【解決事例】無免許運転での執行猶予期間中の再犯で、再度の執行猶予判決を得られないかという相談
2024年08月15日刑事弁護
※解決事例は実際の取扱事例をモデルにしていますが、特定を避けるため、複数の事例を組み合わせる等した上で、大幅に内容を変更しています。
【相談】
Q、私は、無免許運転で執行猶予中の者です。仕事でどうしても運転することが必要となり運転をしたところ、事故を起こしてしまい、再度の無免許運転が発覚しました。起訴されたのですが、何とか再度の執行猶予判決を得られないでしょうか。
A、非常に難しいですが、可能性はゼロではありません。情状弁護を尽くすことで再度の執行猶予判決を得られる可能性はあります。
【解説】
以前私が取り扱った事例をモデルにしています。執行猶予中の再犯の場合、再度の執行猶予が認められることは難しいです。特に、同種犯行の場合には、まず実刑になるといって良いと思います。しかし、本人の事情がありましたので、まず事故の示談については保険会社に早急に進めてもらい、本人が無免許運転に至った事情、そして、実刑になった場合の家族の不利益について詳細に聞き出し、書面化しました。被告人質問では、本人の口から反省と、今後についてを十分話してもらいました。結果、再度の執行猶予となりました。但し、高裁では別の弁護人が就任し、実刑判決となりました。
道路交通法違反については、罪の意識が薄い方が多いです。そのため、例えば以前に無免許運転で執行猶予判決を受けていても、再度無免許運転をしてしまって逮捕されてから初めて後悔する、といったことがあります。ご本人のなかでは、「特に運転する能力に問題はないのだから・・・」とか、「ばれなければ・・・」といった気持ちがあります。こういった場合、その気持ちが間違っていることをしっかり認識した上で、家族も本人に車を運転しないように協力するという姿勢が欠かせません。
刑法
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_1-Ch_4
(刑の全部の執行猶予)
第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。
※2025/1/7 chatGPT o1 proで検証してもらいました。
以下の文章は、
「無免許運転で執行猶予中に再度の無免許運転をして起訴されたが、情状によっては再度の執行猶予が得られる可能性がある」
といった趣旨を含んでいます。
結論として、本件文章は、日本の刑法(執行猶予制度)や交通刑事実務に照らして、十分あり得る話であり、真実性が高いと言えます。ただし、以下のような補足・留意点があります。
1. 執行猶予中の再犯の原則としての困難性
(1)執行猶予付き判決後の再犯は実刑が原則
- 刑法25条2項には、前に禁錮以上の刑に処せられた場合でも「情状に特に酌量すべきもの」があれば再度の執行猶予が許容される旨が規定されていますが、これはかなりの例外的処置です。
- 実務上、執行猶予中に再度の同種犯行をすれば実刑になるのが通常と考えられており、再度の執行猶予を得るのは非常に困難です。
(2)判例・実務で僅かに認められる例
- もっとも、本文が述べるように、「家族への悪影響が大きい」「被告人が深く反省している」「被害弁償・示談がなされ、被害者の処罰感情がない」といった特別な情状を理由に、裁判所が再度の執行猶予を付与する例がないわけではありません。
- 本文にも記載がありますが、極めて稀であり、たとえ一審で再度執行猶予が付いても、検察官が控訴すれば高裁では実刑となる場合もあります。
2. 無免許運転の刑事評価
(1)道路交通法違反の厳罰化
- 無免許運転は道路交通法で処罰され、既に執行猶予中という事情から「反省が乏しい」とみなされるため、検察官・裁判所とも厳しく扱う傾向にあります。
- 特に、事故を起こしてしまったケースでは被害者対応や示談が重要となりますが、再発リスクが高いと判断されると実刑もやむなしとの見方が強いです。
(2)本人・家族の再犯防止策が鍵
- 本文がいうように、「実刑になった場合の家族の不利益」「何故また運転が必要だったのかの事情」「運転しないための具体的な対策」などを詳細に主張・立証して情状を尽くすことが、再度の執行猶予を得る数少ない可能性となります。
3. 本文の真偽
- 「執行猶予中の再犯は極めて不利であり、特に同種犯行なら実刑が原則」
- 正しい。実務経験上・裁判例上も周知の通り。
- 「それでも家族の事情、被害者との示談、本人の再犯防止策など情状弁護を最大限尽くせば再度の執行猶予が付される例外的可能性がある」
- 正しい。刑法25条2項後段が法的根拠となり、稀に認められる。
- 「実際に再度の執行猶予判決を得られた事例があり、もっとも高裁で覆る可能性もある」
- 正しい。本文が紹介するような事例は実務でも散見され、検察官が控訴して上級審で実刑に変わるケースもある。
全体的に、本文は執行猶予中の再犯(同種犯行)で再度の執行猶予を獲得するのが非常に困難だが、まったく不可能というわけではないという実務的な真実を示しており、刑事裁判の運用とも一致します。
4. まとめ
- 本文の主張:
- 無免許運転の執行猶予中に再度の無免許運転 → ほぼ実刑覚悟だが、本人の特別な情状と家族の協力・示談等を十分に示せば再度の執行猶予が付く可能性は皆無ではない。
- しかし、一審で猶予が付いても、高裁で覆ることもある。
- 結論:本記述は日本の刑事法制度(執行猶予)・交通犯罪への対応における実務に照らして正しく、真実性が高いといえます。