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薬院法律事務所

刑事弁護

弁護士付添人が活動する中で,事実を認める機会を失って否認を続けている?


2019年07月14日刑事弁護

判例タイムズ2016年2月号 394頁

少年による痴漢の否認事件。非行事実を認定した上で、不処分にしています。「両親や付添人のせいで自白できなくなったんでしょ?だから否認しているけど処分しない。」といった感じの決定です。こんな決定もらったら複雑な気持ちになります(^_^;)

平成27年4月30日決定
東京家庭裁判所
平成26年(少)第1634号
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等
の防止に関する条例(東京都,千葉県)違反
保護事件

【(保護処分に付さなかった理由)
本件非行は,いわゆる痴漢行為であって,女性の人格を侵害するこの種行為に対する非難の厳しさが牡会的に周知されている現代においては,その罪障感が強く生じるべき行為である。少年は,自己の性的欲求を抑えることができずにこのような痴漢行為を行ったという点で, まず大きな問題がある。また,現場において注意された際に事実を認めず,更にその後の捜査,審判手続においても否認を続けていることは, 自己の非を認めて謝罪するというあるべき社会性を備えていない問題性を有していることが示されている。】

【また,否認を続けていることについては,両親が少年の言い分を受け入れ,弁護士付添人が活動する中で,事実を認める機会を失って否認を続けているとみる余地もあり,少年の非社会性が反社会性の表れとまでみることはできず,少なくとも,一般的な非行に結び付く可能性を示しているものとは言い難い。
これに,少年の家庭環境, 〈省略〉現在の生活状況からすれば,少年が再非行に及ぶ可能性が高いとは認められないので,現段階で保護処分に付する必要はないものと判断する。
よって,少年法23条2項により主文のとおり決定する。
(裁判官鹿野伸二)】