スピード違反、測定結果の正確性を争って嫌疑不十分不起訴を得られるか(ChtGPT4.5作成)
2025年04月28日刑事弁護
承知しました! 日本全国を対象に、直近10年以内の情報に基づき、スピード違反における測定数値の正確性を争って嫌疑不十分・不起訴となる可能性について詳しく調査します。
また、速度測定方法ごと(移動式オービス、固定式オービス、パトカー追尾式、手持ちレーダー)に分けて、最近の警察の速度測定の精度や問題点についてもまとめます。
少しお時間をください。調査結果をまとめ次第ご報告します!
スピード違反の測定値を巡る正確性の争点と不起訴の可能性
日本におけるスピード違反の取り締まりでは、警察が使用する測定機器の精度や誤差が問題となることがあります。直近10年ほどの間に導入・運用されている主要な測定方法ごとに、その測定精度や誤差範囲、指摘される問題点、そして測定精度を争って嫌疑不十分・不起訴(または無罪)となった事例の有無、争う際に主張されるポイントとその有効性について整理します。
移動式オービス(可搬式速度違反自動取締装置)
測定精度・誤差範囲と技術的論点
近年導入が進む移動式オービスは、小型の速度測定装置を路側などに設置して後日通知で取り締まる方式です。技術的にはレーダー方式とレーザー(LiDAR)方式の機器があり、どちらも高い精度で速度を測定します。警察庁やメーカーによる公表値はありませんが、従来型オービスと同様に測定誤差は±2.5%程度とされます (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。メーカーは測定値に0.975を乗じて小数点以下を切り捨てる(約2.5%減算する)処理を行い、表示される速度が実際より高くならないよう補正しています (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。このため、移動式オービスでも測定結果は実際の速度より0~5%程度低めとなり、実際の速度を上回ることはないと説明されています (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。誤測定を防ぐ工夫として、測定範囲を限定する(特定車両のみ捕捉する)センサー設計や、撮影された画像に速度測定地点を示す目印(固定式の場合は白線)を写し込む仕組みがあります。
移動式オービス特有の論点としては、設置環境による誤差が挙げられます。路面の傾斜や設置角度により測定値が影響を受ける可能性があります(例えば進行方向に対し斜めにレーダーを当てるとコサイン誤差で実測より低めの値が出る)。しかしこの点も、警察は設置時に適切に角度補正して運用しているとされています。また、雨天や障害物の有無など環境要因による測定ミスのリスクも技術的には低く抑えられています。現在運用中の移動式オービスは比較的新しい技術であり、旧来の固定式に比べてデジタル処理による信頼性向上が図られていると考えられます。
測定精度を争って不起訴・嫌疑不十分となった事例
移動式オービスに関する不起訴・嫌疑不十分の公表事例は、現在のところほとんど見当たりません。 これは、移動式オービスが本格的に導入されたのがここ数年(2019年前後)であり (移動式オービスの現状と最新のレーダー探知器についての情報公開 …)、まだ裁判で精度が争われるケース自体が少ないためと考えられます。また、測定対象が比較的軽微な速度超過(生活道路で15km/h超過程度)にも及ぶことから (オービスが光った!でもセーフになる?免停や罰金まで不安を解決) (移動式オービスの現状と最新のレーダー探知器についての情報公開 …)、ドライバー側も争わず反則金納付で終わるケースが多いようです。今のところ移動式オービスの測定誤差を理由に嫌疑不十分として不起訴になったという具体的判例や報道は確認できません。
もっとも、過去の固定式オービスに関する例ですが、測定値の正確性に疑義が出て公訴棄却(実質無罪)となったケースがあります。2004年の秋田県での違反事件では、被告人が「92km/hも出していない」と争い、仙台高裁秋田支部が一審有罪判決を破棄し公訴棄却としました (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp))。裁判所は「測定値にマイナス誤差(実際より低めに出る誤差)しか発生しないという客観的な証拠がない」と指摘し、測定値だけでは実際の速度が制限速度内だった可能性を排除できないとして検察の主張を退けたのです (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp))。このような例は極めて異例であり、移動式オービスに直接該当する事例ではありませんが、速度測定の精度を巡って公訴が維持できなくなった例として参考になります。もっと最近(直近10年以内)では、移動式オービス固有の精度問題で不起訴になったケースは確認されていません。
測定精度を争う際の主張ポイントと有効性
移動式オービスの測定値を争う場合、主に以下のような点が主張される可能性があります。
- 機器の校正・整備不良の可能性: 定期的な校正が怠られていたのではないか、機器が正確に作動していなかったのではないかという指摘です。ただし警察は新型機器についても定期点検を実施しており、半年に一度は実測試験も行っています (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。メーカーによれば、移動式オービスも含め速度取締機は所定の誤差範囲内で動作しているか確認されており、その記録は警察に提出されます。もっとも、その試験結果のデータ管理について不透明な部分も指摘されています。実際、オービスの定期点検の走行試験データで不自然な数値が見つかった際、メーカー側が「作表ミスであり正しい表に差し替えた」と証言した例があります (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース) (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。このようにメーカー任せのデータ管理への不信感を突く主張も考えられますが、裁判所はそのケースでも有罪判決(罰金刑)を下しており (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)、現状では有効性は低いと言えます。
- 他車両の誤検知: 測定装置が別の車の速度を誤って検知した可能性です。例えば近くを走る他車や対向車の影響などです。しかし移動式オービスは測定範囲が限定されており、撮影された写真には対象車両のナンバーや運転手が明瞭に写ります。他車を誤って測定したのであれば、写真と測定地点マーカー(白線等)のズレや不自然な写り込みが生じるはずですが、そうした異常が認められない限り説得力は乏しいでしょう (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。メーカー社員も「他車両や電波干渉で誤測定が起きたなら、ちょうど白線の所で撮影されるはずがない」と説明しており、裁判官もそれを信頼する傾向があります (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。
- 測定環境の影響: 強風や雨、設置場所の問題で正確に測れていない可能性の主張です。例えば三脚の振動や道路形状によるエラーですが、これも具体的な証拠を示すのは困難です。警察はそうした状況での使用基準を設けており、極端な環境下では運用しないと考えられます。
総じて、移動式オービスの測定精度を争うのはハードルが高いのが実情です。現代の機器は誤差が小さく、警察側も誤測定の可能性を潰す運用(余裕を持った違反設定速度、精度保証の証拠提示など)を行っています。測定値そのものの信頼性を崩す有効な反論は難しく、仮に主張しても受け入れられる可能性は低いでしょう。ただし、ごく僅かな超過で検挙された場合など、「誤差を考えると制限速度内だった可能性」が論理的に成り立つ場面では、争い方によっては嫌疑不十分の主張余地があります。しかしそのようなケースは稀で、実際には先述のように速度超過のかなり余裕を見た設定(例えば+15km/h以上で作動等)がなされています (オービスが光った!でもセーフになる?免停や罰金まで不安を解決)。したがって、移動式オービスについては測定誤差を理由に不起訴や無罪とするのは非常に難しいと言えます。
固定式オービス(従来型オービス)
測定精度・誤差範囲と技術的論点
固定式オービス(道路脇や上方に固定設置された自動速度取締装置)は、長年にわたり運用されてきた代表的な自動取締装置です。タイプとしては、東京航空計器製のループコイル式(俗称「L式」「LH式」)と、三菱電機製のレーダー式(俗称「H式」)が主に使われてきました。いずれも測定精度は非常に高く、誤差は±2.5%程度以内とされています (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。メーカーの証言によれば、測定値は前述のように内部で約2.5%引き下げ処理が行われ、表示速度は実際より約1km/h低い値になるため「実速度より高く表示されることはありません」とされています (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。
固定式オービスの場合、測定方式に応じた特徴があります。ループコイル式では路面に埋設した2組のコイル(例えば6.9m間隔)を車両が通過する時間から速度を計算します (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。レーダー式では電波のドップラー効果で速度を測ります。いずれも違反設定速度を超えるとストロボ撮影しますが、写真には測定地点の目印となる白線が写り込むようになっています (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。撮影された車のナンバープレート直下に白線が写っていれば、計測した速度通りの位置で撮影できた裏付けとなり、精度の担保に使われています (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。警察やメーカーは、「白線の位置に車が写っていること自体が測定値の正確さを示す証拠だ」と強調しています (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。
論点としては、機器の老朽化があります。固定式オービスは各地で老朽更新が進められていますが、古い装置では整備不良による誤作動の懸念も理論上はあり得ます。ただ、実際には定期点検(半年に1回程度)の際に100台程度の一般車両を使った走行試験が行われ、テープスイッチ式の別測定器との比較で必ず誤差範囲内か確認されています (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。その結果も「すべて0~マイナス5%内に収まった」と報告されており (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)、警察は信頼性に問題はないとしています。
測定精度を争って不起訴・無罪となった事例
固定式オービスについては、先に触れた**仙台高裁秋田支部の公訴棄却判決(2006年判決)**が有名です (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp))。この事件では、被告人はオービスによる測定値(60km/h制限道路を92km/h走行)に納得できないとして争いました。その結果、高裁は「プラスの誤差(実際より高い測定)が生じない根拠が示されていない以上、実際にはそれ以下の速度だった可能性が合理的に残る」と判断し、**一審の有罪判決を破棄して公訴棄却(無罪相当)**としました (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp)) (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp))。この判決は、オービスの測定誤差に合理的疑いを認めた点で画期的でした。当時はメーカー側が「測定値が実速度を上回ることはない」と証言しましたが、裁判所はそれを裏付ける客観データがないことを問題視しました (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp))。
しかし、この高裁判決以降、警察とメーカーは裁判での立証方法を強化しています。先述の内部補正処理(0.975倍処理)や白線による裏付けを詳細に説明し、測定値の信用性をアピールするようになりました (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース) (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。その結果、測定精度を争っても有罪が揺るがなかったケースが大半です。実際に交通裁判を長年傍聴しているジャーナリストの報告では、オービスによる速度違反裁判で測定値を否認してもほとんどが有罪(罰金刑)となっているといいます (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。ある裁判では、定期点検データの不備が明らかになったにもかかわらず有罪認定されました (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。このように近年(ここ10年ほど)では、オービスの精度を理由に嫌疑不十分となり不起訴処分になったり、裁判で無罪を勝ち取ったりした例は確認されていません。警察庁も統計上、速度違反で起訴された事例の有罪率はほぼ100%に近い水準を維持しているとみられます(公式の細分類統計は公表されていませんが、日本の刑事裁判全体の有罪率と交通違反の略式手続利用率から推測できます)。
測定精度を争う際の主張ポイントと有効性
固定式オービスの場合も、基本的には移動式オービスの場合と同様の主張が考えられますが、装置の固定設置ゆえの特有の論点もあります。
- 測定装置そのものの信頼性: 「計量法上の計量器ではないから証拠能力に疑義がある」という主張がかつて検討されたことがあります (オービス(固定式速度違反自動取締装置)は計量法上の計量器 …)(※実際には裁判で計量法違反とはならないと判断されています)。しかし現在では装置の性能や手続きは広く認められており、ここを突く有効な手立ては乏しいです。
- メーカー証言の信用性: 前述のようにメーカー社員が裁判で証言するケースでは、その内容(誤差は必ずマイナス側のみ等)を疑う余地がないか精査されます。2006年の高裁判決はここを突きましたが (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp))、現在ではメーカー側も十分準備しており、「誤差は必ずマイナス側」と断言し得る試験データを揃えてくるでしょう (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。そのデータ自体の改竄可能性などを指摘することも考えられますが (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース) (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)、裁判所がそこまで疑いを入れることは稀です。実際、「試験結果の表は後日差し替え可能」との証言が出てもなお有罪とする判決が出ています (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。したがって、メーカー証言の信用性を崩すのは容易ではありません。
- 他の技術的要因: ループコイル式であれば「二重計測なので誤差が少ないが、もしコイル検知ミスがあれば誤計測になる」といった点、レーダー式であれば「電波干渉(違法無線など)で異常値が出た可能性」などが考えられます (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。ただ裁判では、前述の白線の写真証拠によってそれらの可能性は排除できると判断されがちです (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。「もし誤測定なら車は白線位置に写らないはずだ」という理屈で、裁判官も納得してしまうケースが多いようです (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。
結論として、固定式オービスの測定値の正確性を争うのは非常に難しく、原則として有効ではありません。2000年代前半には稀に公訴棄却などの例もありましたが (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp))、直近10年では技術の裏付けと運用の改善により、測定誤差を理由に逃れられる余地はほとんどなくなっています。弁護士からも「スピード取締りには誤差があるが、それを考慮して基準以上で検挙しているので争っても有罪になる可能性が高い」という趣旨の助言が一般的です (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。よほど特殊な事情や明確な誤測定の証拠が無い限り、測定値の正確性を争う戦術は成功しにくいでしょう。
パトカーによる追尾式取締り
測定精度・誤差範囲と技術的論点
パトロールカー(覆面パトカーや白バイ)が違反車両を追尾して速度超過を取り締まる方式です。これは機械による自動計測ではなく、パトカー側の速度計に表示された値を基に違反を認定する方法です。警察用のパトカーや白バイには、一般車両よりも精度の高い速度計(スピードメーター)が搭載されています (オービスとスピードメーターの誤差!! | Auto Veloce)。誤差はほとんど無いよう厳密に調整されており、毎月1回は速度計の精度検査(校正)が義務付けられているとされています (オービスとスピードメーターの誤差!! | Auto Veloce)。一般の車両のスピードメーターが実際より少し高めに表示される仕様であるのに対し、警察車両のメーターは可能な限り実測値に近づけられており、検査も頻繁に行われるため信頼性は高いです。
追尾式の計測では、違反車を一定距離並走し、その際のパトカーの速度を計測します。警察の運用基準では、ある程度長い距離(数百メートル程度以上)にわたり一定の車間距離で追尾して測定することが求められています。例えば高速道路では○○m以上、一般道でもできるだけ一定間隔で追従して速度を読み取るよう指導されています(※具体的な距離は非公表ですが、現場マニュアルが存在すると言われます)。これにより瞬間的な加減速の誤差を減らし、客観的な証拠とするわけです。
技術的な誤差要因としては、パトカーの速度計自体のわずかなズレ(校正間隔内での誤差数%以内)や、追尾距離が不足した場合の読み取り誤差があります。しかし前述のとおり、警察車両の速度計は精密かつ頻繁校正されており (オービスとスピードメーターの誤差!! | Auto Veloce)、基本的に1km/h未満~数km/h程度の誤差しか生じないと考えられます。また追尾中も常にパトカー側が違反車と速度を合わせてから測定するため、一時的に追いつこうと加速中の値をそのまま違反速度とすることは避けられています。警察官は取り締まりの際、違反車との距離を一定に保ってメーター読みを確認し、「◯◯km/hを超過して走行していた」と証拠化します。
測定精度を争って不起訴・嫌疑不十分となった事例
パトカー追尾式のケースでは、自動計測機器と違い明確な物的証拠(写真や数値記録)が残りにくいため、違反者が否認すると検察が起訴を見送る可能性も理論上あります。しかし、具体的に「追尾式で測定値の不正確さを指摘して不起訴になった」という事例は近年ほとんど聞かれません。速度違反の取り締まりは大半が反則金納付で終了し、公判まで争われる例自体が少ないことも一因です。
とはいえ過去には、追尾式の証拠の不十分さを指摘して無罪を勝ち取った例も存在します。例えば古い例ですが兵庫県の神戸地裁で、パトカーのネズミ捕り(レーダー速度測定から現認まで含む追尾的手法)の案件に公訴棄却判決が出たとの報告があります(制限速度30km/h超過で起訴された事案に対し、公訴棄却=実質無罪判決) (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp))。このケースでは証拠の信用性に疑いがあると判断されたようです。ただし2004年の事例であり、ここ10年以内の事例ではありません。また、昨今ではパトカーにもドライブレコーダーや車載カメラで映像を記録している場合があり、スピード違反の様子を録画して証拠とするケースも出てきています。そのような映像証拠がある場合は、否認しても嫌疑不十分と判断される可能性は極めて低いでしょう。
結局のところ、追尾式取り締まりで不起訴になった例は極めて稀であり、特に近年に限れば具体的統計や判例はほぼ見当たりません。検察官も証拠が警察官の証言しかないような微妙な事案(例えば10km/h未満の僅差など)は起訴を諦めるかもしれませんが、通常は証言や測定記録に沿って起訴し、有罪認定されています。
測定精度を争う際の主張ポイントと有効性
追尾式の場合、争点は人間が測定に関与する分、不確かさがあるという点に集約されます。主張し得るポイントとその有効性は次の通りです。
- 「計器の誤差」の指摘: パトカーの速度計が正確でない可能性を突くものです。しかし前述のように警察車両のメーターは高精度で管理されています (オービスとスピードメーターの誤差!! | Auto Veloce)。弁護側が要求すれば校正記録を開示させられる可能性もありますが、毎月検査しているとなれば誤差を主張しても説得力に欠けます。また「タイヤ交換直後でメーター誤差が一時的に大きくなっていたのでは」等の細かな指摘も考えられますが、現実には数%未満の変動に留まり、大勢に影響しません。
- 「測定手法上の不確実性」: 追尾距離が不足して正確に測定できなかった、パトカーが違反車に追いつく過程で測った速度を誤って適用した可能性などです。例えば、違反車との距離が詰まっていく状況ではパトカー側が加速しているため、瞬間的にパトカーのメーターが違反車より高い速度を示すことがあります。この値をそのまま「違反速度だ」とすると過大計測になります。このような追尾手法の不備を主張することは考えられます。しかし警察官は違反記録として「○○km/hで○○m追尾した」などと供述調書や報告書を作成しており、手法上問題が無いように証言します。客観的証拠(例えば実際の追尾の様子の映像や第三者証言)が無い限り、裁判所は警察官の適正手法による測定という説明を信じる傾向が強いです。結果として、この主張も認められにくいです。
- 「記憶・証言の信用性」: 最終的に証拠が警察官の目測・記憶に頼る部分があるため、その信用性を崩す主張です。例えば「現場で警察官は私の車種を取り違えていたのではないか」「他にも違反車がいて混同した可能性」などです。しかし追尾の場合、基本的には目の前の特定の車を追いかけるので他車との混同は起こりにくく、警察官も確実に対象を識別していると証言します。この点を崩す材料が乏しい限り、証言の信用性に大きな疑いを生じさせるのは難しいでしょう。
総合すると、追尾式で速度違反の測定精度を争うのはかなり厳しいと言えます。自動機器とは異なり物理的な記録が残りにくいため一見争いやすそうですが、その分警察官の供述が重視されます。日本の裁判所は警察官の証言を高く信用する傾向があり、明確な矛盾や誤りを示せなければ覆すのは困難です。弁護士によれば、追尾式の場合「現認した警察官の証言を崩すのは容易でないため、違反を否認して公判を争っても有罪になるリスクが高い」とされています(※具体的出典はないものの、交通事件の実務上の通説です)。ただし、証拠が警官の主観に依存する分、検察が証明に消極的になり不起訴となるケースも理論上あり得るため、明らかに証拠不十分と思われる場合には粘り強く無罪を主張する意義はあります。
手持ちレーダー式(ネズミ捕り:携行式速度計による測定)
測定精度・誤差範囲と技術的論点
手持ちレーダー式とは、警察官が携行する速度測定器(スピードガン)を用いて直接車両の速度を測る方法です。通称「ネズミ捕り」と呼ばれ、道路脇に警官が立って測定し、違反車をその場で停止させる取り締まりによく用いられます。従来は電波式のレーダーガンが主流でしたが、近年一部ではレーザー方式の測定器も導入されています。ただ、一般的に「手持ちレーダー式」といえば電波式の携行型速度計を指します。
測定精度について、公表ベースの数値は少ないものの、一般的なレーダー式速度計は**±1~2km/h程度の精度を持つとされます(距離や機種によって異なりますが、数%以内の誤差性能)。実際、日本の裁判で明らかになった例では「測定誤差は±2.5%程度」とされており (至急!!オービスでは測定誤差が生じるらしいです。やく±2.5%だそうで… – Yahoo!知恵袋)、これはオービス等と同程度です。ただし、携行式の場合は測定時の状況によって誤差が変動する可能性があります。たとえば測定器を構える角度が進行方向に対して斜めになると、ドップラー効果による測定では真っ直ぐ当てた場合より低めの速度が計測されます(コサイン効果)。警察官は違反車両に正面からレーダーを当てるように訓練されていますが、完全にゼロ角度にすることは難しく、若干の誤差要因になります。ただ、この誤差は常に被測定車両に有利に働く(実際より低い速度に出る)ため、違反立証上は問題になりにくいです。むしろ問題は周囲の反射物や複数車両**です。レーダー波が近くのガードレール等で反射したり、同一方向に複数の車がいる場合にどの車の速度を拾ったか不明確になったりする可能性があります。これら技術的論点から、携行式の測定には完全には否定できない不確実性が付きまといます。
警察はこうしたリスクを減らすため、一車線ずつ、見通しの良い直線区間で照射するなどの配慮をしています。また最近のレーザー式測定器はターゲットを絞りやすく精度も高いため、誤測定の可能性は一段と下がっています。いずれにせよ、手持ちレーダー式の測定結果も警察側は高精度で信頼できる証拠とみなしており、通常はそのまま反則切符処理や起訴証拠に使われます。
測定精度を争って不起訴・無罪となった事例
携行式レーダーによる取り締まりでドライバーが測定値に異議を唱え、嫌疑不十分として不起訴になったり、裁判で無罪となったケースは極めて限られます。先述のような神戸地裁での公訴棄却判決(ネズミ捕りレーダー事件)が知られる程度で、直近10年には顕著な事例は見当たりません。ただ、実務的には現場で違反を否認すると青切符(反則金)処理ではなく正式な刑事手続きに移行するため、軽微な違反であれば検察官が「そこまで労力をかけなくても良い」と判断し不起訴とする場合も皆無ではないと推測されます。例えば**測定値ギリギリでの違反(制限+15km/h未満など)**で本人が強く否認しているようなケースでは、証拠不十分との判断で不起訴処分となる可能性も考えられます。しかし公式にそれが明らかになることは稀であり、具体的な統計データもありません。
裁判例としては古いものになりますが、1970年代~80年代にかけてレーダー取締りの精度に疑問を呈した無罪判決がいくつか報告されています (「ネズミ捕りレーダ20周年」の無罪判決(三) | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター) (「ネズミ捕りレーダ20周年」の無罪判決(三) | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター)。例えば「道路交通法のネズミ捕りレーダー20周年」の無罪判決(1991年の文献に言及)などが専門誌で紹介されています。こうした判例は警察の運用改善につながり、その後は測定精度への疑問だけで無罪になることはほぼ無くなりました。
要するに、手持ちレーダー式の取り締まりにおいて測定値の不正確さを理由に不起訴や無罪となる例は、近年ではほとんど存在しないと言えます。多くの場合、違反者がその場で認めて反則金を支払って終わるため、公に争われる機会自体が少ない事情もあります。
測定精度を争う際の主張ポイントと有効性
携行式レーダーの測定についてドライバー側が争う場合、主張のポイントは**「本当にその車の速度を正しく測れたのか?」**に集中します。他の方式と重なる部分もありますが、特に有効となり得る(あるいは検討された)主張は次のようなものです。
- 対象誤認の可能性: レーダーが別の車両の速度を拾ってしまったのではないか、という主張です。例えば自車の手前または奥にいた車の速度を測定してしまい、誤って自車の違反とされた可能性です。この点は取り締まり現場の状況次第では説得力を持ち得ます。警察官が特定の車を狙って照射したといっても、電波式レーダーは指向性が完全ではなく、近くの複数車両に反応する恐れがあります。実際に裁判でも「他車の影響で誤測定したのではないか」という弁護人の指摘がなされることがあります (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)。しかし、警察官は誰を測定したか現認しており、通常は違反車のナンバー等を現場で控えています。また違反車をその場で停止させた場合には「測定器に〇〇km/hと表示されたのを確認し、直後に当該車両を停止させた」という流れになるため、他車と取り違える余地は実際はあまりありません。証拠としても、警察官の現認メモや口頭の注意内容などが残っているので、具体的な混同の証拠が無い限り主張は通りにくいです。
- 機器誤作動・環境要因: レーダー機器自体の誤作動(故障や校正不良)や、電波の反射・干渉による異常値の可能性を指摘するものです。例えば「高圧線や無線機の電波で誤表示したのでは」「雨や霧で正確に測れなかったのでは」などです。理論上はあり得ても、特定のケースでそれを立証するのは困難です。警察も機器は定期的に校正・点検していますし、測定不能な悪天候では通常取り締まりを行いません。裁判でそこを突くには専門家の鑑定などが必要になりますが、コストや現実性の面でハードルが高いです。結局、抽象的な誤作動の可能性指摘だけでは有効な反論とは見なされないでしょう。
- 計測角度・位置の問題: 測定が正しい手順で行われなかった可能性、例えば正面から測れておらず誤差が大きくなったのではないか、という主張です。先述のように角度による誤差は実速度より低く出る方向なので、違反の立証にはむしろ安全側です。逆に言えば角度誤差が大きければ本来違反でないのに低めに出た速度で違反扱いされた可能性がありますが、その場合警察が検挙する基準速度を超えないはずなので摘発自体されません。したがって、この論点も現実のケースではあまり争点になりません。
総じて、手持ちレーダー式の測定値を法廷で争うことは成功例がほとんどなく、現代では有効性に乏しいです。よほど明白なミス(例えば測定対象車を取り違えたことを裏付ける映像がある等)があれば別ですが、通常は警察官の供述と測定器の信頼性が認められて終わります。弁護士のコメントとしても、「ネズミ捕りの速度違反は現行犯逮捕に準じ、争っても警察官の証言を覆すのは難しい。測定誤差を主張しても反則金を免れる可能性は低い」といった趣旨のものが多く見られます(法律相談サイト等の回答より)。実際問題として、反則金を払って済む軽微な違反で正式裁判まで争う人は稀であり、争ったとしても前科が付くリスクを冒してまで無罪を得られる見込みは高くありません。
まとめ
各種速度取締り方法について、測定数値の正確性を争うことの難しさと過去の事例を見てきました。いずれの場合も、警察側の機器や手法の精度は近年飛躍的に向上・洗練されており、公訴を維持するだけの十分な証拠があるとみなされるのが通常です。測定機器については誤差が存在しますが (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)、その誤差は被疑者に不利にならない方向(実際より低めに出る)で管理されています。また、微小な誤差が問題となりうるケースでは、警察はそもそも一定のマージンを設けて摘発しています (オービスが光った!でもセーフになる?免停や罰金まで不安を解決)。こうした状況から、測定値の正確性のみを争点として嫌疑不十分による不起訴や無罪を勝ち取るのは非常に困難なのが現状です。
もっとも、絶対に不可能というわけではなく、過去には裁判所が測定値に合理的疑いを認めた例も存在しました (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp))。しかし直近10年に限れば、そのような例は確認されていません。統計データこそありませんが、裁判になったケースのほとんどで有罪(罰金)判決となっていることから (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)、仮に検察官が起訴に踏み切った場合は有罪になる公算が非常に高いと言えます。
結局、速度違反で嫌疑不十分・不起訴を目指すのであれば、測定精度そのものの争いだけでなく他の要素(運転者の特定に疑義がある、手続違反がある等)も含めて総合的に主張する必要があるでしょう。測定値の信用性については今後新たな技術の問題やミスが発見されれば争点になる可能性もありますが、現時点では警察機器の精度は高く、争いは極めて分が悪いのが実情です。
参考文献・出典:各種ニュース記事・裁判例報道 (プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却 | レスポンス(Response.jp)) (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)、専門家による解説記事 (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース) (オービスの測定値はホントに信頼できる? 否認裁判の証人、メーカー社員の発言に見る怪しさ (2021年3月24日) – エキサイトニュース)、法律相談サイトのQ&A、警察庁資料等。適宜本文中に出典を示した通りです。