間の別居がある場合、相手方は、自らも離婚請求の反訴を提起しない限り、破綻の原因論を法廷で主張しても意味がないわけです。
このところ、このような婚姻破綻の捉え方をよく理解した上で、離婚のみを求めてくる原告代理人が増えたように思います。これに対して、被告代理人の理解が足りず、主張がかみあわず、思わぬ敗訴をしてあわてている姿を見るのです」(18頁)。

これは、被告代理人側が相当期間の別居があるのに「有責行為はない」だけの答弁をして敗訴するという話なのですが、なるほどこういう手法もあるのかと。資力はないけど一応慰謝料請求をしておいて、交換条件として取り下げるとかやることがあるのですが、DVとかストーカー気質とかで相手が離婚に応じない意思が固いのであれば、むしろ単純にこの別居一本でやった方が良いかもしれません。