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薬院法律事務所

盗撮

採用面接を受けるにあたって、隠し録音して良いかという相談(労働相談)


2018年07月20日盗撮

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、大学生です。今度就活で面接に行くのですが、自分自身の受け答えを確認して、今後の就職活動に活かすために隠し録音をしたいと思います。違法にはにならないでしょうか。

A、隠し録音自体を禁止する法律はありませんが、企業が禁止している場合には当然やめておくべきです。建造物侵入罪が成立する可能性があります。それ以外の場合は、公開するといったことがなければ事実上問題にはならないでしょうが、違法性がないと断言することはできません。積極的に勧めることはできません。

 

【解説】

ATMの暗証番号を盗撮する目的で、銀行出張所内に立入った場合に、そのような立入りは管理権者である銀行支店長の意思に反するとして、建造物侵入罪の成立を肯定した最決平19.7.2(刑集61巻5号379頁)があります。そうすると、秘密録音をする目的で立ち入った場合にも、建造物侵入罪とされるリスクはあります。少なくとも、明示的に禁止されている場合には避けた方が無難だと思います。とはいえ、セクハラ等がなされる危険があるのであれば、自衛のために録音しておいて、問題がなければデータを削除するということは十分考えられる選択肢だとは思います。

 

https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_12

(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

 

【参考判例】

ATMの暗証番号を盗撮する目的で、銀行出張所内に立入った場合に、そのような立入りは管理権者である銀行支店長の意思に反するとして、建造物侵入罪の成立を肯定した最決平19.7.2(刑集61巻5号379頁)があります。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=34887

判示事項
1 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的でした営業中の銀行支店出張所への立入りと建造物侵入罪の成否
2 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を,一般の利用客を装い相当時間にわたって占拠し続けた行為が,偽計業務妨害罪に当たるとされた事例

裁判要旨
1 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入った場合,その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客と異なるものでなくても,建造物侵入罪が成立する。
2 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を,あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装い,適当な操作を繰り返しながら,1時間30分間以上にわたって占拠し続けた行為は,偽計業務妨害罪に当たる。