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薬院法律事務所

刑事弁護

仕事の都合で、刑事裁判の公判期日を変更したいという相談


2026年04月26日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

Q、私は、東京都に居住する会社員男性です。自動車の酒気帯び運転で裁判にかけられることになり、国選弁護人の方と打合せをしています。明後日が裁判の日なのですが、どうしても私が対応しなければならない緊急案件が発生してしまい、出廷することが難しいです。裁判の期日を変更できませんでしょうか。

A、原則として、刑事裁判の期日の変更はできません。ただし、急病等の理由がある場合には公判期日の変更が認められることもあります。検察官からの意見聴取手続も原則として必要ですし、根拠資料の提出も必要になりますので、至急国選弁護人にご相談ください。

 

【解説】

 

刑事裁判の公判期日は原則として変更が認められません。もっとも、具体的な事情次第では変更が認められますので、刑事訴訟規則に従い速やかに申し出ることが大事です。私自身の取り扱い経験では、検察官の証拠開示が遅くなり証拠を検討できないという理由で公判期日の変更が認められたことがあります。

 

※刑事訴訟法

第二百七十六条 裁判所は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判期日を変更することができる。
② 公判期日を変更するには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。但し、急速を要する場合は、この限りでない。
③ 前項但書の場合には、変更後の公判期日において、まず、検察官及び被告人又は弁護人に対し、異議を申し立てる機会を与えなければならない。

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131#Mp-Pa_2-Ch_3-Se_1-At_276

※刑事訴訟規則

(公判期日の変更の請求)
第百七十九条の四 訴訟関係人は、公判期日の変更を必要とする事由が生じたときは、直ちに、裁判所に対し、その事由及びそれが継続する見込の期間を具体的に明らかにし、且つ、診断書その他の資料によりこれを疎明して、期日の変更を請求しなければならない。
2裁判所は、前項の事由をやむを得ないものと認める場合の外、同項の請求を却下しなければならない。

https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/3893/ja

 

【参考文献】

 

中山善房編『大コンメンタール刑事訴訟法第三版第5巻〔第247条~第281条の6〕』(青林書院,2025年6月)488頁

【2 やむを得ない事由
裁判所は,やむを得ないと認められる場合でなければ公判期日を変更できない(刑訴規179条の4第2項・182条1項)。
やむを得ないといえるかどうかは,期日変更による利益と不利益とを比較衡量して,個々の具体的な事由ごとに判断するよりほかはない(注釈刑訴(4)(新版)〔神垣)41頁,注解刑訴仲)(全訂新版)[鈴木) 426頁,刑訴規則逐条(公判)35頁)。被告人,弁護人の病気等は,原則として,やむを得ない場合に当たるであろうし,被告人に対する余罪が近く追起訴されるという場合も,併合審判の利益を考慮するとやむを得ない場合に当たることが多いであろう(注釈刑訴(4)(新版)〔神垣]41頁注解刑訴仲1(全訂新版)[鈴木] 426頁実務ノート(2) [寺内〕93頁)。被告人が国会議員であっても単に国会の会期中という事由だけでは公判期日変更のやむを得ない事由に当たらないが,国会で被告人の欠席により重大な影響を受ける議事が行われる際これに出席するため期日に出頭できないことが具体的に疎明されたときは,この事由に当たると解される(松尾ほか・条解刑訴(5版増補版) 603頁)。弁護人が衆議院議員として総予算の審議に出席しなければならないことを理由として公判期日の変更申請をした場合においても.これを却下することができるとされている(大判昭10・5・7集14巻505頁)。】

https://www.seirin.co.jp/book/01894.html

 

財団法人法曹会編『刑事訴訟規則逐条説明第編 第3章 公判』(法曹会,1989年12月)35頁

【3 公判期日の変更を許すやむを得ない事由に当たるかどうかは,個々の具体的な事由ごとに判断するほかないか,公判期日不変更の原則を破る例外としてよいかという見地から決すべきである。訴訟関係人が病気で出頭することかできないときは,原則としてこれに当たるといえよう。
判例に現われた事例としては次のようなものかある。
国会議員である被告人の公職選挙法違反被告事件については,既に数回公判期日か変更されており,今回の変更請求の理由か予算の使途に関する国政調査等のため被告人が東京都を離れ難いというものであるときは,その他の事情をも考慮して、右請求を許容しなかったことは相当であるとしたもの(福岡高判昭29• 7 • 20高裁特1-2-51), 市議会議員である被告人か市の審議会に出席する公務があったとしても,公判期日の変更を必要とするやむを得ない事由に当たらないとしたもの(東京高判昭55• 7 • 18判時1003-135) などかある。】