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薬院法律事務所

解決事例

【解決事例】デリヘル盗撮事件で不起訴


2019年09月16日解決事例

<相談前>

ホテルの一室でデリバリーヘルス嬢を呼んで盗撮目的でカメラを設置したところ、発覚してお店の人を呼ばれたというものです。その後、カメラを持って逃走したものの、警察官が自宅に捜索に来られたということでご相談に来られました。

<相談後>

遠隔地のご相談でしたが、相談当日に現地に出張し、担当の警察官と面談しました。
翌日には被害者と示談交渉を行い、被害弁償を行いました。
被害時から時間が経過していること等から示談交渉は大変難航しましたが、無事に不起訴になりました。

<コメント>

近時、迷惑行為防止条例の「盗撮」「(盗撮目的でのカメラ等の)差し向け行為」「のぞき見」規制の適用範囲が拡大しています。具体的には,従前規制場所とされていた公共の場所に限らず、事務所・集会場所など特定多数の人が集合する準公共空間や、個人の住居等の純然たる私的空間についても規制されるようになってきています。
さらに、従前は、加害者に対して自ら露出した体を撮影されることは条例違反にはあたらないと考えられ、そのように運用されてきましたが、現在ではこれも条例違反にあたるとするのが多くなりました。さらに、盗撮目的でカメラを設置したり、差し向けるということも条例違反とされています。
そのため、例えば自宅でデリバリーヘルス嬢を呼んで、盗撮目的でカメラを設置していたら発見された、といった場合でも条例違反とされることになり得ます(地域の条例次第ですが)。聞いた話では、デリバリーヘルス嬢の盗撮事件が警察に届けられる事例は急増しているようです。
私としては、住居などの私的空間における「盗撮」「差し向け行為」「のぞき見」の規制は、軽犯罪法1条23号の窃視罪と規制内容が重複しており、条例制定権の限界を超えて違法でないかと考えていますが、捜索令状など出ているようですし、実際に処罰されている事例もあるようです。また、条例違反とならなくても軽犯罪法1条23号の「窃視罪」にあたることは十分あり得ます。盗撮捜査の基本は映像の証拠を押さえることですので、仮に盗撮のデータを風俗店側に押さえられていなくても、盗撮したことを認めていなくても、疑われてトラブルになった時点で捜索の危険はあると見た方が良いです。
捜査弁護としては、条例違反であれは軽犯罪法違反であれ、早急な示談交渉と不起訴に向けた活動が必要になります。また、加害者の個人情報を被害者に伝えられないようにする(この場合、被害者およびデリバリーヘルス経営者側に加害者の職業や名前などを伝えずに交渉する工夫をする)ことも重要です。