【解決事例】労基署からの不当な是正勧告に抗議し、大幅減額して解決
2024年08月15日労働事件(企業法務)
【相談前】
運輸業者につき、最低賃金法に違反しているとのことで監督署から是正勧告がありました。同社は運輸業特有の賃金体系をとっており、基本給を著しく低くして、乗務手当など実際に運転業務に従事した場合に手当を出す形にしていました。この基本給が低いという点が最低賃金法に違反するということでした。
【相談後】
直感的に、最低賃金法違反の判断を基本給でするのはおかしいように思いました。しかしながら、確かに条文や注釈書を見ると監督官のような見解も成立しそうでした。そこで、裁判例や文献を調べたところ、当方の言い分に沿う計算をしている最高裁判例を発見することができました。また、最低賃金法が「賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図る」ものであることから、実際に多額の給与をもらっているドライバーを最低賃金法違反にすることはおかしい、といった意見書を送り、回答しました。その結果、反論はなく無事に解決しました。
【弁護士からのコメント】
労基署の監督官の指導は、必ずしも正しいとは限りません。監督官には立ち入り調査権限があることから、つい従いがちですが、監督官も嫌がらせ的に立ち入ることはできません。以前そういった事例では労働基準監督署の署長に抗議したこともあります。きちんと事実を分析し、根拠のある法的主張をすれば十分認められます。
最低賃金法
https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137
※参考判例
最高裁平成17年6月3日
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52353
判示事項
医師法(平成11年法律第160号による改正前のもの)16条の2第1項所定の臨床研修を行う医師と労働基準法(平成10年法律第112号による改正前のもの)9条所定の労働者
裁判要旨
医師法(平成11年法律第160号による改正前のもの)16条の2第1項所定の臨床研修として病院において研修プログラムに従い臨床研修指導医の指導の下に医療行為等に従事する医師は,病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り,労働基準法(平成10年法律第112号による改正前のもの)9条所定の労働者に当たる。