load

薬院法律事務所

刑事弁護

深夜の公然わいせつ事件、目撃者から通報されて、逮捕されないか心配という相談(刑事弁護)


2024年09月16日読書メモ

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、福岡市内に住む30代の会社員男性です。妻と子どもが2人います。自宅が狭いので自慰行為をすることが難しく、昨夜、コインパーキングに駐車した自家用車に乗って自慰行為をしてしまいました。誰もいないと思っていたのですが、通りがかった人に怪訝な目で見られた気がします。公然わいせつ罪として逮捕されないか心配です。逮捕されたら家族に知られるでしょうし、職場にもいけなくなります。

A、公然わいせつ罪が成立する可能性はあります。もっとも、いきなり逮捕される可能性は低いです。ご不安であれば自首という選択肢もあるでしょう。

 

【解説】

 

公然わいせつは「公然」と「わいせつ」な行為をすることが要件です。

公然とは、不特定または多数の人が認識することのできる状態をいいます(最決昭32.5.22集11-5-1526)。「例えば、公園や道路等の場所は、いつ通行人の目に触れるかもしれないため、行為を行っているときにその場に誰もいなかったとしても、公然性の要件を満たすと考えられる。」(藤永幸治編集代表『シリーズ捜査実務全書9 風俗・性犯罪(第3版)』(東京法令出版,2007年8月)33頁)と解されています。そのため、ご相談の事案でも「公然わいせつ」とされる可能性は十分あります。

もっとも、前科がなく、家庭や定職がある場合にいきなり逮捕ということはまずないでしょう。弁護士に依頼して自首同行をしてもらうという選択肢もあります。

 

https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045

(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

【参考文献】

 

高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務Ⅰ(別冊判例タイムズ34号)』(判例タイムズ社,2012年8月)95頁

【東京簡易裁判所において、近時、逮捕の必要性が否定された事例としては、事案が比較的軽微(迷惑防止条例違反、公然わいせつ、暴行、器物損壊等)であり、かつ、①被疑者が定職に就くか家族と同居するなどして安定した境遇にある場合、②被疑者が高齢または年少で逮捕による不利益が大きい場合、③犯行発覚から相当期間が経過し、その間に逃亡及び罪証隠滅が行われていない場合などがある。】