警察の事件事故報道基準(2)
2021年08月08日読書メモ
以前、警察の事件事故報道基準について2つの記事を作成しました。
これらは2021年8月時点でも基本的には変わっていないと思われます。
警察庁長官官房総務課広報室長蔵原智之氏が、Top2021年9月号で「警察における広報対応」として、コラムを書いています。
同コラムのなかに、報道対応を担当する部署について記載がありました。通常、広報する案件を所管する警察本部の課や警察署がそれぞれ広報対応を行い、警察本部の課であれば課の次席、警察署であれば副署長が広報責任者、警察署においては夜間・休日に発生した事案の広報対応は当直責任者が行うそうです。報道されるかどうかでブレがあるのはこういうところもあるのでしょう。
また、最近発刊された警察官向けの定番の体系書にはこういう記載があります。
田村正博『警察官のための憲法講義【改訂版】』(東京法令出版,2021年8月)104頁
【逮捕事実の警察による発表とメディアによる実名報道は,これまで公益性が認められ,逮捕後に不起訴になったとしても違法とされてはいない。しかし, インターネット上の拡散の結果として,実質的な影響はより大きくなっていることを踏まえれば,報道発表(報道機関への素材の提供)に当たる警察として,公益性が争われることに備えておくことが今後一層必要になるものと思われる。】
弁護人としては、警察の報道発表の可能性に備えて、意見書を提出することが有用な場面もあると思います。
まとめ記事です。