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薬院法律事務所

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東京地判平成25年2月6日判決の問題性『破産申立代理人の地位と責任』を読んで


2018年07月20日読書メモ

全国倒産処理弁護士ネットワーク編『破産申立代理人の地位と責任』を読んでいます。自然人破産の申し立ては結構多いので勉強しようと。

以下はプロ向けの話ですが、読んでて嬉しかったのは、東京地判平成25年2月6日の判決(正式な委任契約前でも善管注意義務を負うとして、破産管財人や債権者に対する義務を負うかのような傍論あり)について、野村剛司先生が「そもそも、申立代理人が委任契約締結前の段階で、破産管財人や債権者に対する義務を負うのか、の点から疑問である。かかる余事記載が他の案件の処理に影響を及ぼすことがあるとしたら、極めて問題である」(210頁)と厳しく批判しているところです。裁判所や管財人の本では手放しで当然だとか称賛しているようなのも見かけたので。判例タイムズのコメントで野村先生の破産管財実践マニュアルの内容を引用している点についても批判しています。続く野城大介先生も本判決を批判しています。

同判決は、委任契約後は通帳の預かりなどを求めることも含め、破産者の相談を担当する弁護士に過大な義務を課しているように感じていましたので、良かったです。

また、私の意見ですが、これ、ホームページ経由で来た相談ですので、ただちに通帳を預かるなどということが出来たとは思えません。

これは、単純な財産散逸防止義務ではなく、依頼者の違法行為阻止義務の問題ですので、過度の義務を課されると弁護士は破産の相談も受け付けられなくなります。

https://store.kinzai.jp/public/item/book/B/13226/