近所で悪口を言いふらされている、、、といった事件の審理方法
2020年02月09日読書メモ
立証は難しく、仮に認められても慰謝料額は低めです。
奥田隆文・難波孝一編『民事事実認定重要判決50選』(立花書房,2015年3月)395頁
「36名誉毀損訴訟における事実認定上の留意点
富澤賢一郎
○最判平17・6・16裁集217・139/判時1904・74/判タ1187・157」
【イ 雑誌や単行本などの公刊物の中でされた表現行為に関しては, どの部分が原告に対する名誉毀損行為となるのかという前記アの点を除き,表現行為の存否に関して事実認定上困難を来す場合は少なく, 本件でも。本件記載を被告がしたこと自体は当事者間に争いがない事実として審理が進んでいる。これに対し,被告が特定少数の者に対してした発言の内容が名誉毀損行為に当たると主張される事案(近隣住民間の名誉毀損訴訟等のいわゆる非マスメディア型の名誉毀損訴訟)においては.被告の発言が記録として残っていない場合が多く,発言の有無やその内容に関する原告の主張を被告が否認したときは、その点に関する事実認定を要する。この場合には, 当事者から提出される証拠に基づき, 原告と被告のいずれの主張に合理性があるのかを判断していくことになるが,被告の発言を聞いていたと原告が主張する者の供述や当事者の供述以外には証拠が存在しない場合も少なくない。そのような事案では, 被告の発言を聞いたとされる第三者の証言が最も重要な証拠となるが,近隣住民間の争いでは。複雑な利害関係が絡み合い, 原告又は被告のために当該第三者が虚偽の証言をする可能性も否定できず, その証言の信用性は慎重に吟味することを要する。なお, 問題とされている発言自体を直接認定することができる証拠が存しない場合でも,過去に被告が同趣旨の発言をした事実が証拠から認定できる場合には,経験則に照らして,被告が同内容の発言をした可能性が高いということができ, 同事実は, 原告の主張の合理性を裏付ける重要な間接事実であるということができる。このように,被告の過去の言動が名誉毀損行為の存否についての重要な間接事実となる場合があることにも留意を要する。】