万引きした商品を返品して、お金を騙し取ったという相談(万引き、刑事弁護)
2024年10月26日刑事弁護
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、福岡県福岡市に住む30代の会社員です。お金に困り、フリマアプリで盗んだ品を転売しようと思い、県外への出張時にショッピングセンターに寄って、店員さんの目の届かないところで2万円の衣服の万引きをしました。しかし、フリマアプリではなかなか売れなかったので、出張時に、同じお店に戻って「サイズが違った」といって返金を求めたところ、最初は「レシートがないと…」と言われましたが、結局現金で代金の支払いがなされました。上手くやったと思っていたのですが、後日、警察が自宅にきました。窃盗罪と詐欺罪が成立すると言われています。どうすれば良いでしょうか。前科はつけたくないです。
A、衣服を万引きしたことについては窃盗罪、衣服を「返品」してお金を受け取ったことについては詐欺罪が成立します。同一店舗なので、純粋な被害額としては最後の現金での支払いのみになりそうにも思えますが…犯罪としては2件が成立することになります。いずれにしても示談交渉が重要ですが、お金に困って費用がないということであれば、誠心誠意謝罪するしかないでしょう。2万円以下ということであれば、店舗が赦せば「微罪処分」で済む可能性もあります。
【解説】
参考文献の記事を元ネタにしています。普通に考えればありえないことですが、時々、ありえないような犯罪を起こす人はいます。参考文献では両罪が成立するとしており、私も同意見ですが、犯罪の実質的被害としては金2万円ということで、微罪処分での処理も可能だと考えます。弁護士の面談相談をお勧めします。
刑法
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045
(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
【参考文献】
丸山嘉代「悩める現場の誌上事件相談室 検事! この事件,どうすればいいですか?(第39回)窃盗?それとも詐欺?」警察公論2021年7月号78-85頁
82頁
【では,犯人が盗んだスポーツウェアを持ち込んだ先が,盗んだ店と同じ店だったらどうでしょうか。あるいは,系列店といっても同じスポーツ用品会社の傘下にあって,商品の在庫管理会計管理が単一だったらどうでしょうか。結論からすると,窃盗と詐欺の両方が成立し,両罪で処罰されると考えますが,悩み始めるとなかなか難しい応用編ですね。皆さんも頭の体操で考えてみてください。】