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薬院法律事務所

刑事弁護

否認事件での「示談交渉」はありえるのか


2024年02月14日読書メモ

一般論としては、否認事件でも示談して賠償をすることにより不起訴を狙うということはあります。

例えば、性交の事実には争いがなく、不同意性交であるか否かが争われていて、一見すると口頭での「同意」はあるものの「強いられた同意」であり相手は拒絶できない状況であったとか、そもそも明確な同意がなかったけど、不同意の表明もなかった、といった場合は不同意性交罪が成立するか否か判断が難しいことがあります。そういった場合、少なくとも相手方にとって意思に反した性交であったことを認め、被害弁償として慰謝料を支払い、示談する、ということはありえます。

一方、「犯人でない」という否認の場合は示談交渉はあり得ません。被害者に対しても侮辱になります。

 

日本弁護士連合会『平成22年度研修版現代法律実務の諸問題』(第一法規,2011年8月)
パネルディスカッション
倫理研修

【森下弘 結局、示談や被害弁償、それから宥恕の意思表示、すなわち 嘆願書については、事案によってかなり性質が違うと思うのです。
例えば、性犯罪の場合に、「やってはいないが、弁償します」と言ってしまうと、被害昔がまず納得をしないですね。「私は、そんな 金で頬をはられることで示談をしてしまうつもりで、被害届を出したのではない。犯人を捕まえてもらいたいから、恥を忍んで被害届を出したのだ」、「それを、私はやっていないが、弁償しますとは、一体何事ですか」という形で、120パーセントといってよいほど示談は成立しないですね。】