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刑事弁護

子ども(未成年)が大麻で警察に捕まった!家庭裁判所手続きと親の対応(ChatGPT4.5作成)


2025年07月15日刑事弁護

子ども(未成年)が大麻で警察に捕まった!家庭裁判所手続きと親の対応

突然警察から「お子さんを大麻使用の疑いで逮捕しました」という連絡を受けたら、親としては頭が真っ白になることでしょう。大麻使用は成人なら最長7年の懲役にもなり得る重い罪ですが、それはあくまで成人の場合の話です。未成年(20歳未満)の場合は少年法が適用され、手続きも大人の刑事手続とは異なり、保護と更生に重点が置かれます。とはいえ「子どもがこれからどうなるのか?」、「少年院に入れられてしまうのか?」、「親として何をすればいいのか?」と不安だらけだと思います。本記事では、子どもが大麻所持・使用で警察沙汰になってから家庭裁判所で処分が決まるまでの流れを段階的に説明し、親が取るべき具体的対応策について詳しく解説します。落ち着いて手続きの全体像を把握し、適切な対応ができるよう一緒に確認していきましょう。

事件発覚から逮捕まで:未成年でも身柄拘束はあり得る?

まず、子ども(未成年)が大麻を所持・使用している疑いが発覚した場合の警察の対応です。一般に、警察官による職務質問や周囲からの通報などで大麻所持が疑われれば、現場で事情を聞かれたり所持品検査を受けたりします。14歳以上の未成年であれば、たとえ相手が中高生でも現行犯逮捕される可能性は十分にあります。実際、「14歳以上なら逮捕可能」という法律上の区切りがあり、警察は証拠保全や逃亡防止の必要があれば未成年でも逮捕に踏み切ります。

子どもが逮捕された場合、警察署で取り調べを受けた後、逮捕から48時間以内に事件が検察庁へ送致(書類と身柄の送付)されます。親御さんには通常、逮捕後できるだけ早い段階で連絡が入ります。「息子(娘)さんを逮捕しました」という突然の連絡にパニックになるかもしれませんが、その後の流れを把握して冷静に対処することが大切です。

なお、全ての場合に逮捕されるとは限りません。状況によっては子どもをその場で逮捕せず、在宅のまま捜査を進めるケース(いわゆる「在宅捜査」)もあります。逮捕に踏み切るかどうかは、証拠隠滅や逃亡のおそれ、事件の重大性などで判断されます。仮に逮捕されなかった場合、子どもは後日警察署に呼び出されて数回の取り調べを受け、必要な証拠が揃い次第、書類送検という形で検察庁に送られます。在宅捜査であっても最終的には検察官に送致される点は同じですので、「逮捕されなかった=問題ない」というわけではありません。いずれにせよ、14歳以上で大麻事件を起こした未成年は家庭裁判所の審判を受ける可能性が高いことを念頭に置いておきましょう。

警察・検察での手続き:観護措置と全件送致主義とは

警察での取り調べ後、事件は検察官に送られます。検察官は子どもの身柄をどうするか、次のような判断を下します。

まず、送致を受けた検察官は24時間以内に、子どもを引き続き身柄拘束する必要があるか検討します。成人事件であれば勾留(最長20日間の拘束)を請求する場面ですが、未成年の場合、原則として勾留に代えて「観護措置」をとる運用になっています。観護措置とは、簡単に言えば大人の「拘置所」に相当するものを少年については「少年鑑別所」に置き換える形の手続きです。検察官が観護措置を家庭裁判所に求め、家庭裁判所の裁判官がこれを認めると、子どもは少年鑑別所と呼ばれる施設に収容されます。鑑別所では後述するとおり専門家による調査・観察が行われます。

観護措置がとられるケースが大半ですが、例外的に観護措置ではなく勾留(留置場や拘置所での拘禁)が行われることもあります。これは共犯者がいて口裏合わせを防ぐ必要がある場合など、やむを得ない場合に限られます。しかし通常の大麻事案で未成年に勾留が請求・認容されるのは稀といえるでしょう。

子どもが観護措置決定を受け少年鑑別所に収容された場合、親である私たちは直ちに面会することはできません。逮捕直後から家庭裁判所へ送致されるまでの間、家族は子どもと会えないのが原則です。焦る気持ちはありますが、この段階で子どもの様子を直接知る手段は限られていることを理解してください。一方、弁護士であればこの段階でも子どもと面会(接見)可能です。弁護士を依頼していれば、子どもの様子や事件の詳細について弁護士経由で情報を得られるため、後述するように早期に弁護士を付けることは非常に重要です。

なお、検察官が身柄拘束の必要なしと判断した場合や鑑別所収容が解除された場合には、**「在宅調査」**の形で子どもは自宅にいながら後の手続きを待つこともあります。観護措置が取られず在宅となった場合でも、後述する家庭裁判所の調査は引き続き行われます。いずれの場合も、少年事件はすべて家庭裁判所に送られる決まりになっている点が最大のポイントです(これを「全件送致主義」と言います)。成人の場合、軽微な事件は不起訴になることもありますが、未成年事件では原則として一件残らず家庭裁判所に送られて審判を受ける仕組みなのです。

以上の警察・検察段階の流れは時間的にもタイトです。逮捕から観護措置決定までは最長72時間以内というスケジュールで進みます。親としてはあっという間に感じられるかもしれませんが、この間に子どもの処遇が大きく左右される決定(鑑別所に収容されるか否か等)がなされるのです。

家庭裁判所への送致:調査と少年審判の準備

事件が家庭裁判所に送致されると、本格的な調査と審判の準備が始まります。家庭裁判所には調査官という専門職が在籍しており、送致された少年の性格や生い立ち、家庭・学校環境などを詳しく調べます。子どもが観護措置決定を受け鑑別所に収容された場合、鑑別所での観察期間は概ね4週間程度です。その間、心理学や教育学の専門知識を持つ鑑別技官が子どもと面接し、知能テストや心理テストを行い、問題傾向を把握していきます。また運動や読書の時間が設けられるなど、更生に向けたプログラムも実施されます。鑑別所は少年院とは異なりあくまで審判前の一時的観察の場ですので、「処遇の決定」を目的に子どもを様々な角度から評価するのが目的です。

鑑別所に収容中、家庭裁判所の調査官も定期的に鑑別所を訪れて子どもと面談します。非行の経緯や動機、家庭での様子や生育歴などについて子どもから話を聞き、必要に応じて心理検査の結果など専門資料も参考にしながら、子どもの置かれた環境や性格傾向を詳細に調査します。調査官は親や保護者との面談も行います。親としては、「なぜ子どもが大麻に手を出すに至ったのか」「家庭での教育や生活態度に問題はなかったか」等について聞き取りを受けるでしょう。場合によっては学校にも照会し、学校生活での様子(出席状況や生活態度、交友関係)などの情報提供を受けることもあります。こうした幅広い調査結果は調査記録としてまとめられ、後に開かれる審判で裁判官が処分を決定する際の重要な資料となります。

一方、子どもが在宅のまま手続きが進む場合(鑑別所に収容されず自宅にいるケース)でも、調査官による環境調査が行われる点に変わりはありません。在宅の場合は調査官との面談のために子どもと保護者が家庭裁判所に出向いたり、必要に応じて調査官が家庭訪問をしたりします。子どもが鑑別所にいない分、日常生活での行動ぶりは家庭や学校が中心になりますので、調査官はむしろ親や学校から綿密に話を聞いて評価することになります。「鑑別所に入らなかったから安心」ではなく、在宅の場合も家庭環境の改善や再発防止策が十分かどうか厳しく見られると心得ましょう。

親がこの段階でできることは、調査官に協力し真摯に対応することです。子どもの良い面ばかりを強調したくなる気持ちも分かりますが、隠し事をしたり虚偽を述べたりすれば調査官の信頼を損ねてしまいます。過去に家庭でどのように薬物使用防止の教育をしていたか、問題行動の兆しはなかったか、正直に伝えましょう。**調査官は「この家庭で再び非行が起きないようにできるか」を注視しています。**そのため、家庭で現在取り組んでいる更生支援(例えば専門機関のカウンセリング受診や生活習慣の改善指導など)があれば積極的に伝えると良いでしょう。調査官から助言を受けることもありますので、耳を傾けつつ今後の更生プランについて一緒に考える姿勢が大切です。

少年審判と処分の種類:どんな結末があり得るか

調査が終わると、いよいよ少年審判(家庭裁判所での審理)が行われます。少年審判は非公開で行われ、傍聴人も入れません。家庭裁判所の審判廷で、裁判官が調査記録や警察・検察から送致された資料に目を通し、子ども本人や付添人弁護士、そして保護者の意見などを聞き取ります。成人の刑事裁判とは異なり、検察官は原則関与しない(一部重大事件を除く)ため、対立構造ではなく子どもの改善更生のために何が必要かを話し合う場と捉えてよいでしょう。

審判の結果、裁判官は非行事実(罪を犯した事実)があるかどうかをまず判断します。大麻所持・使用の場合、尿検査結果や押収された大麻そのものが証拠となりますので、事実が認められることが多いでしょう。非行事実が認定されると、次にどのような処分(措置)を講じるかが検討されます。少年事件における処分は子どもの更生を図るための保護処分が中心で、ケースによって以下のような種類があります。

  • 不処分(審判は開くが保護処分なし) … 審判の結果、保護処分を科す必要がないと裁判官が判断した場合に言い渡されます。例えば非行事実が軽微で、子どもが深く反省し二度としないと十分期待できる場合などです。不処分決定になると、保護観察や施設送致といった措置は一切取られず審判終了となります。ただし調査自体は行われますし、審判の場で裁判官から厳重な注意を受けたり、今後の生活について指導されたりすることがあります。大麻事案で不処分となるのは多くありませんが、犯罪事実がそれほど重くなく少年に十分な反省が認められれば、保護処分は不要として不処分にしてもらえる可能性もあります
  • 保護観察処分最も一般的な処分です。子どもを施設に収容せずに社会内(自宅や学校)で生活させながら、保護観察所の指導監督下に置く措置です。具体的には、月に数回程度、地域のボランティアである保護司や保護観察官と面談し、生活状況の報告や指導を受ける形になります。期間は原則20歳に達するまで(特別な場合は短縮あり)ですが、問題なく更生が進めば2年程度で解除されるケースもあります。初犯の大麻事案であれば、この保護観察処分となる可能性が高いといえます。保護観察中は普段どおり家庭や学校で生活できますが、「再び非行に及ばない」「保護司の指導を守る」などの遵守事項をしっかり守る必要があります。保護観察になった場合、心配されるのが前科ですが、保護観察など少年の保護処分は前科にはなりません(※内部的な記録=前歴は残ります)。将来就職などで「犯罪歴」を問われても、保護観察で終わった少年事件であれば法律上の前科はつかないので安心してください。
  • 児童自立支援施設・児童養護施設送致 … 家庭環境に問題がある場合や、家庭から離して生活指導を行った方が良いと判断された場合、少年院ではなく児童福祉施設等に送致されることがあります。児童自立支援施設とは、不良行為をしたりそのおそれがある18歳未満の児童や、家庭環境に問題があって生活指導を要する児童を入所または通所させて教育・自立支援を行う施設です。一方、児童養護施設は、親元で暮らせない18歳未満の児童(保護者がいない、虐待されている等)を預かり養育する施設です。これらの施設は**少年院とは異なり“開放処遇”**で、日中に学校へ通ったり地域で生活訓練を受けたりする形で自立を促す場です。大麻事件を起こした少年に適用されるケースは多くなく、実務上も施設送致が選択されることは滅多にありません。しかし例えば家庭に問題があり親元で更生するのが難しい場合など、少年院に入れるほどではないが家庭から離した環境で指導した方が良いと判断されれば、この措置が検討されることもあります。
  • 少年院送致 … いわば少年の“懲役”に相当する最も重い保護処分です。少年院という矯正施設に送致し、そこで数か月から最長で20歳(特定少年の場合は原則18歳まで)の間、規律ある集団生活や職業訓練などの矯正教育を受けさせる措置です。大麻事案で少年院送致が選択されるのは、常習的に乱用していた場合や再犯の場合、押収量が多い・営利目的があった場合など、非行の程度が重いケースです。初犯・少量であればまず少年院まで行くことは考えにくく、前述の保護観察で様子を見るのが通常ですが、大麻を繰り返し使用していたり過去にも薬物非行歴があるような場合には、少年院送致も現実味を帯びてきます。少年院に送致された場合も前科は付きませんが、本人にとっては長期間家庭から離れる厳しい処遇となります。

以上が代表的な処分の種類です。なお、少年事件では他にも試験観察(後日の最終処分を決める前に一定期間様子を見る中間的処分)や、事件内容によっては検察官への逆送致(成人と同様の刑事裁判にかける手続)なども制度上は存在します。しかし大麻事件の場合、法律上は 逆送対象となる重大犯罪には当たらないため大麻取締法違反の法定刑は1月以上7年以下の懲役で、18~19歳の「特定少年」でも原則逆送には該当しません)、特段の事情がない限り家庭裁判所で保護処分が下される流れとなります。処分が決まれば少年はその方針に沿って更生プログラムを受けることになり、事件は一応の区切りとなります。

親が取るべき対応:弁護士依頼と更生支援

子どもが大麻事件で逮捕されたと聞いたら、親として真っ先にすべきは少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼することです。なぜ弁護士が必要なのでしょうか?理由はいくつかあります。

第一に、逮捕直後から子どもと面会できるのは弁護士だけだからです。繰り返しになりますが、親は逮捕直後~観護措置決定まで子どもに会えません。しかし弁護士(付添人)は接見が許されており、子どもと直接会って今の状況や子どもの様子を確認できます。子どもも知らない場所で一人不安を抱えています。早く弁護士が会いに行けば、「お父さんお母さんが心配しているよ、しっかりしよう」と声を掛けてもらえたり、取り調べで不利なことをうっかり話してしまわないようアドバイスを受けたりできます。実際、少年事件では大人に誘導されて不本意な供述をしてしまうケースもあるため、取調べ段階から弁護士が付いて支える意味は大きいのです。

第二に、手続きの各段階で弁護士が子どもの権利を守り、有利な働きかけをしてくれるからです。例えば検察官送致後、弁護士が付いていれば、検察官に対して勾留(観護措置)を請求しないよう求める意見書を提出することもできます。早期に弁護士が関与することで、子どもが鑑別所に収容されず在宅のまま手続きできる可能性を高めることも期待できます。さらに審判の段階では、付添人弁護士として調査官や裁判官に対し、子どもの反省状況や家庭での更生支援策を積極的に提示してくれます。例えば「現在ご両親とともに薬物専門のカウンセリングに通っています」「二度と違法薬物に関わらないことを誓い、親子で生活改善計画を立て実行中です」といった情報を裁判官に伝え、保護処分をできるだけ軽くするよう努めてくれるのです。適切な処分を得るためには弁護士のサポートが必須であり、家族だけでできることには限界があります。少年事件を扱った経験豊富な弁護士にできるだけ早く依頼することが、子どもの将来を守る第一歩になります。

弁護士を付けた上で、親として取り組むべきは子どもの更生支援と再発防止策の徹底です。逮捕という非常事態に直面すると動揺してしまいますが、大切なのは「なぜ我が子が大麻に手を出したのか」を親子で真剣に考えることです。子どもと面会できるようになったら(在宅事件なら早期に、観護措置中なら審判前面会などで)、頭ごなしに叱責する前に冷静に対話してください。何気ない好奇心だったのか、友人に勧められたのか、ストレスから逃れるためだったのか—背景を聞き出し、二度と繰り返さないためにどうすべきか一緒に考える姿勢が重要です。

薬物の恐ろしさについて改めて教育することも必要です。昨今インターネット上では「大麻は安全」などといった誤情報も飛び交っていますが、それが間違いであること、依存性があり将来を台無しにするリスクがあることを専門資料や専門家の力も借りて教えましょう。場合によっては、保健所や民間の薬物依存相談窓口に親子で相談に行き、専門家から直接指導を受けるのも効果的です。子ども自身が「もう二度とやりません」と決意しても、適切な知識と支援がなければ再び誘惑に負ける可能性があります。**親としてできる限りの環境整備と監督を行いましょう。**例えば、夜遊びや金銭の使い道にこれまで以上に目を配る、交友関係を把握する(必要なら問題のある友人とは距離を置かせる)、部屋の様子に異変がないか注意する、など具体的な監督を強化します。

また、家庭裁判所への対応としては、更生の意思を示す具体的な行動を起こすことも有用です。先述のとおり、審判までの間に子どもが十分反省し生活態度を改めていれば、裁判所が「もはや保護処分の必要なし」と判断してくれる可能性もあります。そのために、例えば親子で地域の薬物乱用防止教室に参加する更生施設のボランティア活動に加わる日記や反省文を書かせる専門カウンセリングを継続する等、「更生に向け真剣に取り組んでいる」ことを示す証拠を積み重ねておくと良いでしょう。そうした前向きな努力は調査官や裁判官にも必ず伝わりますし、処分を決定する上で大きな考慮材料となります。

最後に、親御さん自身の心構えも大切です。大事なお子さんが違法行為で捕まったという現実は精神的に辛いものですが、ここで親が取り乱してしまっては適切な対応ができません。幸い少年事件は子どもの更生を目的とする手続きです。裏を返せば、更生の見込みが十分にあれば寛大な処分も期待できるということです。悲観しすぎず、「社会全体で子どもの更生を支えてもらう機会」くらいの前向きさで臨みましょう。弁護士や調査官など、頼れる専門家の力を借りつつ、慌てず冷静に手続きに向き合うことが何より重要です。親の落ち着いた対応はお子さんにとっても支えになります。この困難を乗り越えることで、きっとご家族もお子さんも一回り成長できるはずです。困ったときは一人で抱え込まず専門家に相談し、親子で二度と違法薬物に手を出さない明るい未来を目指していきましょう。

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