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薬院法律事務所

刑事弁護

クレプトマニア(窃盗癖)の被告人に対する弁護 季刊刑事弁護94号


2018年07月20日読書メモ

季刊刑事弁護94号「この弁護士に聞く 林 大悟 インタビュアー:中田雅久」

林大悟先生に中田 雅久先生がインタビューしています。クレプトマニア(窃盗癖)の被告人に対する弁護についてです。勉強になります。

画一的な処理は出来ない事案であり、合併している精神障害の有無や、家族や職場などの人間関係、生育歴といった背景事情を見定めた上でフォローする必要がある。親は回復のためのキーパーソン、社会資源であるとともに、クレプトマニア発症の最大の原因である場合も少なくない。家族関係の再生なくしてクレプトマニアの再生はないそうです。

余罪については、あえて全部話させるそうです。執行猶予がつかないにも関わらず安価な商品を万引きする人の判断能力・制御能力はかなり損なわれているので、責任能力を争うと。単純に刑罰より治療といった主張はせずに、行為責任の原則を踏まえて、被害の小ささ、意思決定に対する責任非難の弱さを主張する、と。

個人的に悩ましいのは、国選弁護でお金のない方がこのタイプであった場合です。医師の診察を受けさせようにもお金がない。家族からも見放されている。責任能力を争っても裁判所が鑑定を採用してくれない、こういった場合にどうすべきかということを知りたいと思っています。

http://www.genjin.jp/book/b358335.html