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薬院法律事務所

解決事例

【解決事例】不当な明け渡し請求・賠償請求について、低額で和解しました


2024年08月15日解決事例

【相談前】

駐輪場に関するトラブルでした。
駐輪場経営者が土地を借りて、依頼者からリースした駐輪機を設置していました。
土地の所有者と駐輪場経営者が契約の終了で揉めて、駐輪場の所有者である依頼者に対しても明け渡し請求と損害賠償請求がきました。
一審では、契約解除と、解除時からの損害賠償請求が認められました。

【相談後】

一審の判決文を分析し、法的な解釈に誤りがあると確信しました。
契約終了については駐輪場の経営者と土地の所有者との問題であるのでやむを得ないとしても、リース契約をしているに過ぎない依頼者は責任を負わないと主張しました。
そこの反論をきちんとしたことで、低額の解決金で和解が成立しました。

【弁護士コメント】

一審は、大審院判例を理由に、土地上に設置された駐輪機の所有者に対しても明け渡し請求と損害賠償請求を認めました。
しかし、大審院判例の事案は、「賃借人が、他人の所有物を賃借家屋内に備付け、賃貸借終了後そのまま放置したる場合において、家屋所有者はその物の所有者に対してもこれが収去を請求することを得るものとす(判決要旨)」というものです。あくまで「賃借人が、賃貸借契約終了後に他人の所有物を放置した場合」に限って撤去義務と損害賠償義務を認めたものに過ぎません。
一審は、自転車の設置で「占有」があると誤解してこのような判断をしたのですが、単に土地上の物件の所有者であるからといって「占有」しているとは限りません。我妻栄『新訂 物権法(民法講義Ⅱ)』(岩波書店,昭和58年5月)268頁においても大審院判例が妨害排除請求権の問題として取り上げられており、自動車の撤去義務についての最高裁判例(平成21年3月10日民集63巻3号385頁)が妨害排除請求権の問題としています。
このあたりの理論的な話を十分な根拠をもって主張したことにより、高裁ではほぼ依頼者の主張が認められ、低額で和解しました。