【解決事例】医療法人の理事長を解任したところ、地位保全の仮処分申立がなされたという事例
2024年08月15日企業法務
【相談前】
医療法人で理事長を解任したところ、解任が不当であることして地位保全の仮処分が起こされました。
【相談後】
仮処分が認められてしまったのですが、他の弁護士と一緒に知恵を絞り、原決定の不当性を主張して解任が自由であることを主張しました。その結果異議申し立てが認められ、最高裁でも維持されました。争点は、定款に「選任」についての規定はあるものの、「解任」についての規定がなく(当時の一般的な規程はそうでした)、選任と同一要件で解任ができるかどうかということでした。
【弁護士からのコメント】
この事件は、私だけの力でしたものではないです。他の弁護士と一緒に知恵を絞って議論したことが成功の秘訣でした。他の解決事例についても、弁護士と共同受任したものがあります。前例のない事件でしたので、依頼者にとってベストの解決をするためには、他の専門家の力を借りることもあります。この事件では、全く会ったこともない弁護士の方にも、その弁護士が書かれた書籍を見て連絡して協力してもらった、ということがありました。依頼者の正当な希望を叶えるためには打てるべき手をすべて打つ、これが大事だと思います。
なお、現在は後掲の最高裁判例があるので、選任と同一の要件で解任できると言いやすくなっていると思います。
最判平成29年12月18日
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87311
判示事項
理事長を建物の区分所有等に関する法律に定める管理者とし,役員である理事に理事長を含むものとした上,役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならない旨の定めがある規約を有するマンション管理組合において,理事の互選により選任された理事長につき,理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができるとされた事例
裁判要旨
理事長を建物の区分所有等に関する法律に定める管理者とし,役員である理事に理事長を含むものとした上,役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならないとする一方で,理事を組合員のうちから総会で選任し,理事の互選により理事長を選任する旨の定めがある規約を有するマンション管理組合においては,理事の互選により選任された理事長につき,当該規約中の理事の互選により理事長を選任する旨の定めに基づいて,理事の過半数の一致により理事長の職を解くことができる。