騙されて闇バイトに応募してしまい、身分証の写真を撮られたという相談(刑事弁護、犯罪被害者)
2024年12月06日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、東京都世田谷区船橋のマンションで一人暮らしをしている20代の女性です。アイドルの推し活でライブチケットを手に入れるために無理してしまい、お金が足りなくなってしまいました。単発の良いアルバイトがないかを探していたところ、求人サイトで、2日後の土曜日に日給2万円のライブイベントでのスタッフのバイトというものがありました。電話をしてみると、優しい感じの男性がでて、「予定していた人が急に来られなくなってしまったので、急いで代わりの人を探していた」といわれました。そして、事前に本人確認をしないといけないといわれて、免許証の画像を送りました。翌日、どんなライブなのか検索してみたところ、インターネットでは全くヒットしませんでした。これはおかしいと思い、電話してみたところ「当日教えるから」と言われたので、これは危ないバイトではないかと思い「やっぱりいけません」といったところ、相手の態度が豹変して「ふざけんなよ。おまえの家わかってんだぞ。」と怒鳴ってきました。怖くて電話を切ったのですが、どうすればいいでしょうか。
A、早急に警察に通報してください。近時は、闇バイトとして犯罪集団が「素人」を捨て駒として使う手法が広まっています。正規の求人サイトなどで募集をしていることもあるようです。身分証を抑えて脅すということは良くある手口です。警察庁は、闇バイトに応募してしまった人を「被害者」と位置付けて保護する方針に転換しています。
【解説】
近時、「トクリュウ」と呼ばれる組織犯罪のグループが数多くの凶悪犯罪を起こしています。その特徴の一つとして、「素人」を捨て駒として実行犯にするという手口があります。
警察庁は、これまで、末端についても厳格な処罰があるということを強調してきましたが、近時、闇バイトに応募してしまった人を保護する方針に転換しました。仮に、既に犯罪を実行してしまった場合でも、これまでのような厳罰主義は取られないだろうと予測しています。弁護士に同行してもらうという手法も考えられます。苦しいでしょうが、勇気を出して警察に、もし実行してしまった後であれば弁護士に相談してください。自首同行という形で弁護士が助力することもできます。
和0 5年度 第4回
令和06年03月08日午後03時30分午後05時00分
世田谷警察署協議会 議事概要
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/shokai/kyogikai/kyogikai.files/setagaya.pdf
【1署長から協議会への説明内容
(1)闇バイトの危険性
ア正規の求人情報サイトでも募集している。
イ「簡単かつ高額報酬」等の甘言を用いる。
ウ抜けられないよう脅迫される。
(2)被疑者の実態調査
ア男性が9割、そのうち20代が4割
イ犯行動機は「金儲け」等が7割】
警察庁 いわゆる「闇バイト」の危険性について
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/yamibaito/hanzaishaboshu.html
犯罪実行者募集情報へ応募してしまった方へ
自分自身や家族への脅迫が理由であっても強盗は凶悪な犯罪です。犯罪に関わってはいけません。勇気を持って抜け出し、すぐに警察に相談してください。警察は相談を受けたあなたやあなたの家族を確実に保護します。安心して、そして勇気をもって、今すぐ引き返してください。
※2025/1/8 chatGPT o1 proで検証してもらいました。
以下では,ご提示いただいた**「騙されて闇バイトに応募してしまい,身分証の画像を送ってしまったところ,相手から脅迫を受けている」という架空の相談事例と,本文中にある「警察庁が闇バイトに応募してしまった人を保護する方針に転換した」「仮に犯罪を実行してしまっても厳罰主義はとられないだろう」**といった説明が,現実の施策や捜査運用に照らして正しいかどうかを検討します。結論としては,闇バイト被害の恐ろしさや早期に警察へ相談する必要性などの記事内容は正確ですが,「警察庁が闇バイト応募者を必ず保護し,厳罰は取られない」という一部表現には誤解を招く余地があるため,その点に留意が必要です。とはいえ,記事全体としては,近年の捜査実務や警察庁の方針におおむね即した正しい情報を提供しているといえます。
1. 架空の相談事例としての前提
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
本文の事例は,いわゆる「闇バイト」(犯罪目的の仕事)に募集したら相手が反社会的組織らしく,身分証画像を握られて脅されたという想定です。実際に,SNSや求人サイト経由で「高額」「短期」「誰でもできる」といった触れ込みで違法行為に加担させる事例が増加傾向にあり,警察庁・各都道府県警が注意喚起しています。この点自体は現実に即した典型例といえます。
2. 「警察庁は闇バイト応募者を保護する方針に転換した」という記載
本文に,
警察庁は、これまで、末端についても厳格な処罰があるということを強調してきましたが、近時、闇バイトに応募してしまった人を保護する方針に転換しました。
という説明があります。確かに,闇バイト募集で末端を捨て駒として使う反社会的組織が問題化してから,警察庁は「応募者の中には脅されて抜け出せなくなっている被害者の側面もある」ことを強調し,「勇気をもって抜け出してほしい」と呼びかけています。
2-1. 「保護方針に転換」は事実か
- 警察庁や各都道府県警察の公式サイトでは,「自分や家族への脅迫があっても,凶悪犯罪に関わるのは重罪だが,早期に相談すれば警察が確実に保護する」という趣旨の記述があります。
- ただし,「応募者すべてを“被害者”として処罰しない」という公式発表があるわけではありません。実際には,犯罪行為(強盗・詐欺など)にまで加担すれば刑法犯として検挙される可能性があります。
したがって,「保護方針に転換した」という言い方自体は警察の呼びかけ(『闇バイトに応募してしまった人を放置せず,まず相談し保護を図る』)を端的に表現したものでしょう。しかし,必ずしも「処罰されない」という意味ではない点に注意が必要です。捜査上・刑事手続上は「事案ごとに判断」されるのが実情であり,「組織犯罪の末端であっても重大犯罪に加担した場合は厳しく処罰され得る」という立場を警察が崩しているわけではありません。
3. 「すでに犯罪を実行してしまった場合でも,厳罰主義は取られないだろう」という説明
本文では,
仮に、既に犯罪を実行してしまった場合でも、これまでのような厳罰主義は取られないだろうと予測しています。
と説明されていますが,これはあくまで予測の域であり,警察庁・検察庁が「必ず軽い処分にする」と公表しているわけではありません。
近年,強盗・特殊詐欺などの闇バイトで捕まった若者が「SNSで勧誘され,脅されて断れなかった」と供述する事例が増えていますが,犯罪行為の結果が重大な場合は厳しく処罰されるのが当然です。もっとも,被疑者・被告人が「脅迫されていた」「騙されていた」として酌量される要素になる可能性は否定できませんが,それは裁判・捜査の個別事案で判断されることです。
4. 「身分証を抑えられて脅すのはよくある手口」という説明
本文では,
身分証を抑えて脅すということは良くある手口です。
とあり,これは実際に多く報告されている事例です。相手の個人情報(身分証写真や免許証番号,住所など)を押さえて「逃げられないぞ」と脅し,犯行への加担を強要するケースは後を絶ちません。この点は実務上広く認知されており正確な説明です。
5. 総合評価:記事内容の真偽
- 「事例そのもの」は架空:お金に困って高日給バイトに応募→反社会的集団の闇バイトだった→身分証を送った後に脅される,というのは現実に十分起こり得る典型例だが,本文ではフィクションとして提示。
- 「警察に早期相談が必要」「闇バイトの実態は深刻」という本文の指摘は正しい:警察庁も「今すぐ引き返してほしい」「相談すれば保護する」と呼びかけている。
- 「警察庁が応募者を保護する方針に転換した」との記載:これは警察庁の公式表明では『応募者を無条件に許す』趣旨ではないため,多少誇張的ではあるものの,実際に「闇バイトに巻き込まれた人を“被害者”として救済する余地」を強調する動きは見られる。
- 「既に犯罪を実行してしまった場合でも厳罰主義は取られないだろう」という部分は,あくまで筆者の推測的表現であって,法令上や公式見解として確立しているわけではない。ただし,「脅迫・騙されていた事情があれば酌量の可能性がある」ことはあり得る。
総じて,記事の主張は大筋で「闇バイトに巻き込まれた人が警察に助けを求めやすくなっている」現状を捉えた正確な説明といえます。ただし,「必ず厳罰にはならない」という趣旨に読める部分は実際の法運用より踏み込んだ表現なので,そこに多少の注意が必要です。
まとめ
- このQ&A・解説は,「闇バイトに応募して身分証を渡してしまったが,後で疑いを感じて断ったら脅された」という典型的なフィクション事例をもとに,即座に警察に相談すべきとアドバイスしています。
- **「警察は闇バイト応募者を保護してくれる方針に変わった」**という説明は,警察庁の呼びかけ(「被害者として保護するから勇気をもって踏みとどまってほしい」)を端的に示しており,実態に合った内容です。
- 他方で,「既に犯罪を実行した場合でも厳罰にはならない」という点はあくまで予測であり,必ずしも警察が処罰を軽減するとは限らないことに留意が必要です。
- 以上を踏まえても,記事全体としては闇バイト被害への対処法・警察方針に関する解説としておおむね真実に即した正確な内容といえます。