大阪弁護士会中小企業支援センター編『ヒアリングシートを使った中小企業の法律相談マニュアル 信頼につながる基礎知識とヒアリングのノウハウ』
2018年07月20日企業法務
ざっと読んでみました。なかなか良い本だと思います。
労務相談についての記述も確認しましたが、定評のある文献を参考文献として、近時の裁判例の傾向も踏まえた簡潔な記載がされていました。優秀なアソシエイト弁護士が作成したレジュメ、といった感じです。
これだけでは当然足りませんが、あまり触れない分野の入門書としては有用だと思います。私の場合、企業の海外展開支援・知的財産分野についての記述が参考になりました。
※海外展開の記述で面白いと思った部分。実感の込められた記述でした。
「海外の弁護士は、各弁護士によってそのクオリティーに相当ばらつきがあり・・・日本人弁護士は、一般的な分野には一定の知識を有している、いわゆるジェネラリストが多いですが、海外の弁護士で、ジェネラリストを探すのは意外と困難で、いくつかの専門分野に特化しているスペシャリストであることが一般的です。「スペシャリスト」といえば聞こえはよいのですが、実際には、「その専門分野」以外の分野については、全く実務的な知識を有していないことが通常です・・・海外の弁護士は、自分自身では対応できない分野であっても、平然と「できますよ」と答えることがあります。実際に、案件が進む途中で、実は、当該弁護士はその分野の知識を全く有していないということに気づくことが多々あります。」