同僚とカラオケに行ったら、突然襲われて強姦(不同意性交)されたという相談(不同意性交、犯罪被害者)
2024年10月26日犯罪被害者
※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
【相談】
Q、私は、福岡県福岡市に住む30代の会社員女性です。独身で婚活中なのですが、先日、同僚の同世代独身男性に誘われてカラオケに行きました。優しい男性で悪くないかもと思っていたのですが、選曲をしている最中に突然後ろから抱きつかれました。混乱していたところ、そのまま服を脱がされて強姦(不同意性交)されました。その後、男は「ありがとう。料金は払っていくから」といって私にキスをして部屋から出ていきました。何があったのかわからず部屋の中に座っていたのですが、数分後、男が戻ってきて、いきなり私の顔面を拳で殴ってきました。怖い顔をして「念のため言っておくが、警察に言ったら容赦しないぞ」と言われ、自分でも何が起きたのかわかりません。そのまま家に帰ってシャワーを浴びたのですが、数日経って、やはりあれは犯罪だったと思い警察に相談に行きました。
A、サイコパスの性加害者ではないかと思います。速やかに警察に行かれたのは正しい選択でした、不同意性交等罪と傷害罪、あるいは不同意性交等致傷罪が成立すると考えられます。法テラスの犯罪被害者援助制度を利用して、被害者代理人弁護士をつけることも有用だと思います。
【解説】
私が、時々記事を挙げている「サイコパス」の性加害者についての架空の相談事例を作成しました。彼らは、およそ他人の痛みに共感することができないので、このような行為でも平気で行うことができます。おそらく、スマホゲームをするのと同じくらいの感覚で、他人をとらえているのだと推測しているところです。ご相談の内容では、不同意性交等罪が成立することは疑いありません。それに加えて傷害罪が成立するか、あるいは全部併せて不同意性交等致傷罪が成立するかという論点はありますが…いずれにしても、重大な犯罪であることは間違いありません。証拠がないと思って被害申告をためらう方もいますが、「あなた自身が一番の証拠」です。私は、勇気を出して警察に申告して欲しいと願っています。
刑法
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045
(不同意わいせつ)
第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕がくさせること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
(不同意性交等)
第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
(不同意わいせつ等致死傷)
第百八十一条 第百七十六条若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2第百七十七条若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。
法テラスの犯罪被害者支援
https://www.houterasu.or.jp/site/higaishashien/
【参考文献】
丸山嘉代「悩める現場の誌上事件相談室 検事! この事件,どうすればいいですか?(第2回)強姦致傷?それとも強姦と傷害?」警察公論2016年10月号57-65頁
61頁
【このように過去の裁判例を見てみると,姦淫行為やわいせつ行為そのものや,姦淫行為やわいせつ行為に向けた暴行以外の暴行で被害者に怪我を負わせた場合であって, 強姦致死傷罪や強制わいせつ致死傷罪の成立が認められた事例では, 「姦淫, わいせつ行為と暴行の時間的,場所的な接着性」と「その暴行が,当該強姦罪, 当該強制わいせつ罪に通常随伴する行為といえるか」が大きな判断要素になっていることが分かります。】