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薬院法律事務所

刑事弁護

公務員の万引き事件、職場に通報されたくないという相談(万引き、刑事弁護)


2024年11月12日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

 

Q、私は地方公務員です。市役所で働いているのですが、毎日クレーマーの市民に対する応接と、上司との間で板挟みになり苦しい毎日を送っています。自分でも何故なのかわからないのですが、ある日、残業帰りの深夜に寄ったコンビニで化粧品(数百円)を衝動的に盗みたくなり、万引きしてしまいました。後悔していたのですが、後日、警察から連絡があり、万引きしたといわれて自白しました。公務員なので、職場に通報されるのではないかと心配しています。また、「微罪処分」にはできないのでしょうか。

A、公務員の犯罪行為とはいえ、全件が通報されるということはないようです。公務員の場合は一般に微罪処分にはできませんが、不起訴処分は考えられるでしょう。弁護人をつけて示談交渉をすべきです。

 

【解説】

極端なストレスがかかった人が、ご相談のような「反社会的行動」にでることはしばしばあります。真面目な社会人で、むしろ他の同僚から仕事を押しつけられているということもあります。その理由については人それぞれなのですが、ご自身の身体から出ているSOSサインだと思うべきです。私の経験上、占有離脱物横領罪で公務員が職場に通報されずに終わったことがありますし、全件通報ということはないようです。弁護人をつけて示談交渉をすることと併せて、ご自身の生活の見直しを考えていくべきだと思います。配置転換を申し出る、どうしても逃げられないのであれば退職するというのも一つの選択肢です。人生の選択肢は一つではないです。

犯罪捜査規範

https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50400000002

(微罪処分ができる場合)
第198条捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないとあらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる。
(微罪処分の報告)
第199条前条の規定により送致しない事件については、その処理年月日、被疑者の氏名、年齢、職業及び住居、罪名並びに犯罪事実の要旨を1月ごとに一括して、微罪処分事件報告書(別記様式第19号)により検察官に報告しなければならない。
(微罪処分の際の処置)
第200条第198条(微罪処分ができる場合)の規定により事件を送致しない場合には、次の各号に掲げる処置をとるものとする。
(1)被疑者に対し、厳重に訓戒を加えて、将来を戒めること。
(2)親権者、雇主その他被疑者を監督する地位にある者又はこれらの者に代わるべき者を呼び出し、将来の監督につき必要な注意を与えて、その請書を徴すること。
(3)被疑者に対し、被害者に対する被害の回復、謝罪その他適当な方法を講ずるよう諭すこと。

 

【参考文献】

地域実務研究会編『地域警察官のための初期捜査活動』(立花書房,2005年8月)79頁

【(3) 微罪処分手続書記載上の注意事項(別紙「その1」警視庁書式参照)

ウ「職業」欄(③参照)清廉性を求められる職業はなじまない(公務員・教職員「専門学校,塾講師は除く」・法曹関係者・銀行員・聖職者・警備員「管理者,現金輸送従業者等」)】

 

刑事法令研究会編『3訂版 ヴィジュアル法学 事例で学ぶ刑事訴訟法』(東京法令出版,2015年12月)243頁

【公務員による犯罪を微罪処分の対象から除外する旨の規定はないが、公務員は全体の奉仕者として公共の利益のために職務を行い。その清廉性が強く要求されており、いかに軽微な犯罪であっても、微罪処分にはなじまない。また、被害者・所有者が不明な事件も微罪処分はできないが、外国人(駐留軍構成員等は除く。) については特に制限がなく、その要件を満たしていれば、微罪処分をすることができる。】

https://www.tokyo-horei.co.jp/shop/goods/index.php?5105

 

万引き事件弁護要領(在宅事件)

ご相談後の流れ(在宅事件)