最高検察庁『(秘・無期限)再審無罪事件検討結果報告-免田・財田川・松山各事件-』(最高検察庁,1986年)について
2021年05月28日刑事弁護
偶然ネットオークションで入手したので読んでみました。
全体として、捜査が不十分あるいは未熟であったために、真犯人を再審無罪にしてしまった、というトーンで書かれています。検察官目線だとそういう考えになるのかなあという意味で大変興味深い内容でした。
貴重な書籍ですので、再審弁護活動に取り組まれている弁護士に贈与しました。
再審事件については、検察庁がなかなか証拠を出さないことが問題視されています。検察庁としてはこういった理由があるようですが、私はこの考え方が適切とは思いません。
187頁
【昭和58年10月6,7日開催の全国次席検事会同における次長検事指示の中に,再審請求事件への対応について指示された部分があるが,それには「…また, もしも裁判所が事実の取調べを行うこととしたときは,的確な証拠の収集に努め,必要に応じ適切な反論を行うとともに,それが対審構造ではなく,証拠法の制約もない手続の下で行われることも踏まえ,不提出記録等の提出や,開示の要求には慎重に対処し, もし提出,開示の要求等につき疑義のある場合には上級庁とも協議し,適切な対応をされたいのであります。」 となっている。】