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薬院法律事務所

刑事弁護

あおり運転(妨害運転)罪についての解説


2021年07月24日読書メモ

昨年6月の改正であおり運転(妨害運転)が道路交通法で禁止されたという話は皆さん聞いたことがあると思います。
しかし、具体的な内容についてはあまり知られていないのではないかと思いますので、投稿いたします。

なお、あおり運転の結果人身事故を起こした場合については、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)」により重く処罰されることがあります。

道路交通法

第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

十一 他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者

イ 第十七条(通行区分)第四項の規定の違反となるような行為

ロ 第二十四条(急ブレーキの禁止)の規定に違反する行為

ハ 第二十六条(車間距離の保持)の規定の違反となるような行為

ニ 第二十六条の二(進路の変更の禁止)第二項の規定の違反となるような行為

ホ 第二十八条(追越しの方法)第一項又は第四項の規定の違反となるような行為

ヘ 第五十二条(車両等の灯火)第二項の規定に違反する行為

ト 第五十四条(警音器の使用等)第二項の規定に違反する行為

チ 第七十条(安全運転の義務)の規定に違反する行為

リ 第七十五条の四(最低速度)の規定の違反となるような行為

ヌ 第七十五条の八(停車及び駐車の禁止)第一項の規定の違反となるような行為

KOSUZO 2021年6月号付録 KOSUZO教旬ガイドブック令和元年・2年度版94頁

【ア 他の車両等の通行を妨害する目的

相手方に自車との衝突を避けるために急な回避措置をとらせるなど、他の車両等の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図することをいい、単なる通行妨害の認識・認容では足りない。】

【例えば、先を急いでいるという理由で他の車両の前方で急な進路変更を行う場合や、自らの運転技術を見せるために蛇行運転を繰り返す場合は、妨害目的が認められない】

月刊交通2021年1月号82頁

【法第117条の2の2第11号の「当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法」 とは、具体的にどのような方法ですか?)

【妨害の対象となる車両等に交通事故の発生に至る一般的・抽象的可能性を生じさせるような方法をいい、具体的な交通状況に照らし、妨害の対象となる車両等に交通事故の発生の危険性を生じさせる可能性がある方法をいいます。

典型的には、他の車両の通行を妨害する目的で、

○走行中の他の車両の直前で急ブレーキをかけるような行為

○前方車両が急停止した場合に、ブレーキを踏んで減速する間もなく追突するような車間距離で前方車両を追従するような行為

○他の車両の運転者が安全な運転に集中できなくなるほど執ようにクラクションを鳴らすような行為

等が考えられます。】