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薬院法律事務所

一般民事

窪田充見・佐久間毅・沖野眞已編著『民法演習ノートIII 家族法21問 演習ノートシリーズ』


2018年07月20日読書メモ

解説は理論的なものが多く、実務的感覚とは異なる点も見受けられますが、これを読みながら、有斐閣双書民法や家族法実務講義を読むと勉強になるような気がします。いつも、実務で通用する見解しか見てないので、逆に新鮮です。

実務的感覚と違うなあと思うのは、例えば年収2800万円だった医師の夫が実は退職して資産がなくなったのに、友人から娘2人の大学進学と家の改修のためといって440万円を借りて私的に使った場合、夫婦の生活水準からして日常家事債務と信ずる正当な理由があったとして妻にも返済を要求できる、といったものがあります。収入水準が高いと言っても、なかなかこれだけの金額を日常家事債務と認めるのは難しいでしょう。

そういえば、有斐閣双書民法8親族(2004年5月)見ていて知ったのですが、財産分与請求で清算的要素、扶養的要素、慰謝料的要素が考慮されてきたのは、歴史的に旧民法の厳格な別産制の不公平さを解消するために、扶養法案(ボアソナード旧民法)、生計維持の財産分与(現行法初期原案)、慰謝料(旧法下の判例)などが検討されてきたことからこうなったようです。なるほどと。だから2分の1ルールが浸透すると扶養的財産分与や慰謝料的財産分与が認められなくなってきたのかと。

最近の教科書にはこういうことは書かれず、結論だけだったり、最新の学説(例えば扶養であれば離婚後の生活維持義務)を書いていたりします。しかし、それだと判例を良く理解出来ません。判例も当時の学説を踏まえて出されていますので。やっぱり最新の教科書と合わせて読み直さねば。

特に家族法は受験時代は短答試験のための暗記で、実務では実務書で論点を確認して処理するような感じだったので、あんまりびしっと筋を通して理解してなかったように思います。他の体系書も読み直すべきかも。反省です\(_ _)

http://www.koubundou.co.jp/book/b156247.html