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薬院法律事務所

刑事弁護

自転車での痴漢行為を繰り返していたが、警察に逮捕されるか不安という相談(痴漢、刑事弁護)


2024年01月26日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は福岡市に住む20代のフリーターです。実は、私は痴漢の趣味があり、深夜に自転車で徘徊して、人通りのないところを歩いている女性の胸やお尻を触って、そのまま走り去って逃げるということを繰り返しています。マスクとサングラスをして、帽子も被っていたので、今までのところはバレていないのですが、似たような事件で捕まっている人のニュースを見て、もしかしたら自宅に警察が来るかもしれないと怯えています。実家暮らしですので、自宅に来られたら困りますし、実名報道されたらと思うと怖くてたまりません。どうすれば良いでしょうか。

A、弁護士同伴の上で自首することをお勧めします。

 

【解説】

近時、防犯カメラは「証拠の王様」とでもいうべき重要な位置を占めています。防犯カメラは、犯人性立証の決め手になるだけでなく、事件性の立証になったり、故意の立証になったりと、幅広く活用されています。相談事例については、私も同種案件の弁護をしたことがありますが、これはバレると思った方がいいです。同様の犯行を繰り返しているパターンも多く、逃げ切ればバレないと思い込んでいるのですが、そんなことはありません。いきなり逮捕されることもありますので、速やかに自首することをお勧めします。

 

【参考文献】

仙波周太郎「路上で発生した強制わいせつ事案において防犯カメラ映像を精査するなどして犯人性を認定した事案」捜査研究2023年7月号(874号)

【早朝、マウンテンバイク様の自転車に乗って路上を走行中の犯人が、路上を歩いていた被害者に対して、後ろから接近して、追い越しざまにいきなり、右手でその左胸をもんだという事案】という典型的なパターンです。

このタイプは、現場から逃走しているため、その犯人性の認定については困難が伴います。防犯カメラのない時代は、目撃証言に頼らざることが得ないことが多く、その信用性が争われることも多かったようです。目撃証言は知覚・記憶・供述の過程でそれぞれ誤りが入りやすく、また、後日に得た情報で記憶が変容することもあることから(越智啓太「取調べにおける心理学 第8回 事後情報効果」(捜査研究2021年2月号))、えん罪も相当数あったのではないかと考えています。

記事では、現代における標準的な捜査が紹介されていました。防犯カメラ映像等からの犯人の絞り込み、逮捕後の電子機器等の解析、防犯カメラ映像の解析、否認する被疑者の取り調べなどなど、基本に忠実な捜査です。弁護人が、被疑者に対してどんな捜査がなされているかの説明をする際にも使えますし、勾留請求などを争うためにも使える記事でしょう。

捜査研究 ❯❯ 2023年7月号

https://www.tokyo-horei.co.jp/magazine/sousakenkyu/202307/

自首したいのだけど、どうやって自首すべきかという相談(万引き・盗撮・痴漢・児童買春等)

警察から、防犯カメラを見られて逮捕されないか心配という相談(刑事弁護、万引き、盗撮、痴漢等)

 

なお、防犯カメラの扱いについては、以前も複数記事を書いているところですのでご参考までに紹介いたします。

防犯カメラ映像の収集や再現実験不存在等の不備を指摘して犯人性を否定したバイクとの接触転倒による自動車運転致死事例(福岡地判令4.1.26)

 

刑事事件における、顔貌鑑定(顔画像鑑定)に関する一般論(刑事弁護)

 

文献紹介 丸山潤「実例捜査セミナー 顔貌鑑定をめぐる問題点」捜査研究2018年3月号