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薬院法律事務所

東京都迷惑行為防止条例と軽犯罪法(2)

2018年07月30日読書メモ

軽犯罪法の立案趣旨です。
こうすると、迷惑行為防止条例は身体に向けられたもので、

軽犯罪法は場所に向けられたものだから観念的競合で良いのだという説明には疑問があります。

伊藤榮樹ほか編『注釈特別刑法 第2巻 準刑法編』(昭和57年)113頁

[窃視の罪]
「立案者は、本号の立案趣旨について、次のように説明している[第2回国会参議院司法委員会会議録第6号5頁]。「人の私生活の秘密、特に肉体を人に見られないという権利は、これは厚く保護されなければならないのでありますから、妄りに他人の隠すべき肉体の部分を覗き見るということは、この権利を侵しますし、私生活の平穏を害するものである。そこでこのような規定を設けることにいたしました。この罪は性的犯罪の一種だとみることもできようかと思います。」

114頁
「カメラによってひそかに写真をとるのも「のぞき見る」にあたるものと解する」

東京都迷惑行為防止条例はほぼ軽犯罪法の規定と同一の規定を設けています。

「第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」

第8条で撮影した場合と差し向けただけの場合で量刑に差をつけているのですが、「差し向け」だけで処罰するとすれば、撮影行為によるプライバシー侵害も起きていないので、軽犯罪法との関係はかなり問題があります。

「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為」の要件がありますが、これで規制が被らないとは思えないです。盗撮行為で実務上問題になる要件ではないですし。

『「著しく」とは、通常人の感覚において、「ひどい」と思われる程度のものであれば足りる。
「差恥させ」とは、性的なはじらいを感じさせることをいう。
「不安を覚えさせる」とは、卑わいな言動によって身体に対する危険を感じさせ、あるいは心理的圧迫を与えることをいい、脅迫に至らないものをいう。行為者の言動が、客観的に、他人を差恥させ、又は不安を覚えさせるようなものであれば足り、現実に他人を差恥させ、又は不安を覚えさせることは必要でない。』(安冨潔『特別刑法入門』 75~76頁)であまり問題にはなりませんし。

軽犯罪法とほぼ同じ条文にしたということは警視庁も考えがあるのでしょう。情報公開請求の結果を待ちたいと思います。