防犯目的で、自宅の外部を監視する監視カメラの設置は許されるか?
2019年08月02日読書メモ
公共の場所の撮影だからといって、無条件に許されるわけではないです。防犯目的といっても、自宅の外部を監視する監視カメラが違法とされることがあります。
判例タイムズ1425号(2016年8月号)318頁
撮影対象に私道部分や原告らの自宅出入口付近を含む屋外設置のカメラについて,防犯目的を含むものの原告らのプライバシーを違法に侵害するとして,その撤去及び損害賠償が認められた事例
対象事件|
平成27年11月5日判決
東京地方裁判所民事第30部
平成26年(ワ)第13748号
監視カメラ撤去等請求事件
【本件で,主たる争点の一つとなったのが,本件全カメラの設置に伴う原告らのプライバシー侵害の有無である。
本判決は,最初に, 「人は,みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する(最高裁昭和40年(あ)第1l87号同44年12月24日大法廷判決・刑集23巻12号1625頁,最高裁平成15年(受)第281号同17年11月10日第一小法廷判決・民集59巻9号2428頁参照)。 もっとも,ある者の容ぼう等をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは,撮影の場所,撮影の範囲,撮影の態様,撮影の目的,撮影の必要性,撮影された画像の管理方法等諸般の事情を総合考慮して,被撮影者の上記人格的利益の侵害力牡会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきであると解する」 とした上で, 4台それぞれのカメラにつき,個別に原告らのプライバシー侵害の有無を検討している。】
【4本判決の意義
本件は,被告が区分所有建物の共用部分にカメラを設置したところ,その近隣住民がプライバシー権に基づいてカメラの撤去を求める事案であり,いわゆる近隣トラブルの一種である。近年,建物の所有者が屋外にカメラを設置したところ,その近隣で生活する人がカメラの設置及び撮影に伴ってプライバシーを侵害されたと主張して,プライバシー権に基づき,カメラの撤去を求めるという本件に類似する事案が裁判になる例は少なくない(例えば,プライバシー権に基づくカメラの撤去請求が認容された例としては, 「仮に,本件カメラの設置に防犯目的という要素があったとしても,原告らのプライバシーを侵害するような態様での本件カメラの設置及びそれによる継続的な監視は,原告らが被告らの近隣の居住者として社会通念上受忍すべき不利益の程度を超えているものというべきである」とした東京地判平21.5.11判時2055号85頁があり,逆にこのような請求が棄却された例としては,東京地判平18.11.30LLIがある)。】