公務員が酔っ払って、アパートの窓からのぞきをしたという相談(軽犯罪法違反、刑事弁護)
2024年11月13日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は福岡市に住む40代の地方公務員です。先日、大学時代の同級生たちと居酒屋で飲んだ帰りに、ある古いアパートに通りかかりました。窓が開いていて、女性の声が聞こえてきました。若い女性が住んでいるのでないかと思い、今考えるとどうしてそんなことをしてしまったのかと思うのですが…敷地に入って窓からのぞいてしまいました。すぐに騒がれて、逃げ出したのですが、パトカーが集まっているのを見て怖くなり警察に自首しました。今後どうなるのか不安です。不起訴にできないでしょうか。
A、軽犯罪法違反の窃視罪(1条23号)にあたります。地域によっては「迷惑防止条例違反」とされていることもあるようです。弁護人をつけて示談交渉をすることで、不起訴や警察限りでの処分(不送致)となることも考えられます。
【解説】
真面目に生活をされている方でも、ふとしたきっかけで「犯罪行為」をしてしまうことがあります。軽犯罪法はそういった犯罪行為について取り締まりをするものとなっており、本件においても軽犯罪法違反が問題となります。軽犯罪法違反については、しっかりと弁護活動をすることで警察限りでの処分で終わることもありますので、弁護人をつけることが重要です。
なお、いわゆる「のぞき」行為については、迷惑行為防止条例で取り締まっている地域もあるところ、そのような規定は軽犯罪法の上乗せ規定にあたり、憲法94条に照らして無効と考えられますので、そのことを主張していくことも大事でしょう。
軽犯罪法
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000039/
第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
【参考文献】
警察実務研究会編著『地域警察官のためのチャート式事件処理要領(第2版)』(立花書房,2014年6月)80頁
【〈窃視事件の捜査要領〉
[事例]
A巡査が,夜間警ら中, 民家の陰に人影が見えたため,注視していたところ,黒装束の男が風呂場の高窓の隙間から内部を覗いているところであった。A巡査が背後から近づき,「何をしてい
る。」と一喝したところ, 男は身動きできず, 「すみません。風呂場に明かりがついており,窓が少し開いていたので中を覗いていました。」と自供した。】
地域実務研究会編『地域警察官のための初期捜査活動』(立花書房,2005年8月)86頁
【イ「始末書措置
送致すべき事犯と判断して本署に任意同行したが,取調べの結果,判断基準に照らして送致することがふさわしくない場合,軽犯罪法違反は微罪処分の対象となっていないため,「始末書」を徴して厳重に注意し,その措置を終えることとしている。】
https://www.tokyo-horei.co.jp/shop/goods/index.php?5105