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薬院法律事務所

企業法務

書籍紹介 TMI総合法律事務所編『起業の法務一新規ビジネス設計のケースメソッド』(商事法務,2019年9月)


2020年02月09日労働事件(企業法務)

ベンチャー企業支援の経験はないですが、まあそうなんでしょうねえ。なかなか面白い本ですのでオススメします。

TMI総合法律事務所編『起業の法務一新規ビジネス設計のケースメソッド』(商事法務,2019年9月)

【(1) フェーズ1草創期(1人~10人のフェーズ)
経営者が有望な人材の紹介・推薦を、友人・知人、あるいは社員に呼びかけた結果、採用に至る、いわゆるリファラルリクルーティング(リファラル採用)が多い段階の草創期である。
この段階で入社した労働者は、経営者の個性に直接触れたうえで入社を決断することが多い。また、各種の部分が未整備であることを承知のうえで入社するため、経営陣と苦楽をともにしながら企業を発展させること自体が、モチベーションやロイヤリティ(忠誠心)の源泉となっていることも多い。
そのため、経営者が「自分についてこい」といったかたちのリーダーシップを発揮していても、労働者からの労務管理面に関するクレームが出るなどのトラブルが発生しにくい。その反面、経営陣のコンプライアンスに対する危機感が乏しくなりがちで、労務環境の整備の遅れというリスクが後に影響しかねない。】

131頁
【上場準備の人事労務管理において、最大の難関は未払残業代の清算である。多くのベンチャー企業が未払残業代を抱えていると思われる・・・IPOをめざす企業では、IPO前に未払残業代を清算しなければならないが、そもそも労働者の労働時間に関する記録等の勤怠管理を行っていないため、未払残業代がいくらになるか計算できなかったり、資金が用意できなかったりとなかなか清算が進まない。残業代請求の時効は2年(労働基準法115条)であるため、多数の労働者に2年間遡及して支払うとなると、その金額は莫大なものとなりかねないため、企業にとっては死活問題とすらなりうるのである。】

137頁
【ベンチャー企業では、耆面で契約を交わさずに労務提供を始めたり、求人内容と異なった契約害を締結させたりするが、労働者が聞いていた給与額や業務内容と異なるとトラブルになり、せっかく採用したのに離職していってしまうケースが多々ある。】

139頁
【インターンシップという名にかこつけて、実態は長期間にわたって労働をさせているにもかかわらず、無給のケースがある。近年はだいぶ改善してきたとはいえ、まだまだ無給で働かせている企業はあるので、給与を支給しなくてはならない。】

https://www.shojihomu.co.jp/publishing/details?publish_id=4389&cd=274001