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薬院法律事務所

刑事弁護

大麻の共同所持事件(否認)の弁護要領※chatGPT o1 pro作成(大麻、刑事弁護)


2025年01月27日刑事弁護

プロンプト
【あなたは一流の刑事弁護人です。次に述べる案件について弁護方針を詳細に説明して下さい。「私は25歳の会社員です。学生時代からの友人が大麻が好きで良く買っていたので、興味本位で試したことはありますが、自分で買ったことはありません。先日、友人を乗せて車を運転していたところ職務質問を受けて、友人が大麻を持っていることがバレました。液体大麻だったため当日現行犯逮捕はされなかったのですが、私も友人も尿検査を受けて、私も反応したのですが、基準値以下だったということで大麻使用罪では立件しないと言われました。友人は大麻使用罪と大麻所持罪ということで在宅捜査を受けているようですが、職務質問以後は関わるとまずいかなと思っているので連絡はとっていません。ただ、大麻の共同所持を疑われており、警察からは「友達が持っていることは知っていたんだろう」と追及されています。まあ、彼は大麻好きなので持っていてもおかしくないのですが、その時に実際に持ち歩いていたかまではわかりません。ネットを見ると「未必の故意」でも共同所持が成立するということなので「知らない」と言い続けていますが、逮捕されるのではないかと不安です。逮捕されないようにして欲しいですし、共同所持で処罰されることも避けたいと思っています。弁護士さんがついたらなんとかなるんじゃないかと思っていますので、よろしくお願いします。」】

以下では,ご質問で挙げられた2つの最高裁判例──

  1. 最高裁平成15年5月1日決定(平成14(あ)164)
    (暴力団組長がボディガードによる拳銃所持を「確定的に認識・認容」し,共謀共同正犯とされた事例)
  2. 最高裁平成19年11月14日決定(平成19(あ)285)
    (廃棄物処理委託者が「不法投棄される可能性」を強く認識しつつ,やむを得ないとして処理を委託し,その後の不法投棄につき未必の故意による共謀共同正犯が成立するとされた事例)

──を踏まえたうえで,「大麻を持っているかもしれない友人を車に乗せていたため,自分も『共同所持』を疑われている」というご相談につき,刑事弁護の方針を整理します。


1.問題となっている事案のポイント

  • 相談者(以下「依頼者」といいます)は25歳の会社員で,友人(大麻の常習者かもしれない人物)を車に乗せて走行中に職務質問を受け,友人の大麻所持が発覚した。
  • 依頼者自身も尿検査で微量反応が出たが,基準値以下であったため「大麻使用罪では立件しない」とされた。しかし,警察からは「友人が大麻を持っているのを知っていたのでは」「共同所持ではないか」と追及されている。
  • 依頼者としては「逮捕を避けたい」「共同所持の罪で処罰されたくない」という切実な希望がある。

(1)大麻取締法上の「共同所持」

大麻取締法で処罰される「所持」には,単に自分の身体やカバン等に大麻が入っている直接的な所持だけでなく,「複数人が共同して支配している」状態も含まれます。いわゆる「共同所持」です。

しかも,日本の刑事実務では,「未必の故意」でも共同所持が認められる場合があることは間違いありません。最高裁の判例(今回ご提示の2つを含む)では,未必の故意による共謀共同正犯を広く認める傾向があるように読み取れる場面があります。

(2)2つの最高裁判例の主眼

1) 平成15年5月1日決定(拳銃所持)

  • 暴力団組長が自分の身辺警護のために配下が拳銃を携行していることを「確定的に認識しながら」,それを「当然のこと」として認容していた。
  • その認容状況と,配下との圧倒的上下関係・強固な利益共同体制などから,「組長は自分の身体を守るために拳銃を持たせていたのと同視できる」とし,共同正犯の成立を認めた。

2) 平成19年11月14日決定(廃棄物不法投棄)

  • 被告人らは,不法投棄する可能性が高いと強く認識しつつも,「やむを得ない」として仲介者に廃棄物処理を委託。
  • 実際に仲介者の手を経て第三者が不法投棄した結果について,「未必の故意」による共謀共同正犯が成立すると認定。
  • 「確定的に不法投棄すると分かっていたわけではない」までもなく,強く予期しながら放置・容認したことが決め手となった。

2.2つの判例との比較検討

上記2例はいずれも,「法益侵害行為(拳銃所持や廃棄物不法投棄)の可能性を高い程度で認識しつつ,それを容認する(あるいは黙示の合意に至る)」という形で共犯関係が肯定されたものです。
ただ,その結論に至った理由としては,それぞれが 「依頼者(被告人)が,自ら利益を得るため・または自己の事情で結果を容認しようとした」 という特殊性が強い点に注目する必要があります。

(1)暴力団組長の拳銃事案との相違

  • 組長は拳銃所持によって 直接的な利益(自身の安全)を得ている。
  • 拳銃の携行を事実上支配・指示できる立場(上下関係)にありながら,「やめさせることもできるのに,むしろ当然のこととして受け入れた」。
  • そのため,「組長が持たせているのと同視できるほどの事実上の支配・認容」が認定された。

→ 一方,依頼者(会社員)の場合:

  • 友人に大麻を「持たせることで何か利益を得ている」わけではない。
  • 友人との間に上下関係や支配関係があるわけでもなく,「やめさせることができる立場」ではない。
  • むしろ,友人の大麻所持は依頼者にとって(捕まるリスクが高まる)デメリットしかない。

(2)廃棄物不法投棄事案との相違

  • 被告人らは廃棄物の処理に困り,「違法な処理に至る可能性を知りながら,それでもやむを得ないと判断して仲介者に委託」した。
  • つまり,「廃棄物を処分できれば自分たちは助かる」という強い動機があった。
  • それゆえ「違法な可能性を強く認識しながらも,事実上処理(=不法投棄)を黙認した」という流れが明確だった。

→ 本件との違い:

  • 依頼者は,大麻所持を「やむを得ない」「自分にメリットがあるから仕方ない」と容認したわけではない。
  • 友人が大麻を持っていると仮に思っていたとしても,「自分が何かを委託(持ってきてほしい,捨ててほしい等)した」わけではない。

3.「未必の故意による共同所持」の成否について

最高裁平成19年決定(廃棄物事案)は,「確定的に不法投棄を認識していたわけではないが,強い可能性を認識し『やむを得ない』と考えた以上,共同正犯が成立しうる」と判示しています。ここから「未必の故意」は広く共犯に結び付く可能性があるように読まれがちです。しかし,共犯が成立するには,なお次の要素が必要です。

  1. 共通の目的・利益(又は依頼・合意)
    • たとえ明示的な打ち合わせがなくとも,両者が「法益侵害行為を一緒にやろう」と暗黙に連携している状況。
  2. 支配・処分を委ねる,または共同して利用する関係
    • 処分や利用を委託したり,一方が他方の行為を当然のこととして利用し,利益を得るなど。
  3. 「強い認識」の上での容認(「やむを得ない」「しょうがない」との結論)
    • 少なくとも「自分の意思決定として,違法行為の可能性を事実上肯定・放置している」こと。

(1)今回のケースに当てはめ

  • 依頼者が「その友人が,大麻を所持している可能性」を漠然と感じていたとしても,「自分の利益のために,友人に大麻を持たせていた」「友人の大麻所持によってなにかメリットを得ていた」という事実はない。
  • むしろ,「(大麻があると)自分も危ない」と感じていたはずであり,「やむを得ない」と考えて容認したわけでもない。
  • したがって,平成19年決定のように**「強い認識と積極的容認」**があったとは認め難いのです。

(2)取調べ対応・弁護戦略

  • 捜査機関は「未必の故意」「知っていたでしょ?」という方向から,依頼者を追及する可能性があります。「友人が常習者なら,当然車に乗せるときにも大麻を持っているとわかっていたのでは」といった尋問をしてくるかもしれません。
  • しかし,単に「大麻を持っているかもしれない」という推測レベルでは,最判平成19年決定のような**「強い認識→容認」**の評価にまでは至りません。そこを的確に区別することが重要です。
  • また,「所持」の支配関係(自分もそれを自由に処分できた,あるいは事実上利用していた)といった要素がなければ,そもそも大麻の共同所持は成立しません。依頼者側としては**「大麻を全くコントロールできなかった」「友人が勝手に持っていた」**点を繰り返し主張することになります。

4.具体的な弁護方針

  1. 事実認定の段階で,最高裁判例との決定的な違いを強調する
    • 暴力団組長事案暴力団組長事案:組長が身を守るために拳銃所持を積極利用&上下関係で支配。
    • 廃棄物不法投棄事案廃棄物不法投棄事案:依頼者が「やむを得ない」と考えて違法処理を委託し,結果的に不法投棄を黙認。
    • 本件本件:依頼者は友人を「大麻所持するように」仕向けたわけではなく,大麻所持で得られる利益もなく,むしろ迷惑な存在。
  2. 「未必の故意」であっても,共犯成立には『認容』(容認)が必要
    • 単に「かもしれない」「自分には止められない」程度では足りない。
    • 「それでもいい」「仕方ないから違法行為を認める」という水準まで踏み込んだ意思がなければ,共謀共同正犯は成立しにくい。
  3. 捜査段階の供述対応
    • 取調べで曖昧に「友達はいつも大麻を持っていたから…」などと言ってしまうと,「やはり知っていた」と拡大解釈され,「容認していた」と歪められる恐れがある。
    • 弁護士のアドバイスの下で,**「当日所持していたか分からない」「自分が持たせたわけではない」「持っているなら困るからやめてほしいと思っていた(容認していない)」**という事実を一貫して説明することが重要。
  4. 逮捕回避・不起訴のための活動
    • 警察・検察が逮捕・勾留を検討する場合,弁護士が**「逃亡や証拠隠滅のおそれが低い」「共同所持の成立は見込み薄」**などを主張し,逮捕状の発付や勾留請求を阻止・取り消しを図る。
    • 捜査段階で不起訴に導くことができれば,それが最善(早期終結)の結果となる。

5.結論

  • 最高裁平成19年決定(廃棄物不法投棄)のように,「強く違法の可能性を認識しつつ,利益のため敢えて依頼・容認した」事例とは,本件は事実関係が大きく異なります。
  • また,暴力団組長の拳銃所持事案(平成15年決定)のように,「自分に直接利益をもたらす行為を配下に持たせていた」状況とも全く異なります。
  • したがって,「大麻を持っているかもしれない」との漠然とした認識だけで,共謀共同正犯や共同所持が成立するとまではいえません
  • 実務では,捜査機関が「知っていたでしょ?」「止められたのに止めなかったのは黙認だ」と追及してくる可能性がありますが,弁護士の助言のもと,**「自分には所持を止めさせる立場も意思もなかったし,何より実際に持っているかどうかも分からず,かつ,容認もしていない」**旨を一貫して主張すれば,起訴・処罰の可能性は低くなると考えられます。

以上が,2つの最高裁判例との対比を踏まえたうえでの弁護方針・見通しです。
実際には取り調べ状況や証拠の内容次第で対応が変わってきますので,なるべく早期に弁護士へ相談し,適切なアドバイスを受けることが肝要です。弁護士が捜査段階から関与することで,供述のブレを防ぎ,逮捕や勾留のリスクを最小化し,不起訴処分や早期の事件終了を目指していくことが期待できます。