交通事故賠償請求、刑事裁判手続についても弁護士に依頼すべきかという相談(交通事故、犯罪被害者)
2024年09月24日交通事故(刑事)
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、福岡市内に住む40代のサラリーマンです。先日、青信号で横断歩道を横断中に、信号無視をした車に衝突されました。相手は信号に気付かなかったようで、私は足を骨折する重傷を負いました。まだ治療中ですが、過失運転致傷ということで加害者は裁判になっているそうです。私は処罰については裁判所にお任せしようと思っています。民事賠償請求については弁護士に依頼しようと思っているのですが、いつの段階で依頼すべきでしょうか。また、刑事裁判手続についても依頼すべきでしょうか。
A、少なくとも、刑事裁判継続中に弁護士に依頼すべきです。過失を争う事案の場合は刑事裁判手続から関与する必要性が高いですし、そうでない場合でも、刑事裁判の確定後は、「刑事裁判の記録」が十分に取得できない可能性もあります。
【解説】
交通事故に遭われた場合、いつの時点で弁護士に依頼すべきか悩まれる方がいます。「症状固定後」に受任するという弁護士もいるようです。私は、なるべく早期に依頼すべきだと思っています。特に過失割合に争いがありえる事件であれば刑事手続の段階から依頼すべきです。このことについては、末尾の参考記事をご覧ください。
そうでなかったとしても、少なくとも刑事裁判継続中には依頼すべきです。何故なら、刑事裁判確定後に記録をコピーしようとしても、なかなかコピーの許可が得られず、しかも制限されることがあるからです。刑事裁判継続中であれば「損害賠償請求のため」ということで、裁判所に提出された刑事記録のうち身上調書などを除いた大部分の記録についてコピーが許可されることが多いです。
トップ > 裁判所について > 裁判所における犯罪被害者保護施策 > 刑事手続における犯罪被害者のための制度
https://www.courts.go.jp/about/hogosisaku/seido/Index.html
【刑事事件の記録の閲覧・コピー
刑事事件の被害者の方は,原則として,事件記録の閲覧,コピーができます。また,閲覧,コピーをしようとする事件の被告人等により行われた,その事件と同種の犯罪行為の被害者の方(同種余罪の被害者)は,損害賠償を請求するために必要があると認められる場合には,事件記録の閲覧,コピーができます。
希望する場合には,刑事事件の被害者の方は,事件を審理している裁判所に申し出てください。また,同種余罪の被害者の方は,検察官に申し出てください。】
【参考文献】
第一東京弁護士会 犯罪被害者に関する委員会編著『2訂版 犯罪被害者支援実務ハンドブック~被害者参加、損害賠償命令を中心に~』(東京法令出版,2023年1月)
94頁
【(2) 第1回公判期日以降、刑事裁判確定までの記録について
ア総論
係属している被告事件の閲覧・謄写については、裁判所は、閲覧又は謄写を認める理由が正当でない場合及び閲覧又は謄写をさせることが相当でないという例外的な場合を除き、原則として当該被告事件の被害者等による訴訟記録の閲覧又は謄写をさせることとなっています(保護法3条1項)。】
96-97頁
【(3) 刑事裁判確定後の記録について
刑訴法53 条、刑事確定訴訟記録法4条に基づき、記録を保管する検察庁(第一審を担当した庁)に請求。
ア請求の主体、閲覧・謄写の範囲について
主体に特に制限はありませんが、刑事確定訴訟記録法4条に基づく場合、同条2項各号の制限があります。ただし、当該事件の被害者等は、基本的に同法4条2項の「訴訟関係人又は閲覧につき正
な理由があると認められる者」に該当すると考えるべきです。また、閲覧・謄写の範囲については、事実上保管検察官の判断に基づくため、被害者であり、閲覧等の必要性がある旨を積極的に主張して交渉し、開示の範囲を広くするように努力すべきです。特に被害者参加対象事件の場合には、公判提出予定の証拠等が原則として開示される運用になっていることに鑑み、より広い範囲での開示当を積極的に求めてください。】
https://www.tokyo-horei.co.jp/shop/goods/index.php?12986
※参考記事