城祐一郎「強盗犯人は別にいた-ある人違い事件の記録-」捜査研究2022年4月号(858号)58頁
2024年02月12日読書メモ
城祐一郎先生のエッセイです。若いころの大失敗についての話をしています。誤認起訴を起こした経緯について赤裸々に語っており、弁護人目線でも大変参考になる内容でした。
【検察官として最もやってはいけないことは,犯人でない者を起訴することであります。たしかに裁判官による証拠の評価が異なって,例えば,被害者の証言が信用できないなどと評価され,結局証拠が不十分であるとして無罪とされたりすることは時々ありますが, それは人によって証拠の見方や評価も異なることから, ある意味,仕方のないことでもあります(もちろん,そうであっても無罪を出してよいということにはなりませんが。)。
これに対し,犯人でない者を起訴するということは,人権侵害の最たるものであり,権力を持っている検察官としては,絶対にしてはならないことであります。にもかかわらず,私は,若い頃に一度だけ, そのような失敗をしたことがあります。その際には,本当に検事を辞めなければならないかとも思ったのですが,最終的に,辞めるのを止めたことから, その後, 30年以上も検事を続けることになりました。】