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薬院法律事務所

窃盗(万引き)

スーパーのセルフレジに置き忘れられた財布を持ち帰ってしまったという相談(万引き、刑事弁護)


2024年10月01日窃盗(万引き)

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は福岡市に住む専業主婦です。サラリーマンの夫と子どもが二人います。先日、いつも行っているスーパーで買い物をしていたのですが、セルフレジに財布が置いてありました。前のお客さんが忘れていったものだと思うのですが、衝動的にその財布をとってハンドバッグの中に入れてしまいました。家に帰って開いてみると数千円入っていました。後でスーパーから連絡が来ているのですが、自分でもどうしてこんなことをしてしまったのかわかりません。どうすればいいでしょうか。

A、窃盗罪又は占有離脱物横領罪が成立しますが、前科がないので、示談が成立すれば微罪処分、仮に示談ができなくても不起訴になる可能性が高いと思います。ただ、真面目に生きてきた方がこういう事件を起こす場合、その背後には強いストレスがあることがあります。万引き事件の心理に詳しい弁護士の面談相談を受けるべきでしょう。

 

【解説】

 

セルフレジに置き忘れされた財布については、スーパーの店長の管理に係る財物とされます。そして、窃盗罪が成立します。しかし、本件の一番の問題は、真面目に生きてきた方がこういう事件を起こしてしまったことそのものです。この部分に向き合っていかないと、同様の問題をまた起こすことになります。「無理をしている」と体が告げているのです。弁護士を選ぶときは、単に「刑事弁護に強い」人ではなく、その人の苦しみに寄り添う弁護士を選ぶことが大事です。早期に対応すれば、深刻な問題にならず、回復することができます。

 

刑法

https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045

(窃盗)
第二百三十五条他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

【参考文献】

 

川手研典「実務刑事判例評釈(case 334)東京高判令4.7. 12スーパーマーケットのセルフレジに客が置き忘れた財布につき、その店長によって管理、占有されているものと認定した原判決の判断に誤りはないとされた事例」警察公論2023年6月号86頁

【本件は、スーパーマーケットにおいて、利用客がセルフレジ(利用客が自身で操作するレジ)に置き忘れた財布を窃取した事案につき、窃盗罪が成立することを認めた事例である。
実務上、被害品がそれを所持していた者の現実的握持を離れた状態で領得された場合に窃盗罪が成立するか否かが問題となる事例は少なくないと思われる。本判決は、事例判断ではあるものの、セルフレジ及びその周辺の状況や店員の配置状況、レジスペースの機能などといった事情を考慮した結果、セルフレジに置き忘れられた財布に対する店長の占有を認め、窃盗罪の成立を認めたものであり、この種の事案の捜査において参考になると思われる。】

 

【解決事例】服役前科ありの窃盗癖(クレプトマニア)の再犯で、不起訴にできないかという相談