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薬院法律事務所

企業法務

子のインフルを理由に休業を命じた場合の給料の問題


2019年01月27日労働事件

インターネットで話題になっているので記事を書きました。

理屈上は、民法536条2項と労働基準法26条の休業手当の問題です。ノーワークノーペイだから一律不要というのは間違いですが、会社が必ず全額の給与を払うべきというのも間違いです。

それぞれの事情に照らして、全額の支払いが必要になることもあれば、休業手当で6割だけで良いこともあり、不支給で良いこともある、というのが正確でしょう。

厚生労働省のこういう記事があります。

他の従業員の健康確保の責務もありますし、基本は休業手当で十分だと思います。場合によっては不要になります。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/infu1013-1.pdf
「③感染者と近くで仕事をしていた労働者や同居する家族が感染した労働者を休業させる場合
Q3にあるとおり、感染者と近くで仕事をしていた労働者などの濃厚接触者でも、インフルエンザ様症状がない場合は職務の継続が可能となると考えられます。職務の継続が可能である労働者について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。
なお、大規模な集団感染が疑われるケースなどで保健所等の指導により休業させる場合については、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
※なお、①から③において休業手当を支払う必要がないとされる場合においても、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討する等休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。」

この判断は、業務内容によっても異なるでしょう。
介護施設など、抵抗力の弱っているかたと直接触れあうような事業所であれば、潜伏期間の可能性を考慮して休ませるというのが、会社に責任ありとされるのは疑問です。それなら出勤して働いてもらうことになりますが、利用者の安全確保からも疑問です。

https://www.meiji.co.jp/smartphone/influ-navi/know/detail06.html
「実はインフルエンザウイルスは、発症する1日前から感染力をもっているといわれています。先ほどお伝えした通り、インフルエンザウイルスの潜伏期間は1~2日です。つまり、感染した当日から感染力をもっているということになります。症状をはっきりと感じることのない、発症前から既に感染力をもっているとなると、感染拡大を止めることが容易ではないことが想像できるかと思います。
この感染力は、発症後一週間程度まで持続し、特に発症してから3日ほどは感染力がピークに達すると考えられています。」

なお、感染初期は検査でも出ないそうです。
https://www.meiji.co.jp/smartphone/influ-navi/know/detail06.html
「この検査キットによる検査は、発症後まもなくだとインフルエンザに感染していてもウイルス量が少なく、陰性と判断されてしまう場合あると言われています。」