【えん罪】会社内での窃盗事件で疑われ、ポリグラフ検査まで受けさせられたという相談(窃盗、刑事弁護)
2024年09月25日窃盗(万引き)
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、福岡市内の建設会社に勤務する20代の男です。先日、会社のロッカールームで窃盗事件があったそうです。同僚の財布が盗まれたということで警察が来て、私を含めて何人かがポリグラフ検査を受けさせられました。私はもちろんしていないのですが、私が犯人だと疑われているようで、会社からも責められています。辛いのでなんとかならないでしょうか。家宅捜索をされないかも不安です。
A、えん罪であれば、弁護人をつけて警察に対して意見書を出す等して犯人でないことを主張するとともに、家宅捜索をしないように求める上申書を出すことが考えられます。
【解説】
不利な状況にあると思われます。きちんとした手順を踏んだポリグラフ検査がなされたのか否か(適切な段階で、適切な質問がなされたのか否か)、ご相談者様を疑うに足りるような事情があるかを良く聴き取った上で、警察に対して意見書を出すなどすべきでしょう。虚偽自白を防ぐ効果もあります。
刑事訴訟法
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131
218条1項
〔令状による差押え.記録命令付差押え・捜索.検証〕検察官,検察事務官又は司法警察職員は,犯罪の捜査をするについて必要があるときは,裁判官の発する令状により,差押え,記録命令付差押え,捜索又は検証をすることができる。この場合において,身体の検査は,身体検査令状によらなければならない。
情報科学第一研究室 – 科学警察研究所 – 警察庁
https://www.npa.go.jp/nrips/jp/fourth/section1.html
ポリグラフ検査
俗にウソ発見と言われていれるが、実際は記憶検査の一種。犯人しか知り得ない事件内容についての記憶を、生理反応の変化を基に判定する科学的鑑定法。
【参考文献】
伊丹俊彦・合田悦三『逐条実務刑事訴訟法』(立花書房,2018年11月)446頁
【本条が規定する処分は, 「犯罪の捜査をするについて」,つまり,犯罪の捜査を目的として行われるものであるため,捜査対象となる犯罪の嫌疑が存在することが必要とされ,令状審査の対象となる。ただし,本条が規定する処分は,逮捕等の対人的処分よりも法益侵害の程度が重くなく, また,逮捕に先立って行われることも多いものであるため,求められる嫌疑の程度は,逮捕状請求において求められる「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」 (199)までは必要なく, 「罪を犯したことを疑うに足りる理由」があればよいと解される(京都地決昭47.12.27刑裁月報4.12.2040)。規156条1項が令状請求に当たり要求しているのも,あくまで「罪を犯したと思料されるべき資料」の提供である。】
越智啓太「取調べにおける心理学(第22回)ポリグラフ検査を使った取調べ(4)内部窃盗におけるポリグラフ検査とSCIT」捜査研究2022年7月号(861号)78-87頁
78頁
【A教授:実際問題としてポリグラフ検査が最もよく使川されているのは、いわゆる内部窃盗のケースだね。
Bくん:内部窃盗というのは、職場内などで起こる窃盗事件のことですね。そして、外部から誰かが侵人した可能性よりも内部の人間が犯人である可能性が高いケースですね。】
81頁
【探索的CITという方法
Bくん:先H、経験した事件なのですが、コンビニの店長の机の中から7万円あまりの現金が盗まれるという事件がありました。店長が最後にお金を確認したのが午後3時でお金の紛失に気がついたのが午後9時頃でした。この間に事務室に出入りできたのはアルバイトの4人だけだったので、その中に犯人がいる可能性が高いのですが、この場合、こんな感じの質問はできませんか。】