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薬院法律事務所

刑事弁護

「地域捜査官のための捜査書類作成ガイド~検察官はここを見る~ 第9回 過誤送致」東京区検察庁公判部長 波田野正典警察公論2017年10月号


2018年07月20日刑事弁護

警察公論2017年10月号読書メモ。

「地域捜査官のための捜査書類作成ガイド~検察官はここを見る~ 第9回 過誤送致」東京区検察庁公判部長 波田野正典

「道交法違反事件については、反則金制度がある(125条~132条)。反則事件はいわゆる「青切符(交通反則切符)」が作成される。

非反則事件(無免許運転、酒酔い運転、酒気帯び運転、反則行為により交通事故を起こした者等)は「赤切符(交通切符)」が作成される。
これらの者等は、反則行為が併存していても、道交法125条2項1号~3号により反則者から除かれるので、一括して赤切符が作成され送致される。この反則金制度があることから過誤が生じることになる。

例えば、酒気帯び運転と駐車違反を非反則事件として送致した場合、駐車違反成立時に酒気帯び運転は成立しない。このような誤りは検察庁の事件受理段階ではじかれる。

しかし、道交法125条1項3号の「当該反則行為をし、よって交通事故を起こした者」は評価が分かれる。警察が非反則事件と考えたが、検察官が反則事件と考えた場合は、「通告欠如」として不起訴処分として、警察署に差し戻して反則金手続をとる。

これが、検察官の因果関係の判断と裁判官の判断が異なる場合もあり、その場合裁判官は刑訴法338条4号により公訴棄却の判決をすることになる。略式命令の場合は、刑訴法463条により正式裁判手続に移行した上で、公訴棄却の判決をすることになる。但し、ほとんどの場合は略式命令とは別の裁判官が判断するので、この段階で有罪となることもある。

問題となるのは、このような事例ではなく、明らかな反則者を非反則者として送致して、検察官も裁判所も気がつかなかった場合。略式命令が確定してしまったら非常上告をすることになる(刑訴法454条)。

ありえるミスとして、平成29年3月11日以前に取得した普通免許では5トンまでの準中型免許が付与されるため、6トンの貨物自動車を運転することは「免許条件違反(反則行為)」だが、「無免許運転」として赤切符を切ってしまった事例など)。」

→反則金制度は昭和42年に導入されたもので、軽微な違反につき、現認、明白、定型的なものを反則行為として、反則行為をした者に対して定額の反則金の納付を通告し、任意に納付があった場合は公訴が提起されず、納付がない場合は通常の刑事手続に進むというものです。反則者は、通告がなければ起訴できません(道路交通法130条)。