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薬院法律事務所

刑事弁護

横断歩道の赤信号見落としでの歩行者死亡事故、実刑判決を避けたいという相談


2026年02月04日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

Q、私は、福岡市に住む30代男性です。先日、夕方ごろに自動車を運転していたのですが、疲れがたまっていたためなのか、対面信号が赤信号に変化しているのを見落として横断歩道上の歩行者を跳ねてしまいました。急いで救急車を呼んだのですが、被害者の方は亡くなられました。任意保険には加入しているのですが、被害者の方はまだお若い方で、遺族の方からは謝罪は受け付けられないといわれています。私のしたことなのですが、子どももいるので刑務所に行くことはどうしても避けたいと思っています。どうにかならないでしょうか。

A、実刑の可能性がある事件です。可能な限りの情状弁護を尽くす必要がありますので、早期に交通事故に詳しい弁護士に依頼すべきだと思います。

 

【解説】

 

交通死亡事故のうち、赤信号を見落として横断歩道上の歩行者を死亡させたという類型はかなり犯情が悪い部類になります。遺族感情が厳しいのも当然ですし、逮捕の可能性もある事案になります。遺族の方への慰謝の措置を尽くすことも大事ですし、再犯防止のための環境整備など情状弁護活動を尽くすことが大事です。起訴される前から弁護士に依頼すべき案件です。

 

※自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000086#Mp-At_5

 

【参考文献】

川上拓一編著『裁判例にみる交通事故の刑事処分・量刑判断』(学陽書房,2022年2月)

【実刑は、 97件中16件で約16%。被害者死亡という璽大な結果が生じているにもかかわらず、実刑は僅か約16%と評価することも可能であろうし、過失犯でも相当数の事案が実刑判決となっており、量刑が厳しいと評価することも可能であり、様々な見解がありうると思われる。】203-204頁

【重大な過失の事案(赤信号看過、居眠り運転、意識もうろう状態の運転)6件中、番号91、93は実刑、番号33、68、83、86は執行猶予付き判決と、実刑と執行猶予の双方が混在しており、個々の事案毎にケースバイケースで判断していると思われる。重大な過失の中でも、赤信号看過と比較し、居眠り運転や意識もうろう状態の運転の方がより危険性が高い悪質な行為と捉えているのかも知れない。また、番号33は赤色または黄色信号を無視して横断した被害者側の過失、番号83は被害者が同乗者という事情が、執行猶予の理由の一つと考えられる。番号68の被害者は歩行者であるが高齢者という事情、番号86の被害者は横断歩道上の歩行者であるが、示談成立済みの事情が考慮されたのかも知れないが、実刑か否かギリギリの事案と思われる。】206頁

https://www.gakuyo.co.jp/book/b597173.html

実刑の危険性がある交通事故事件(過失運転致死)で執行猶予付判決を得たいという相談