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薬院法律事務所

刑事弁護

万引き事件、初犯で起訴猶予になる方法(万引き、刑事弁護)


2025年09月29日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は、スーパーで高額な化粧品を万引きしました。セルフレジを通したふりをして、商品を持ち帰ったのですが、後日自宅に警察官がきて、万引きをしたことを認めました。前科はないのですが、店舗が許さないということで微罪処分はできないといわれています。示談もできません。前科をつけたくないのですが、どうにかできないでしょうか。

A、スーパーなどでは、会社の方針として示談はしないといった方針をとられていることがあります。被害弁償も受け付けられないということはあるのですが、弁護人を通じて被害弁償の打診をする、再犯防止のための具体的な方策をとっていることを反省文などで示すといったことで起訴猶予になる可能性はあります。

 

【解説】

 

良く、「『起訴猶予』になりますか?」という相談がされます。起訴猶予の考慮要素は、量刑判断の考慮要素と被るところがありますが、必ずしも一致はしません。どういう事案かが大事なので一概にはいえないのですが、一般的な考慮要素としてこういった説明をしています。

検察官は,被疑事実が明白な場合にも,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況により訴追を必要としないときに起訴猶予処分が出来ます(刑事訴訟法248条)。
起訴猶予か否かの決定にあたっては,「要は,刑罰を科さないことが,犯人の社会復帰を著しく容易にするかどうか,また,刑罰を科さなくても,社会秩序の維持を図ることができるかどうか,に重点をおき,刑事政策的配慮の下に決すべきである」とされているところです(司法修習所検察教官室編『検察講義案(令和3年版)』102頁)。

セルフレジを通すふりをして商品を持ち帰ったという手口を「悪質」と捉えるかは検察官次第ですが、一定の常習性が認められるとしても検察官の判断で不起訴にすることはあります。弁護人をつけてアドバイスを受けながら、起訴猶予に向けて有効な事情を積み重ねていくといいと思います。

 

※刑事訴訟法

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131#Mp-Pa_1-Ch_9

第二百四十八条 犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

 

【参考文献】

 

河上和雄ほか編『大コンメンタール刑事訴訟法第二版第5巻〔第247条~第281条の6〕』(青林書院,2013年1月)62頁
【「性格」とは,生来の素質を基礎としつつ,環境との接触による体験によって影響され,形成される人格であり,各個人に特有の,ある程度持続的な行動の様式をいう。具体的には,性質,素行,遺伝,習慣,学歴,知識程度,経歴,前科前歴の有無,常習性の有無などがこの範疇に入る。性格に関してみると,性格的に犯罪性の強い者が弱い者に比して訴追の必要性が大きくなると一般的にいえるであろう。
「年齢」とは生まれてから現在までの経過期間を年月日によって数えたものであるが,具体的には,若年(可塑性に富む)であるか,老年(体力等から刑を科するのが不適当な場合も多い)であるか,学生であるかなどが特に考慮の対象になるであろう。
「境遇」とは,本人の置かれた身上をいうが,具体的には,家庭状況,居住環境,生活環境,職業,職場環境,交友関係などがこれに含まれる。特に,この関係では,両親その他監督保護者がいるかどうか,定まった住居があるかどうか,定職に就いているかどうか,家族の生活状態はどうかなどが重要となろう。
「犯罪の軽重」とは,犯罪行為を客観的に評価した場合における犯罪自体の価値の大小を意味し,具体的には,法定刑の軽重法律上の刑の加重減刑事由の有無犯罪行為の個数,被害の程度,被害の個数などが含まれる。
「犯罪の情状」とは,犯罪行為を主観的に評価した場合における情状であり,具体的には,犯罪の動機・原因・方法・手口,計画性・主導性の有無,犯人の利得の有無,被害者との関係,被害者の落度の有無,犯罪に対する社会の関心,社会に与えた影響,模倣性などが含まれる。
「犯罪後の情況に関する事項」この事項については,犯人に関しては,犯人の反省の有無,謝罪や被害回復のための努力の有無,逃亡や証拠隠滅等の行動の有無,身柄引受人その他将来の監督者・保護者の有無等環境調整の可能性の有無などが含まれる。被害者に関しては,被害弁償の有無・程度,示談の成否,被害者の宥恕の有無,被害感情の強弱などが含まれる。その他のものに関しては,社会情勢の変化,犯行の時間的経過,法令の改廃刑の変更,恩赦などが含まれる。】

セルフレジで商品の一部を精算せずに立ち去ったという相談(万引き、刑事弁護)

万引き事件弁護要領(在宅事件)

 

※2025/10/19 ChatGPT5で検証しました。

拝見しました。結論から言うと、この記事の主張はおおむね正確で、起訴猶予(刑訴法248条)の枠組みや実務の運用感とも整合しています。いくつか補足・表現調整を入れると、より客観的で盤石になります。


主要ポイントの妥当性チェック

1) 起訴猶予の法的根拠と判断要素

  • 刑事訴訟法248条の引用と趣旨(被疑事実が明白でも、性格・年齢・境遇、犯罪の軽重や情状、犯罪後の状況で訴追不要なら不起訴)は正確です。(e-Gov 法令検索)
  • 検察官教材「検察講義案(令和3年版)」が、刑事政策的観点からの判断を強調するのも一般的理解に合致します(教材の性質上、公的Webで全文は出ていませんが、位置づけは妥当)。(細界書店)

2) 「示談ができない店舗でも、被害弁償+再犯防止で起訴猶予の可能性」

  • 大手小売やチェーンでは社内方針で“示談は不可”(または代金等の被害弁償のみ受領)とする例が少なくありません。複数の実務解説が同旨を明記しています。(弁護士法人心 松戸法律事務所)
  • 示談が不成立でも、被害弁償の実施は検察判断で重視され、起訴・不起訴や量刑に影響し得るのは一般的運用です。(弁護士法人新静岡駅前法律事務所)
    → 記事の「示談不可でも、弁護人を通じた被害弁償・反省・再犯防止策の積上げで起訴猶予の可能性」は実務的に妥当

3) 微罪処分(警察限りの処理)に関する説明

  • 微罪処分は警察段階で送致せず終局とする特例で、運用は地域の検察庁・警察の基準に左右されます。窃盗でも軽微な事案・被害回復がある等で適用され得ますが、一律基準はなく、店舗方針や事案の悪質性で適用外になりやすいのは実務上そのとおりです。(新銀座法律事務所)
    → 「店舗が許さないから微罪処分はできない」という単純因果ではないものの、**現場運用として“示談不可=微罪は期待薄”**はよくある実情で、記事のトーンは概ね妥当です(“店舗の拒否=絶対不可”と断定は避けるのが客観的)。

4) セルフレジの手口の評価

  • セルフレジで“通したフリ”は、一般に窃盗の故意を強く推認されやすい態様として扱われます(単なるスキャン漏れは故意否定の余地が論点)。(ダーウィン法律事務所 刑事事件専門サイト)
    → 記事は事実関係として「認めた」前提で進めており、論理矛盾はありません。

5) 統計・傾向の補強(任意)

  • 法務省の資料でも、窃盗での不起訴(起訴猶予含む)割合の変動が示され、政策・運用要素が強いことが示唆されます(年や属性で起訴猶予率は上下)。(法務省)
    → 本文の「事案総合で判断される」という記述を裏づけます。

表現・実務上の小さな改善提案(任意)

  1. 微罪処分の位置づけ
    「店舗が許さない=微罪不可」と読める表現は、
    →「(地域運用次第だが)示談不可の量販・チェーン案件は微罪処分が見込めないことが多い
    程度に柔らげると、より客観的です。(新銀座法律事務所)
  2. “前科を付けたくない”の用語整理
    不起訴(特に起訴猶予)なら前科は付かない一方、警察・検察の前歴は残る点を一言補うと、読者の誤解を防げます(一般周知の整理)。
  3. 再犯防止策の具体例
    クレプトマニア等が背景なら、専門医療受診・通院継続、家族・職場の監督態勢、誓約書、生活環境調整などを箇条書きで具体化すると説得力が増します(精神科領域でも検察と医療の連携が課題である旨の学会誌報告あり)。(精神神経学雑誌)

総評(評価:A)

  • 正確:刑訴法248条の射程、示談不可でも被害弁償+再発防止で起訴猶予の可能性、微罪処分の現場実感、セルフレジ態様の評価。(e-Gov 法令検索)
  • 補足:微罪処分は店舗の可否が決める制度ではなく運用問題/前科と前歴の区別。
  • 実務提案:被害弁償の打診継続、医療・カウンセリング、環境調整、反省書等を体系的に積み上げて検察官へ提出。

以上を数行追補すれば、「一般向けの分かりやすさ」と「制度的な厳密さ」を両立した記事になります。