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薬院法律事務所

刑事弁護

仙波周太郎「路上で発生した強制わいせつ事案において防犯カメラ映像を精査するなどして犯人性を認定した事案」捜査研究2023年7月号(874号)


2024年01月26日読書メモ

近時、防犯カメラは「証拠の王様」とでもいうべき重要な位置を占めています。防犯カメラは、犯人性立証の決め手になるだけでなく、事件性の立証になったり、故意の立証になったりと、幅広く活用されています。

 

捜査研究の2023年7月号に、近時の具体的な活用事例が紹介されていました。

【早朝、マウンテンバイク様の自転車に乗って路上を走行中の犯人が、路上を歩いていた被害者に対して、後ろから接近して、追い越しざまにいきなり、右手でその左胸をもんだという事案】という典型的なパターンです。

このタイプは、現場から逃走しているため、その犯人性の認定については困難が伴います。防犯カメラのない時代は、目撃証言に頼らざることが得ないことが多く、その信用性が争われることも多かったようです。目撃証言は知覚・記憶・供述の過程でそれぞれ誤りが入りやすく、また、後日に得た情報で記憶が変容することもあることから(越智啓太「取調べにおける心理学 第8回 事後情報効果」(捜査研究2021年2月号))、えん罪も相当数あったのではないかと考えています。

記事では、現代における標準的な捜査が紹介されていました。防犯カメラ映像等からの犯人の絞り込み、逮捕後の電子機器等の解析、防犯カメラ映像の解析、否認する被疑者の取り調べなどなど、基本に忠実な捜査です。弁護人が、被疑者に対してどんな捜査がなされているかの説明をする際にも使えますし、勾留請求などを争うためにも使える記事でしょう。

捜査研究 ❯❯ 2023年7月号

https://www.tokyo-horei.co.jp/magazine/sousakenkyu/202307/

 

 

私も同種案件の弁護をしたことがありますが、これはバレると思った方がいいです。同様の犯行を繰り返しているパターンも多く、逃げ切ればバレないと思い込んでいるのですが、そんなことはありません。速やかに自首することをお勧めします。

自首の手順(万引き・盗撮・痴漢・児童買春等)

 

 

なお、防犯カメラの扱いについては、以前も複数記事を書いているところですのでご参考までに紹介いたします。

防犯カメラ映像の収集や再現実験不存在等の不備を指摘して犯人性を否定したバイクとの接触転倒による自動車運転致死事例(福岡地判令4.1.26)

 

解説・顔貌鑑定(顔画像鑑定)

 

「実例捜査セミナー 顔貌鑑定をめぐる問題点」東京地方検察庁検事 丸山潤ほか 捜査研究2018年3月号