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薬院法律事務所

一般民事

警察に相談せずに、防犯カメラの映像を確保することができないかという相談(犯罪被害者)


2024年12月08日労働事件(一般民事)

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、福岡市に住む30代の女性です。先日、男性上司に誘われて飲みに行ったのですが、2軒目を出て帰ろうとしたところ、引き留められて、路上で突然抱きしめられました。無茶苦茶気持ち悪く、離して欲しいと言ったのですが、なかなか振りほどけませんでした。ようやく振りほどいて自宅に帰ったのですが、怖くて仕方ありません。翌日は会社を休んだのですが、その上司から「昨日は酔っていてとんでもないことをしてごめんなさい」「許してください」とLINEがきています。許すつもりは一切ないので会社に訴えたいのですが、警察沙汰にまではしたくないと思っています。防犯カメラに映っているはずなので、防犯カメラの映像を確保したいのですが、弁護士さんなら確保できるでしょうか。

 

A、お見舞い申し上げます。確実ではありませんが、弁護士会照会や証拠保全制度等を使うことにより防犯カメラ映像を確保できることがあります。ただ、1週間程度で上書きされることもありますので、早急に弁護士に相談されるべきです。

 

防犯カメラの映像については、単に開示を求めても回答してくれないことがほとんどです。もっとも、コンビニエンスストアなどであれば弁護士会照会を使うことにより取得できる可能性は十分あります。私人宅の防犯カメラは、「公私の団体」にあたらないのでも、弁護士会照会では収集できず、他の手法をとらないといけません。いずれにしても、すぐに相談されることです。

 

弁護士法

https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205#Mp-Ch_4

(報告の請求)
第二十三条の二 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 

【参考文献】

 

愛知県弁護士会編『事件類型別弁護士会照会 第2版』(日本評論社,2020年4月)179頁

【防犯カメラの映像
交通事故が発生した場合、事故現場付近に店舗等が存在すれば、その店舗等に設置されていた防犯カメラの映像内容を調査することで、事故状況を確認することができる可能性があります。】

https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8286.html

 

第一東京弁護士会第一倶楽部編著『実践弁護士業務 実例と経験談から学ぶ 資料・証拠の調査と収集〈第2版〉』(第一法規,2024年2月)182頁

【提訴前の証拠収集処分は、現在、ほとんど利用例がないといわれています。しかし、提訴前に、提訴後必要となる重要な証拠の内容が確認できれば、提訴後の審理の早期化というだけではなく、提訴前の和解交渉にも資することがあります。
例えば、交通事故案件において、事故現場を映した防犯カメラに事故当時の映像が記録されている可能性が高いと予想しつつも、弁護士会照会によっては取得できず、また、証拠保全を利用した場合の審尋等の負担も考慮した結果、早期に提訴前の証拠収集処分の利用を決断し、無事に同防犯カメラ映像を取得したことにより、過失割合が明確になり、提訴前に和解で解決したというような例があります。】

https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/104832.html

 

※2025/1/8 chatGPT o1 proで検証してもらいました。

以下では,ご提示いただいた**「警察に相談しないで防犯カメラ映像を確保したい」という架空の相談事例と,それに対するアドバイス・解説が「事実として正しいかどうか」を検討します。結論としては,「弁護士が弁護士会照会や証拠保全を利用することによって防犯カメラ映像を確保できる可能性がある」という記載や,「映像は上書きされるので早急な対応が必要」「私人宅のカメラには弁護士会照会が使えない場合がある」という説明は,実務上も正確な内容**といえます。


1. 架空の相談事例としての前提

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

本Q&Aは,女性が男性上司からハラスメント的な行為(抱きしめられた)を受けたが,警察に通報はしたくない。防犯カメラ映像を確保したいという想定事例を示しています。実際にこのような事案が起こる可能性はありますが,ここではあくまで「架空のケース」として描かれています。


2. 防犯カメラ映像を確保する手段の説明

本文のAおよび解説部分では,以下の点が述べられています。

  1. 弁護士会照会(弁護士法23条の2)
    • 弁護士が受任中の事件について,所属弁護士会を通じて「公務所」または「公私の団体」に対して報告を求められる制度。
    • コンビニや商業施設などの法人組織が管理するカメラ映像であれば,弁護士会照会により協力を得られる可能性がある。
  2. 証拠保全手続(民事訴訟法上の制度)
    • 訴訟提起前,または訴訟係属中に,「重要な証拠が散逸や隠滅されるおそれがある」場合に,裁判所に証拠収集を求める手続。
    • 防犯カメラ映像を保全するため,裁判所の関与を通じて開示を受けられることがある。
  3. 防犯カメラの映像は短期間で上書きされることが多い
    • 1週間程度で消去されるケースが多いため,**迅速な対応(弁護士に早く相談)**が必要。
  4. 私人宅の防犯カメラや小規模な個人管理の映像
    • 弁護士会照会の対象となる「公私の団体」に当たるかどうかが問題になる(個人宅の場合は対象外となるケースが多い)。
    • このような場合は,別の手法(証拠保全など)を検討する必要がある。

これらのポイントは,実際の法律実務や弁護士業務でも繰り返し説明されているとおりであり,「防犯カメラ映像の保存期間が短い」「個人管理のカメラには照会が及ばない可能性がある」「証拠保全の利用も検討余地がある」というのは正確な知識です。


3. 「警察沙汰にしたくない」場合の留意点

  1. 被害届を出さなくても,民事上の証拠としてカメラ映像を確保したい:本文のように「会社に訴えたい」「ただし警察沙汰にはしたくない」というときでも,弁護士を通じた手続で映像取得を模索するケースはあります。
  2. ただし,警察経由の方が映像提供を受けやすい場合もある:実際には,警察が捜査として関与すると,捜査機関から店舗等に対し捜査協力を要請できるため,よりスムーズに映像が確保できる場合があります。
  3. 映像の確保は手間や費用がかかる:弁護士会照会も証拠保全も無料ではなく,弁護士費用や裁判所の手数料等の支出が生じる可能性がある。本文で「なるべく早く相談してください」と促しているのは,映像の上書きを避けるために重要な指摘です。

これらの点も,実際の被害事案や労働トラブルの現場でしばしば起こる話であり,本文の説明と特に矛盾しません


4. 総合評価:記事内容の真偽

  1. 「事例そのもの」は架空:上司に抱きつかれて被害を受けた女性が,防犯カメラ映像の確保を希望しているという話はフィクションですが,起こり得る事例としては十分想定内です。
  2. 弁護士会照会,証拠保全等を用いて防犯カメラ映像を確保できる可能性があるという説明は,日本の弁護士実務において正しい。
  3. 「公私の団体」ではない個人宅のカメラの場合,弁護士会照会が使えないという指摘も適切。実務上,個人所有の場合は照会に応じてもらえないことも多く,別の手段が必要。
  4. 映像の上書き・消去が早いので,早めに弁護士へ相談する必要性を強調しているのも,まさに実務で重視されるポイントです。

したがって,当該記事の法的解説やアドバイスは現行制度に即した正確な内容であり,虚偽や誤解を招くような情報は見当たりません


まとめ

  • このQ&A・解説は,「警察を介さず,民事(会社内のハラスメント対応など)で防犯カメラ映像を確保したい」という要望に対し,弁護士会照会や証拠保全の制度などを説明しています。
  • 映像が上書きされる前に早急に動く必要があることや,個人宅管理のカメラには弁護士会照会が使えない場合がある点など,実務上の要点を正しく解説しています。
  • よって,記事の内容は実際の弁護士実務・法制度と合致しており,「真偽」を問うならば真実に即していると言えます。