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薬院法律事務所

弁護士はどうやって量刑を予測するか問題

2018年12月01日読書メモ

刑事弁護で必ず問題になるのが、「どの程度の量刑になるか」ということ。

私の場合、最初に参照するのは、第一東京弁護士会の『量刑調査報告集3~5』、裁判員裁判であれば現代人文社の『裁判員裁判の量刑』、薬物事件は同じく現代人文社の小森榮『もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術』です。それで分からなければ、刑事弁護フォーラムの量刑データベース、判例検索ソフトで同種罪名の裁判例を調べます。

情状弁護で主張する要素については、大阪刑事実務研究会編著の『量刑実務大系1~5』、司法研修所編『裁判員裁判における量刑評議の在り方について』あたりを参考にしています。

下記論文のうち引用した部分の記述は、財産犯で執行猶予がつくかという質問に対する回答に良く使います。

刑種の選択と執行猶予に関する諸問題〔植野 聡〕52頁

「財産罪の場合には,被害の程度やその回復の状況がかなり中核的な考慮要素になる。財産罪の罪種や態様は千差万別であり,法定刑と損害額が同じでも,類型的な非難可能性は罪名ごとに異なるし, また,例えば,詐欺の場合には窃盗よりそれが高く,恐喝の場合にはより高いと一応はいえるであろうが,反社会性が極めて高い巧妙かつ卑劣な手口の詐欺が,比較的単純な手口の恐喝よりも強く非難されるべき場合などもあるであろうから,定型的な一律の基準を設定することは困難である94)。
一般的指標にはできないという留保を付した上で, あえて具体的な数額を提示するとすれば,かつて庁内で行われた研究会では,比較的単純な手口の窃盗で,反省心も認められるが,被害回復がされておらず,被害者の宥恕も得られていないような場合を例にとると,未回復の被害額が100万円に近い額に達していれば,初犯でも実刑の選択をかなり現実的に考慮すべきではないかという意見が比較的多く,本研究会の席でも,ある程度有用な目安になるという限度では,特に反対する意見は見られなかった。」

http://www.hanta.co.jp/books/6418/