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薬院法律事務所

ご相談後の流れ(在宅事件)

逮捕される前に、仕事と生活を護るための弁護を。

警察から呼び出された。自宅の捜索を受けた。まだ警察から連絡はないが、自ら出頭するべきか悩んでいる。身柄を拘束されていなくても、「このまま逮捕されるのではないか」「仕事や家族との生活はどうなるのか」と、不安を抱えている方は少なくありません。

そうした方がまず知りたいのは、逮捕された後に、その逮捕が違法かどうかを争えるかということだけではありません。「逮捕を避けるために、いま何ができるのか」ということだと思います。

逮捕後に適法性を争い、身柄解放を求めることは重要です。しかし、後から釈放されても、拘束された時間や、その間に仕事やご家族の生活に生じた影響まで、すべて元に戻せるとは限りません。だからこそ、私は、逮捕前の段階でできる弁護活動を重視しています。

警察が、どのような場合に逮捕に踏み切るのか。
それを知らなければ、逮捕を回避するための弁護は組み立てられません。

私が警察実務を研究してきたのは、依頼者の人生を護るためです。法律上の要件だけでなく、警察が何を問題にし、どのような資料を基に判断するのかを理解し、在宅のまま捜査を進めてもらうための具体的な対応につなげます。

このページでは、ご相談から逮捕・捜索の回避に向けた働きかけ、検察官との交渉、起訴された場合の方針確認まで、当事務所の弁護活動の流れをご説明します。単に逮捕の可能性を予測するのではなく、その見通しを踏まえて、いま何を確認し、何を準備し、誰に意見を伝えるかを考えます。

私の弁護方針――なぜ警察実務を研究してきたのか

ご相談・ご依頼後の流れ

1.事件の経過と、護りたい生活を確認します
2.逮捕の可能性と必要性を検討し、弁護方針を考えます
3.逮捕・捜索の回避に向け、具体的な資料と意見を届けます
4.公判での立証も見据えて、検察官と交渉します
5.起訴された場合は、継続して依頼するか協議します
6.逮捕された場合も、逮捕を理由とする追加着手金はいただきません

1.事件の経過と、護りたい生活を確認します

ご相談前には、ご本人の身上経歴、事件に関する時系列、ご本人やご家族が不安に感じていることをまとめたメモのご用意をお願いしています。相談では、そのメモを拝読し、一つひとつの事情を確認します。

事件について何が起きたかに加え、警察がすでに何を確認し、何を質問しているのか、捜査がどの段階まで進んでいるのかを、分かる範囲で整理します。これまでの取調べの内容、提出・押収された資料、次の呼出し日などもお聞きします。

ご相談前に、整理していただきたいこと

生活について伺うのは、単にプロフィールを知るためではありません。身柄を拘束しなくても手続を進められる事情と、拘束された場合の具体的な不利益を確認するためでもあります。仕事の内容やご家族の生活について、必要な資料を準備する出発点になります。

メモは、きれいな文章でなくても構いません。ご本人が経験したこと、人から聞いたこと、推測していることを分け、分からない点は分からないままお知らせください。

警察・検察からの呼出し日などが決まっている場合は、お問い合わせの段階でお知らせください。差し迫った予定があるときは、資料をそろえるためにご連絡を遅らせず、まず現在の状況をお伝えください。

2.逮捕の可能性と必要性を検討し、弁護方針を考えます

「逮捕されそうか」という予測だけで終わらせません

警察は、どのような犯罪の成立を考えているのか。どのような証拠を持ち、さらに何を明らかにしようとしているのか。なぜ、身柄を拘束する必要があると判断する可能性があるのか。ご本人から伺った事情、確認できた資料、実務経験と文献を踏まえて検討します。

そのうえで、警察が逮捕の必要性を認める方向に評価しそうな事情に対し、どのような説明や資料を示せるかを考えます。警察の見方の前提に誤りがある場合には、その点も指摘する必要があります。

捜査機関が保有する証拠や、内部での検討状況をすべて把握できるわけではありません。その限界を踏まえ、確認できたことと推測を区別して、見通しと対応を説明します。

犯罪の嫌疑と、逮捕して捜査を進める必要性を分けて考えます

犯罪をした疑いがあるかという問題と、その人の身柄を拘束して捜査を進める必要があるかという問題は、同じではありません。犯罪の成立や証拠の問題を検討するとともに、逮捕の必要性についても個別に検討します。

逮捕の必要性は、法律上も検討すべき問題です。

刑事訴訟規則第143条は、逮捕状の請求に際し、逮捕の理由と逮捕の必要性を認めるべき資料の提供を求めています。同規則第143条の3は、逮捕の理由がある場合でも、年齢・境遇、犯罪の軽重・態様などに照らし、逃亡のおそれがなく、かつ、罪証隠滅のおそれがないなど、明らかに逮捕の必要がないときは、裁判官が逮捕状の請求を却下しなければならないとしています。

私は、こうした要件を確認するだけでなく、警察が逮捕状を請求するかどうかを判断する段階で、必要性について検討してもらうための事情を伝えたいと考えています。

参考:刑事訴訟規則第143条・第143条の3(法務省・日本法令外国語訳データベースシステム)

出頭・取調べへの対応も、ご本人と協議します

自ら警察に出頭するべきか、呼出しがあった場合にどのように対応するか、何を説明し、どの資料を提出するかを検討します。自首を検討する場合も、その意味と事件への影響を説明して方針を協議します。

逮捕を避けたいという希望を、事実と異なることを認めてもらう理由にはしません。事実関係を争うこと、黙秘権を行使することと、身柄拘束の必要性について意見を述べることは、分けて考えます。

逮捕・捜索の回避、犯罪の成立を争うこと、不起訴や処分の軽減、仕事やご家族への影響への対応。そのそれぞれを、ご本人がどのように重視しているかを確認し、その時点で適切と考える方針を提案します。

3.逮捕・捜索の回避に向け、具体的な資料と意見を届けます

ご相談を踏まえて弁護活動のご依頼を受けた場合は、ご本人と協議した方針に沿って、警察との連絡、資料の準備、意見書の提出などを進めます。逮捕回避に向けては、例えば次のような点を確認し、事案に合った働きかけを検討します。

① 逃亡のおそれについて、具体的な生活状況を示します

住居や勤務先、ご家族との生活、これまでの呼出しへの対応などを確認し、連絡や出頭の見通しを具体的に説明できるようにします。必要に応じて、生活状況を裏付ける資料や、ご家族・身元引受人の陳述書などを準備します。

単に「逃げません」と約束するだけではなく、この人について、なぜ逃亡を心配せずに手続を進められると考えるのかを、確認できる事情に基づいて説明するためです。

② 証拠隠滅のおそれを、具体的な証拠との関係で検討します

警察がどのような証拠への働きかけを心配すると考えられるのかを検討します。すでに確保されている証拠、これから収集されると考えられる資料、ご本人と事件関係者との関係などを、把握できる範囲で整理します。

そのうえで、ご本人が証拠に影響を及ぼす現実的な可能性があるかを検討し、「事件がある以上、証拠隠滅のおそれもある」という抽象的な説明だけで判断されないよう、具体的な事情を示します。

関係資料の保全や任意提出についても検討しますが、何を提出するかは、弁護方針全体への影響を確認して決めます。記録を削除・改変したり、関係者に説明を合わせてもらったりすることを勧めるものではありません。

③ ご本人とご家族に生じる不利益を、資料にして伝えます

身柄を拘束された場合、仕事、事業、ご家族の介護や子育てなどに、どのような影響が出るのかを確認します。「生活に困ります」という一言では伝わりにくい事情を、具体的に整理します。

仕事やご家族の事情があれば、それだけで逮捕を回避できるというものではありません。逃亡や証拠隠滅のおそれに関する事情と併せ、在宅で捜査を進めることが相当だと考える理由として伝えます。

ご家族に協力をお願いする場合にも、実際にできる範囲を確認します。できない約束をしていただくのではなく、現実の生活に即した内容にすることを重視します。

④ 警察の判断前に、意見と資料を届けることを重視します

警察が逮捕に踏み切ってからでは、その前に伝えられたはずの事情を届ける機会は失われます。私は、捜査の段階と緊急性を踏まえ、必要な意見を早い段階で伝えることを重視しています。

意見書を作成する際は、警察官向けの実務文献も参考にします。必要に応じて関係文献を添付し、警察官や警察幹部が判断する際の考え方に照らしても、なぜこの事件では逮捕すべきではないと考えるのかを説明します。

口頭で希望を伝えるだけでなく、判断に関わる方にも、主張と根拠を確認していただける書面にまとめることが大切だと考えています。特別な人脈による扱いを求めるのではなく、事実と資料、法令と実務上の考え方に基づいて意見を述べます。

私の経験上、こうした意見を考慮してもらえたこともあります。ただし、文献や意見書を提出すれば結果が決まるわけではありません。警察の見方を踏まえながらも、弁護人として独立した立場から、その事件に必要な主張を行います。

逮捕回避に向けた弁護活動について(意見書サンプルあり)

⑤ 捜索についても、資料の任意提出と意見書を組み合わせて対応を検討します

例えば、自首をする方が、自宅の捜索による影響をできる限り避けたいと希望される場合があります。そのような場合、ご本人と協力して自宅や証拠となる物の写真を撮影し、捜査報告書を参考にした形で、状況や資料の内容を整理することがあります。

そのうえで、証拠を任意提出するとともに、その事件で捜索・差押えを行う必要があるのかを検討し、意見書を作成・提出するという方法を取ることがあります。

「捜索をしないでほしい」という希望だけではなく、何が確認でき、それでもなお捜索・差押えが必要なのかを、具体的な事情に即して説明します。

差押えの必要性についての最高裁判例

最高裁昭和44年3月18日決定(刑集23巻3号153頁)は、証拠物や没収すべき物に当たる場合でも、犯罪の態様・軽重、証拠としての価値・重要性、隠滅・毀損のおそれ、差押えを受ける人の不利益などに照らし、明らかに差押えの必要がないと認められるときまで、差押えを是認する理由はないとしています。

これは、差押処分に対する不服申立てにおいて、裁判所が差押えの必要性も審査できるとした決定です。任意提出をすれば捜索を避けられると判断したものではありませんが、私は、この必要性についての考え方も踏まえ、個別の事情に即した意見を述べています。

最高裁昭和44年3月18日決定を読む(裁判所ウェブサイト)

何を任意提出し、どのような説明をするかは、ご本人と相談し、提出による影響も検討して決めます。写真の撮影や資料の提出をすれば、必ず捜索・差押えを回避できるというものではありません。

⑥ 捜査の進展に応じて方針を見直し、必要な活動を続けます

逮捕回避に向けた意見書を提出して終わり、ということではありません。警察の反応や捜査の進展を確認し、新たな事情があれば、追加の説明や資料が必要かを検討します。事案に応じた被害回復や示談交渉も、方針を協議して進めます。

示談が成立するかどうかは、被害者の意向によります。示談の結果を待つだけでなく、それとは別に、現時点で逮捕の必要性について主張できる事情がないかを検討します。

当初の見通しや方針が適切でなくなった場合には、何が変わったのかを説明し、必要であれば一から見直します。想定外の問題が生じた場合などには、ほかの弁護士の追加選任を提案することもあります。

最初に決めた方針を守ることよりも、その時点で依頼者のために何をするべきかを重視します。

受任後は、緊急連絡先をお伝えします

ご依頼者には、緊急連絡先として私の携帯電話番号をお伝えしています。担当警察官にも、また示談交渉が必要な場合には被害者側にも、必要な連絡が取れるよう連絡先を伝えます。

警察から新たな連絡があったとき、次の取調べの日程が決まったとき、これまでと異なる説明を受けたときなどには、その内容をお知らせください。新たな情報を踏まえ、ご本人と相談しながら次の対応を考えます。

4.公判での立証も見据えて、検察官と交渉します

逮捕されずに捜査が進むことと、不起訴になることは、別の問題です。在宅での生活を維持するための活動と並行して、犯罪の成立や証拠、被害回復など、最終的な処分に関わる問題も検討します。

事件が警察から検察庁に送致された後は、それまでの弁護活動を踏まえて、検察官と意見交換・交渉を行います。不起訴を求めるのか、罰金刑が選択肢となる事件でその解決を目指すのか、ご本人と協議した方針に沿って意見を述べます。

起訴された場合に、何が立証でき、どこが争点になるかを検討します

検察官との交渉では、警察官・検察官向けの実務書に加え、『警察学論集』『捜査研究』などに掲載されている検察官・裁判官の論文も参考にしています。

具体的な事件でどのような証拠が収集されていると考えられるか。起訴された場合に弁護側として何を争い、どのような活動を行うことになるか。その主張や証拠を、裁判官がどのように評価する可能性があるか。そうした点を検討して、検察官に意見を伝えます。

捜査段階で把握できていない証拠がある場合には、その限界も踏まえて検討します。推測した内容を確定した事実として扱うのではなく、確認できたことと、なお確認が必要なことを分けて考えます。

逮捕の判断前には、身柄拘束の必要性を。
起訴の判断前には、犯罪の立証と処分の相当性を。

その段階で何が判断されるのかを踏まえ、事実と証拠、法律上の評価、実務上の考え方を結び付けて意見を述べます。結果が出てから対応を始めるだけでなく、判断の前に必要な主張を届けることを重視します。

こうした交渉を経て、当初は起訴する意向だった検察官が不起訴とすることや、当初検討されていたものより軽い罪名で起訴することもあります。一方、意見を述べても方針が変わらない場合もあります。その状況を踏まえ、次に必要な対応を考えます。

5.起訴された場合は、継続して依頼するか協議します

弁護活動を行っても、事案によっては起訴を避けられないことがあります。重大な事件で示談が成立しなかった場合なども含め、起訴されたときには、起訴後の対応を改めて協議します。

そのまま私に弁護を依頼するのか、別の弁護士に切り替えるのか。国選弁護の利用が可能かも含め、ご本人の意向と状況を踏まえて検討します。

継続してご依頼いただく場合には、起訴後に担当する業務と費用について、改めてご説明します。

ご本人との合意なく、そのまま起訴後の弁護も受任したものとして活動し、起訴後の弁護費用を請求することはありません。

弁護士費用について

6.逮捕された場合も、逮捕を理由とする追加着手金はいただきません

逮捕回避に向けて活動しても、逮捕に至る場合はあります。その場合には、身柄拘束後の状況を踏まえ、接見や身柄解放に向けた対応を検討します。

当事務所が在宅事件として受任した事件で、その後に逮捕された場合でも、逮捕されたことを理由とする追加着手金はいただいていません。

これは、逮捕を理由とする着手金の追加についての方針です。起訴後の弁護費用や、委任契約で定める報酬金・実費等の取扱いとは区別されます。費用の範囲は、契約内容とあわせてご説明します。

逮捕後の弁護活動については、次のページをご覧ください。

ご相談後の流れ(身柄拘束事件)はこちら

在宅事件のご相談・ご依頼について

在宅事件は、全国からのご相談・ご依頼に対応しています。遠方の方については、Zoomなどを活用して対応しています。

現在、すでに逮捕・勾留中の事件のご相談・ご依頼は、福岡県内に限ってお受けしています。また、事件の内容やご本人の事情による受任方針があります。詳細は、「刑事弁護のご依頼」をご確認ください。

このページで紹介した活動は、事案に応じて検討する対応です。すべての事件で同じ活動を行うものではなく、逮捕・捜索の回避、不起訴などの結果を保証するものでもありません。

警察実務を知る。依頼者の立場で考える。

逮捕されるかどうかを心配しながら、結果を待つだけにしない。ご本人とご家族の生活を知り、警察が判断する際の事情を検討し、必要な資料と意見を届ける。依頼者の人生を護るために研究してきたことを、逮捕される前の弁護活動に生かします。

薬院法律事務所
弁護士 鐘ケ江 啓司(福岡県弁護士会)

私の弁護方針――依頼者の人生を護るために
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