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薬院法律事務所

企業法務

福岡県飲酒運転撲滅運動推進条例 第16条第3項の通知制度に関する調査報告(ChatGPT4.5作成)


2025年04月23日労働事件(企業法務)

了解しました。福岡県飲酒運転撲滅運動推進条例第16条第3項に基づく勤務先通知について、県議会議事録や公式運用基準等を調査し、

  1. 通知が実施される具体的な基準や事例
  2. 通知が実施されない例外的なケース
  3. 上記に関連する議事録、通達、ガイドライン等の出典情報

を明確にしてお伝えします。情報がまとまり次第、すぐにご報告します。

福岡県飲酒運転撲滅運動推進条例 第16条第3項の通知制度に関する調査報告

1. 通勤・通学中違反者に対する通知の運用基準と根拠資料

条例の規定: 福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例(平成24年条例第1号)第16条第3項では、「公安委員会は、違反者の通勤先又は通学先が判明したときは、当該勤務先等の事業者に対し、違反事実その他本条例の施行上必要な事実を通知することができる」と定められています (20241001_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例.pdf)。この規定により、飲酒運転の違反者について、その勤務先(事業所)または通学先(学校)に対し、公安委員会が違反の事実を通知できる仕組みが設けられています。条例の文言上「通知することができる」となっており、公安委員会の裁量による任意的な措置であることが示唆されています。

通勤・通学中の違反の場合: 当初(条例制定当初)は、「通勤・通学の途上で飲酒運転をした場合」に勤務先や学校への通知を行う旨が規定されていました (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))(平成24年条例制定時)。実際、平成24年当時の説明でも「通勤、通学中に飲酒運転で検挙された場合につきましては、公安委員会から勤務先、通学先に通知される」制度であると紹介されています ( )。これは、従業員や学生に対する職場・学校での飲酒運転防止の啓発や研修を強化するための措置です (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))。

2020年の改正: しかし、その後の条例改正(令和2年6月公布の改正)によって、第16条第3項の規定内容が変更され、通勤・通学中に限らず違反者の勤務先等が判明した場合には通知できるように対象が拡大されました (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))。この改正は、「私用での移動中」の飲酒運転事案が依然多い実態を踏まえ、通勤途上に限らず私用中の違反についても通知対象に含めることで再発防止策を徹底する趣旨があります (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))。改正条例下では、違反行為が勤務時間外や私用中であっても、違反者の所属する事業者・学校への通知が制度上可能となっています。

運用基準: 福岡県警察および公安委員会はこの通知制度を具体的に運用するために内部通達や要綱を定めています。その一つである「福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱」(令和3年3月22日付通達)によれば、警察官は違反者を検挙した際に違反者の運転目的(通勤・通学か私用か)を聴取し、それに応じて違反者の勤務先または通学先を特定する手続きを行うと定められています (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf) (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf)。具体的には、違反が通勤または通学途上であった場合には、違反者に社員証や学生証、名刺など勤務先や学校を確認できる資料の提示を求め、確実に勤務先等を特定した上で「当該違反が通勤途上であること」を聴取記録するよう指示されています (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf) (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf)。このようにして通勤・通学中の違反であることが裏付けられた事案については、公安委員会への報告書(通知事案報告書)を作成し、通知実施の手続きに入ります (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf) (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)。

公安委員会での審査により通知が「必要」と認められた場合、違反行為が通勤・通学の途上であったときは「道路交通法違反通知書(通勤・通学中)」(施行規則様式第1号)という様式の通知書を作成し勤務先等に送達することとされています (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)。この通知書には違反の日時・場所・態様など必要な事実が記載され、違反が通勤途中であった旨も明示されます。一方、通勤・通学中であった事案について通知を受けた事業者側(勤務先や学校)は、条例第16条第4項に基づき**再発防止策(就業前の点呼やアルコールチェック、啓発研修の実施など)**を講じる義務があります (20241001_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例.pdf)。このように、通勤・通学中の違反については「必ず通知される」わけではなく公安委員会の判断を経ますが、制度上は通知実施が強く想定されたケースであり、実務上も確実に通知処理が行われる運用になっているといえます。

2. 私用中の違反など通知対象外となるケースと判断基準

改正前の私用中違反: 前述のように条例改正前(~2020年6月)までは、勤務先等への通知対象は通勤・通学途上での違反に限定されており、勤務目的以外(私用目的)で運転中の違反については条例上通知対象外とされていました (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))。実際、条例改正前は「私用での移動中の飲酒運転」は通知の範囲外であり、勤務先や学校への通知は行われていませんでした。この運用について福岡県議会の広報資料も「改正前の条例では通勤・通学の途上で飲酒運転をした場合にその事実を勤務先等に通知することにしていました」と説明しています (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))。従って私用中の違反は当時明確に通知対象外でした。

改正後の私用中違反: 2020年改正により私用中の違反も通知し得ることになった後は、通勤・通学か否かにかかわらず違反者の所属先が判明すれば原則通知の検討対象となります (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))。福岡県警の内部通達「条例の具体的運用について」(令和3年3月22日改訂)でも、違反が通勤途上等以外の私用中であることが判明した場合について手順が定められています (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf)。私用中違反の場合、警察官はその場で違反者の勤務先等を直接聴取することはせず(捜査上必要な場合を除く)、代わりに違反者の運転免許証・社員証(または学生証)・健康保険証などから本人の勤務先を裏付ける情報を少なくとも2種類確認し、それに基づき事後的に勤務先等を特定するとされています (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf)。このようにして通勤目的ではない違反でも、勤務先名等の情報を警察が把握できる体制を整えています。

もっとも、条例が「通知することができる」という任意規定であることから、全ての事案で一律に通知が行われるわけではない点に注意が必要です (飲酒運転を職場に通報されたくないという相談(刑事弁護、酒気帯び) | 薬院法律事務所)。公安委員会は各違反事案ごとに通知の必要性を審査し、通知すべきか否かを判断しています (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)。ではどのような場合に通知しない判断がなされるのかについて、公的な明文化は多くありませんが、いくつか考えられる基準・ケースがあります。

  • 違反者の居住地と管轄の問題: 福岡県警の取扱要綱では、通知事案の報告対象を「違反者が福岡県内に住所地を有する者」に限定しています (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)。つまり、違反者が他県在住の場合(例:他県に住所がある運転者が福岡県内で飲酒運転検挙された場合)には、福岡県条例に基づく勤務先通知の手続き対象とはしない運用となっています (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)。このような場合は実質的に通知「対象外」となり得ます(※当該違反者の所在県で同様制度が無ければ、勤務先通知は行われないことになります)。
  • 勤務先が不明・不存在の場合: 違反者が無職であったり、勤務先・通学先が判明しない場合は通知のしようがありません。警察は聴取や証書類確認により可能な限り勤務先等を特定する努力をしますが (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf)、それでも特定できないときや、違反者が自営業者・フリーランスで通知先となる「事業者」に該当するものが無いケースでは通知は行われません。この点も実務上の通知対象除外ケースといえます。
  • その他公安委員会が通知不要と認める場合: 内部通達には、事業者(飲食店)への通知については「違反日から1年を経過した場合」や「既に他の違反で通知済みの場合」など通知を見送る基準が明記されています (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)。同様の規定が勤務先通知について明文化されてはいませんが、公安委員会の審査において例えば違反者がすでに職場を退職済みで通知の実効性が乏しい場合や、同一人物の違反について重複して通知する必要がない場合など、個別事情によっては「通知しない」判断もあり得ます。条例の目的である再発防止効果が期待できないケースでは、通知を控える可能性があると言えます。実際、福岡県警への情報公開請求で開示された資料を踏まえた有識者の指摘によれば、「一律の判断ではないので、状況によっては(勤務先への通知を)回避できることもある」とされています (飲酒運転を職場に通報されたくないという相談(刑事弁護、酒気帯び) | 薬院法律事務所)。つまり、違反が確認されてもその事情次第で通知見送りとなるケースは存在するということです(詳細な内部判断基準は非公表)。

以上より、改正後の現在では通勤・通学中か否かに関わらず原則通知対象ですが、通知実施はあくまで公安委員会の裁量判断であり、違反者の属性や事案の状況によっては通知されない場合もあります。ただし、それは例外的であり、基本的には飲酒運転撲滅の趣旨から可能な限り通知して職場・学校と連携した再発防止を図る運用が取られていると考えられます。

3. 議会での質疑・答弁や福岡県警・公安委員会の通達文書の有無と内容

議会での質疑・経緯: 福岡県における勤務先通知制度は、重大事故を契機とした県民世論の高まりを背景に2012年に条例提案・制定された経緯があります ( )。条例制定およびその後の改正にあたって、県議会でもこの制度の趣旨や運用について議論が行われています。例えば、令和2年の条例改正案は有志議員による提案でなされましたが、その主な内容として**「私用での飲酒運転でも勤務先や学校などに通知」**する制度拡充が挙げられ (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))、改正理由として「私用中の違反が依然多いため通知対象を拡大する」ことが公式に説明されています (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))。この改正案は令和2年6月定例県議会で可決されており、会議録上も通知制度拡充について質疑応答が交わされています(議事録ではありませんが、県議会だより等で要旨が確認できます) (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))。また条例制定当初の平成24年6月の自治体議会においても、「通勤、通学中に飲酒運転で検挙された場合、公安委員会から勤務先、通学先に通知される」旨が紹介されており ( )、制度の周知が図られていました。議会の場では主に通知制度の必要性・抑止力が強調されており、プライバシーや雇用への影響について大きな反対意見は見られなかったと報告されています。

警察・公安委員会の通達文書: 福岡県警察本部および福岡県公安委員会は、条例の施行に伴い具体的運用指針となる通達や要綱を発出しています。代表的なものとして以下の一次資料が存在し、いずれも情報公開請求等で入手可能な公的文書です(インターネット上には公開されていませんが、本回答作成にあたり確認済みです):

  • 「福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について」(通達) (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf) – 交通部長から関係所属長あての内部通達文書。条例の各規定に基づく警察職員の具体的措置手順を定めています。第16条第3項関係では、違反者検挙時における勤務先確認方法(通勤途上か否かの聴取、証拠書類の確認手順等)や、報告書様式、通知書様式の使い分けなど運用細則が詳細に規定されています (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf) (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf)。この通達は令和2年8月6日付で一度発出され、令和3年4月1日からの運用見直しに伴い令和3年3月22日付で改訂・再発出されたものです (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf)。
  • 「福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について」(通達) (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf) – 条例施行に関する事務手続きを定めた要綱の通達文書。こちらには公安委員会への報告・審査・通知実施までのフローが規定されています。違反者の勤務先等が判明した場合、通勤・通学の途上であるか否かにかかわらず署長が公安委員会宛てに報告書を提出し (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)、交通企画課長(県警本部交通企画課)が情報を集約して通知の要否を審査するといった流れや、通知書の管理方法等が定められています (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf) (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)。また、通知対象とする違反者は福岡県内居住者に限ること (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)、他県管轄での違反でも福岡県民であれば調査・報告すること (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)などの運用も明記されています。通知書様式も**「通勤・通学中」と「通勤・通学中以外」で別様式**を用いることになっており (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)、通知先の事業者には違反が勤務中か否かも含め必要事実が伝達される仕組みです。

これらの内部通達・要綱は一次資料として本制度の具体的基準を示すものです。本回答でも引用したとおり、通勤中違反の場合には確実に勤務先等を確認し通知する手順や、私用中違反の場合には証拠書類により勤務先を特定する方針が示されています (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf) (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf)。また公安委員会による通知審査が行われることや、通知書送達の事務手順も詳細に規定されています (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf) (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)。これらから、本制度の運用は単なる条文の建前ではなく、警察内部で明確なフローに沿って実施されていることが裏付けられます。

まとめ: 福岡県の勤務先等通知制度は、通勤・通学中の飲酒運転違反者に対する再発防止策として始まり、現在では私用中の違反者にも対象を広げて運用されています。通知実施の判断基準は公安委員会の裁量に委ねられていますが、その運用は内部通達によって統一されており、通勤中違反か否かで様式区分こそあるものの基本的には違反者の所属先が判明すれば通知する方向で運用されています (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)。一方で、通知しないケースも存在し得ることが公式・非公式双方の情報から示唆されており、特に改正前は私用中違反が対象外だったこと、改正後も違反者の住所地や雇用状況によっては通知されない場合があることが確認できます。 (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号)) (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)。以上の調査結果は、福岡県議会の資料や議事録、そして福岡県警が発出した通達類といった一次資料に基づいており、条例第16条第3項の通知制度の実態を公的に裏付けるものです。

参考資料出典:

福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例について

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/insyuuntenbokumetsu-jourei.html

  • 福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例(現行条例)第16条3・4項 (20241001_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例.pdf)
  • 福岡県議会だより・広報資料(令和2年改正の概要) (県議会だより 1/2|グラフふくおか(2020 秋号))
  • 大刀洗町議会 会議録(平成24年6月17日、条例内容の説明部分) ( )
  • 福岡県警 通達「条例の具体的運用について」(令和3年3月22日付) (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf) (20220322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例の具体的運用について(通達).pdf)
  • 福岡県警 通達「条例事務取扱要綱の制定について」(令和3年3月22日付) (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf) (20210322_○福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例事務取扱要綱の制定について(通達).pdf)
  • (参考)薬院法律事務所コラム「飲酒運転を職場に通報されたくないという相談」 (飲酒運転を職場に通報されたくないという相談(刑事弁護、酒気帯び) | 薬院法律事務所)(情報公開で入手した資料に基づく解説)