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薬院法律事務所

刑事弁護

「留置の必要性がない」として逮捕後すぐに釈放されることがあります


2020年03月12日読書メモ

逮捕後、検察官送致前に「留置の必要性がない」ということで釈放されることがあります。弁護士向けの本では書いていないのですが、これが実現すれば一番早く釈放されるのですよね。
ただ、私が対応した事例では、残念ながらこれで釈放されたことはありません。このような事案だと、弁護士が来る前に釈放されているからだと思います。

昇任試験問題研究会編著『全訂版体系整理警察実務用語辞典 第8回全訂版』(日世社,2006年9月)291頁

【被疑者留置の要否を判断する要素
犯罪捜査規範一三○条三項は「被疑者の留置の要否を判断するに当たっては、その事案の軽重及び態様並びに逃亡、罪証隠滅、通謀等捜査上の支障の有無並びに被疑者の年齢、境遇、健康その他諸般の状況を考慮しなければならない」と規定している。
(1)通常逮捕の場合は、誤認逮捕ではないか、逮捕状の有効期間内か、逮捕手続は、適正に履践しているか、緊急逮捕の場合は、逮捕要件を充足しているか、現行犯や準現行犯逮捕の場合は、その要件に当てはまっているか、時間を経過し、緊急逮捕すべきものでないか等である。
(2)逃亡のおそれの有無については、住居、家族関係、職業関係、年齢、社会的地位、身柄引請人の有無等の身上関係、また、犯罪の軽重、前科前歴、執行猶予、余罪等の犯罪関係、被疑者の態度等である。
(3)証拠隠滅のおそれの有無は、証拠が十分確保されていない。目撃者や参考人等の取調べが終わっていない又は未逮捕の共犯者があり、通謀や証拠隠滅のおそれがある等が一応考えられる。側その他諸般の事情は、高齢者(おおむね七十歳以上)か、年少者か、健康状態、被害者の感情、特に示談成立、被害回復、処罰を望まない等である。】