妨害運転罪や危険運転致死傷罪が成立しない場合でも、危険性帯有で行政処分がなされることがあります
2024年01月24日交通事故(刑事)
月刊交通の人気連載に「交通警察の基礎知識」というものがあります。
「道路交通研究会」とありますが、実際には警察庁の幹部が執筆していると思われ、最新の交通警察実務を知るためには必須といって良い連載です。
月刊交通2023年9月号(672号)のテーマは「妨害運転」ですが、そこに興味深い記述がありました。
90頁
【また、妨害運転罪や危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等の適用が困難で、点数制度による処分に至らない場合であっても、悪質・危険な運転に起因し、暴行、傷害、脅迫、器物損壊等の犯罪行為が伴う場合には、当該事件内容を精査した上で、自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認められるときは、危険性帯有に係る行政
処分を積極的に行う必要があります。】
月刊交通 ❯❯ 2023年9月号
https://www.tokyo-horei.co.jp/magazine/kotsu/202309/
実は、月刊交通2021年1月号(636号)の「交通警察の基礎知識」では「道路交通法の一部を改正する法律の概要」として令和2年の妨害運転罪についての解説があるのですが、そこでは次のとおり記載されていました。当時より踏み込んだ規制で、従前より厳しい判断がされるようになっているのではないかと推測されます。
84頁
【点数制度による処分に至らない場合であっても、悪質・危険な運転に起因し暴行、傷害、脅迫、器物損壊等が伴う場合等には、危険性帯有に係る行政処分を行い得ます。】
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https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/aori.html
【※ 妨害運転罪や危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等の適用が困難で、点数制度による処分に至らない場合であっても、悪質・危険な運転に起因して暴行、傷害 、脅迫、器物損壊等が行われ、「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」と認められる場合には、危険性帯有者として、運転免許の停止処分を積極的に行うこととしています。】
※道路交通法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105
第百十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
八 他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者
イ 第十七条(通行区分)第四項の規定の違反となるような行為
ロ 第二十四条(急ブレーキの禁止)の規定に違反する行為
ハ 第二十六条(車間距離の保持)の規定の違反となるような行為
ニ 第二十六条の二(進路の変更の禁止)第二項の規定の違反となるような行為
ホ 第二十八条(追越しの方法)第一項又は第四項の規定の違反となるような行為
ヘ 第五十二条(車両等の灯火)第二項の規定に違反する行為
ト 第五十四条(警音器の使用等)第二項の規定に違反する行為
チ 第七十条(安全運転の義務)の規定に違反する行為
リ 第七十五条の四(最低速度)の規定の違反となるような行為
ヌ 第七十五条の八(停車及び駐車の禁止)第一項の規定の違反となるような行為
※自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000086_20220617_504AC0000000068
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。