load

薬院法律事務所

読書メモ

捜査研究2019年3月 「犯罪被害者支援と弁護士実務 第17回 弁護士と被害者」について


2019年03月18日読書メモ

捜査研究2019年3月
「犯罪被害者支援と弁護士実務
第17回 弁護士と被害者」
弁護士 松坂大輔(神奈川県弁護士会)

【「基本的に私は「被疑者」「被告人」という言葉は使いません。被害者に説明するときは「犯人」と言ってしまいます。また「無罪推定の原則はどうした!」という批判的な声が遠くから聞こえてきそうですが、その理由の一つは「被疑者」「被告人」という言葉は一般の人にはなじみがなく「分かりにくい」からです。もう一つの理由は「被害者にとっては被疑者も被告人も犯人だから」です。】

【被害者は捜査機関を信頼し、絶対に真犯人を逮捕してくれると思っており、被疑者が逮捕されたことは被害者にとって救いの第一歩であり支えであり、そうであるからこそ「逮捕された被疑者は真犯人ではないかもしれない」などとは考えたくないのだと、今になってはそのように理解しています。
そのような経験から、私は被害者に説明するときに「犯人」といってしまいますし、これからもそうすると思います。】

被害者支援を重点的にされる弁護士は、こういう発想をするんだと勉強になりました。刑事弁護もされているとのことですが、危ういです。

これで、実際には無実だった場合、被害者には筋違いの人を恨ませることになるだけです。無罪推定原則がどうとかそういう抽象論ではなく、筋違いの恨みを持たせてるのではないかという視点が必要だと思います。というか、このようなことをされること自体、被害者を愚弄する行為だと思います。被害者は、被疑者と犯人の区別もつかない人たちなんだと。

松坂弁護士がこういうやり方をするようになったのは、以前被害者支援で、被疑者が犯人性を否認していることから「本当に犯人でない可能性もありますが……」といったことが、(おそらく)依頼者の心情を害して解任されたからということです。しかし、心情を害しても言うべきことです。警察に迎合して「逮捕=犯人」とするのが被害者支援とは思えません。

少なくとも犯人性を否認している場合には、逮捕=犯人でないことを説明するのがプロのやるべきことでしょう。むしろ二次被害を与えかねない行為だと思います。

私は被害者支援(被害者参加含む)事件もやりますが、捜査が尽くされていないのではないかなど、警察や検察にも批判的に対応することもあります。被害者支援の立場でも、警察の捜査に対して厳しく糾弾するということは当然ありえるわけです。証拠も見えない立場から、逮捕=犯人と言うべきことではないと思います。

被害者に対して、弁護士も犯人と言っているから被疑者が犯人なんだろうと思い込みを強化させることにもなります。そうして犯人扱いした人が、不起訴や無罪になったときにどうするのでしょう?本当は犯人なのに不当に罪を免れましたね、と説明されるのでしょうか。