子供同士が遊んでいて怪我した場合、親に責任を問えるか?
2019年09月22日読書メモ
子供同士で遊んでいて怪我をした場合、親の責任を問えるかということが問題になります。子供が概ね小学生くらいまでであれば、民法714条で親の監督責任を追及するのですが、遊びに参加していた場合はそもそも違法性がなく責任を問えない、となることがあります。
この判例は遠藤浩ほか『民法(7)事務管理・不当利得・不法行為〔第4版〕』(有斐閣,1997年1月)には掲載されていますが、内田貴『民法Ⅱ債権各論[第3版]』(東京大学出版会,2011年2月)にはありません。なので、若手弁護士では知らない人がいるかもしれません。
【昭和三一年一一月二七日当時原判示小学校の二年生であつた被上告人の五女Dが同小学校の校舎で学友らと「鬼ごつこ」をして遊戯中、当時同小学校の一年生であつた上告人Aが附近に立つていたので、Dが学友から追つかけられていた際であり、逃げるためにAに「背負うて」と頼むと、Aはこれを承諾して背を向けたので、Dは急いでAの背に負われると同時に「走つてんか」といつてAに走るよう促したところ、Aは走ろうとしてその場にDを背負うたまま転倒し、そのためAが原判示傷害を負うた旨、の事実を認定し、よつて、A自身も「鬼ごつこ」遊戯に加つたものとして、Dの右行為は客観的にみて条理上是認しうべきものであつて違法性を欠く旨、判定していることは原判文上明白である。そして、原判決挙示の証拠関係に徴すると、上告人Aの原判示負傷は加害者とされるDら児童の「鬼ごつこ」なる遊戯行為中Aがそれに関与した上で発生したものと認められるから、所論「A自身もその時右の遊戯に加つたものとみなければならない」との原判決の判定は、結局において、所論のように経験則、社会通念ないし条理に反するものとは認め難い。さらにまた、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を具えない児童が「鬼ごつこ」なる一般に容認される遊戯中前示の事情の下に他人に加えた傷害行為は、特段の事情の認められない限り、該行為の違法性を阻却すべき事由あるものと解するのが相当である】