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薬院法律事務所

刑事弁護

略式起訴事件、裁判所から略式命令が届いたが争うか悩んでいるという相談


2026年02月16日刑事弁護

※相談事例はすべて架空のものです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。

 

【相談】

Q、私は、福岡市に住んでいる会社員です。先日、電車内で女性に対して痴漢行為をしたということで逮捕されました。私は酔っていたので覚えていなかったのですが、当番弁護士さんから否認していると釈放されない可能性があるといわれて、「記憶にはないが、被害者の方がいうのであれば間違いないと思います。」と供述しました。その後、釈放されたので、弁護士さんを通じて示談交渉をしようとしたのですが、拒絶されています。検察官の方にも、罪を認めますといって迷惑行為防止条例違反ということで略式起訴になりました。しかし、記憶がないので本当に認めて良かったのか悩むところがあります。どうすべきでしょうか。

A、略式起訴後、確定前であれば弁護人が記録の閲覧ができるようになっています(依頼者本人は見ることができません)。ご依頼されている弁護士さんに依頼して、記録を閲覧して吟味してもらうといいと思います。

 

【解説】

 

弁護士でも知らない方がいるのですが、実は、略式起訴がなされた場合、弁護人は裁判所で記録を閲覧できることになっています。これは、正式裁判を申し立てるか否かを吟味するために必要だからです。あくまで弁護人だけができる手続きですので、ご依頼されている弁護士さんに至急検討してもらうべきです。

 

※刑事訴訟法

第四十条 弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。
② 前項の規定にかかわらず、第百五十七条の六第四項に規定する記録媒体は、謄写することができない。

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131#Mp-Pa_1-Ch_4-At_40

 

【参考文献】

 

松尾浩也監修『条解刑事訴訟法〔第5版〕』(弘文堂,2022年9月)88頁

【1) 弁護人の閲覧謄写権 本条に規定する弁護人の権利は,弁護人の固有権 (41条注3参照)の一つである。被告人に弁護人がいない場合,被告人には公判調書の閲覧のみが許される (49) のに比較すると権限が大であるが, 270条1項所定の検察官の訴訟書類,証拠物の閲覧謄写権に比較すると,(a)場所が裁判所に限られている点,(b)証拠物の謄写について裁判長の許可が必要である点において,制限されている。】

https://www.koubundou.co.jp/book/b10079766.html

 

最高裁判所事務総局編『略式手続執務資料』(法曹会,1992年7月)43-44頁

【2 弁護人の訴訟記録の閲覧,謄写の可否
問 略式命令請求手続において,弁護人は訴訟記録の閲覧謄写ができるか。
答 積極に解する。
(理由)
略式手続の場合にのみ法40条の適用がないと解することは,少なくとも文理上は根拠がない(略式手続は本案に関する手続であるから,検察官提出の資料も,通常の決定手続における疎明資料のように暫定的性質のものではない。)。また,実質的にみても,略式手続において少なくとも正式裁判請求の是非に関し法律上の助言を与えるという形での弁護活動は可能であり(なお,被告人側からたとえば量刑資料として示談書を提出する余地があると解されるならば,弁護活動の範囲は一層広くなろう。),そのため記録閲覧の必要を生ずることが考えられる。
(昭 38.8 回答)
※刑事裁判資料165号14頁から転載】